Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

2)2000m漕の準備と実践:

1月15日のエルゴ大会で学生選手の2000m漕を見たが、確かな戦術も無しにスタートから無謀なペースで飛び出し、中盤でガクッとペースが落ちて「見よ落下傘」の如く終盤にペースを落とす者が多い。これではペースコントロールも何もあったものではない。(行き当たりバッタリの玉砕漕ぎ)エルゴというものは室内で機械相手に行う競技(トレーニング)であり、不確定要素は殆ど無い。冷静に分析すれば、仕上がりのタイムは±3秒程度には収まるものである。単に本番に至る準備・手順やペース配分要領を知らないだけである。下記の準備とペース配分を実践すれば、1年目の新人選手なら、5秒は直ぐに改善できると思う。1)項の漕ぎ方の改善による5秒と併せれば、10秒程度の改善が期待できると思う。
さて、前段はさておき、具体的な手順を説明する。以下は準備内容の要点のみを記載する。詳細については1月17日のログエルゴ2000m漕に向けたペース設定要領の一例 - おやじスカラー戸田便りを参照されたい。

  1. 自分に合ったDrag Factorに設定する。:男子の場合は120〜130程度。一般論としては身長の高い者や心肺機能に優れた選手は軽めのDFを選択する。逆に身長が低くレンジの短い選手や、どちらかと言えば筋力系や重量級選手は重めのDFを選択する。日ボのエルゴ選考ではDF130に設定している模様。おやじもDF130を使っている。
  2. ロング漕を漕ぐ:45分や60分といったロング漕を漕ぐ。この際、ただ漫然と漕ぐのではなく、その時間の中で平均ペースがMax.となる様に努力する。加えて、正しく効率的な漕ぎ方になる様にフォームにも注意する。
  3. ロング漕の結果を2000m漕に換算する:2004年10月29日のログ距離(時間)と艇速(タイム)の関係 - おやじスカラー戸田便りで距離とタイムの関係を解説したが、この算式を使ってロング漕の平均ペースを2000m漕のペースに換算する。2000m漕ペース=ロング漕ペース * (2000m/ロング漕距離)^(1/18)。このペースを4倍しすると2000m漕のタイムとなる。(一般的な漕手は、ロング漕からの換算値と実際の2000m層の記録がよく合致する。一方、心肺機能の優れた長距離ランナータイプの選手は、ロング漕からの換算値の方が実際の2000m漕記録より良い結果が出ることがある。)
  4. 500m * 6発を行い、平均タイムを計る:2000m計測会の前に500m漕 * 6発(レスト3〜4分:おやじは4分で実施)の計測を行う。最初の5発はスパートを入れずにコンスタントのイメージで漕ぐ。レートは2000m漕より2枚程度高めとなる。最後の1発はスパートまで入れる。成るべく6発で全力を出し切り、且つ、6発のバラつきが少なくなる様に漕ぐ。6発の平均タイムを出す。この平均タイムに2.5秒加算したタイムが概ね2000m漕の平均ペースとなる。レートは最初の5発の平均的なレートより2枚程度低めで漕ぐと丁度この平均ペースが出ると思う。(一般的な漕手はこれで2000m漕の予想ができる。一方、無酸素パワー系の選手は500m漕等の短距離漕で良い記録が出るが、長い距離では心肺系にきて、記録が伸びないことがある。)
  5. 2000m漕の本番ペースを自分で設定する:上記の500m漕6発の結果から求めた2000m漕の平均ペースを基準として、本番のペース配分を自分で設定する。基本はイーブンペース、これが一番記録出る。最初の1500mはコンスタントペースで漕ぐ。ラスト500mはスパートモードであり、半分無酸素運動と考えて良い。具体的には1Q:平均ペース-1秒(コンスタントペースに抑える)、2Q:平均ペース(コンスタントキープ)、3Q:平均ペース+1秒(1500m漕のつもりでペース死守)、4Q:平均ペース(コンスタントレートではペース維持できないのでレート徐々に上げ、250mでスパートに入る)
  6. 自己申告兼記録用紙にデータを書き込む:本番のペース配分も含めて関連データを所定の自己申告兼記録用紙(下記)に書き込み、これを本番の応援者(COX役)に渡し、応援してもらいたい要点を相手に伝える。
  7. 2000m漕の心構えと応援要領:計測が始まったら、設定ペースに沿って本人は漕ぐのみ。1Qは有酸素運動に入る前の無酸素運動が主体であり、往々にしてオーバーペースに陥りやすい。ここでは設定ペースとなる様にし、極力平常心で楽な気分で漕ぐ。2Qもリズム重視で設定ペースを維持する。3Qは一番苦しいところ、ここをコンスタントのリズムで何とか設定ペースを死守する。3Qは気持ちが萎えやすく、ここからが応援者の活躍するところ。絶対にペースを落とさせないようにモニターを確り見て都度本人に要点を伝える。落とさせないことが重要。(落ちすぎてから脚蹴りを入れてペースを戻すのは愚の骨頂。エルゴで脚蹴りを入れるのは間違った戦術。後でダメージが来る)4Qはペースを維持するためにレートを上げてゆく。ラスト250mはスパートを入れ、空回り覚悟でドンドンレートで稼ぐ。ラスト100mでダブルスパートを入れ、最後はレンジを切っても良いのでSR40ぐらいまで上げて力を出し切る。応援者も4Qは大声で応援しまくる。苦しくても気持ちの持ちようで意外にペースが上がるものである。