Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

フォワード中、合成系は減速するのみ、減速をミニマイズしよう:

フォワード中は、ボートの合成系は推進力を得られないので減速するのみ。艇がフォワード中盤まで加速し続けるのは、ボートの総重量の約8割を占める漕手が、フォワードで船尾方向に移動するため、作用反作用(運動量保存の法則)により、艇がバウ方向に押し出されることに拠る。しかしながら、見かけ上、艇がフォワード中に加速しても、本質である合成系は水の抵抗により減速し続けるのである。
加えて、運動力学や推進抵抗の理論が分からないと理解し辛いかも知れぬが、艇体と水との推進抵抗は艇の前進速度の2乗に比例して増大するので、漕手がフォワード速度を速くすると艇の速度が速くなり、その結果として抵抗が増大してフォワード中の合成系が更に減速することに繋がるということだ。
良く言う、フォワードラッシュするな!という教えは、フォワードラッシュによる合成系の減速を防止するためにもあるのだ。それではどうすれば良いのかということだが、シートスライドの速度をできるだけユックリさせる方がフォワード中の艇の速度増加を小さく抑えることが出来る。従い、ゆっくり等速にフォワードすることが必要だ。ゆっくりフォワードするには、限られたフォワード時間(レースペース時)の中でシートスライド時間を長く取るということであり、フィニッシュ廻りのハンズアウェーを素早くしてシートがフィニッシュで止まっている時間を短くしたり、キャッチ前を止まらない様にすることが必要となる。