Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

フォワードの終盤はソフトにスライドを減速しよう:

如何にゆっくりとフォワードしようとも、スライドの最後はキャッチに向けてスライドを止める必要がある。そのままの速度で前に出れば、ドスンとストレッチャーに勢い良く乗り、艇に余計な振動を与えるだけでなく、勢いが艇のピッチング運動に転換されて無駄な推進抵抗を増大させることになる。これを防止するためは、シートスライドの終盤1/4程度を使って、ソフトにスライドを減速すると良い。漕手の体は質量があるので、動いている物体を減速(加速度とも言う)するには、F=Maの力が必要である。この力が足の裏でストレッチャーをジワリと押すものである。漕手としては、このジワリとストレッチャーを押す時に自分の体重がキャッチ前に向けてジワリとストレッチャーに乗る様に感じる。即ち、これがGather on the Stretcher(ギャザー)という訳である。
また、ギャザー感を感じながらキャッチ前に臨めば、下記の副次効果(そのものが目的でもある)が得られ、ひいては良いリズム・効率の良い漕ぎとなると考える。

  1. 足の裏でストレッチャーをコントロールしながら押しているのでバランスが安定する。
  2. エントリー直後に力強いドライブを開始する前の良い準備となる。
  3. キャッチ前にブレードの動きがユックリするので、エントリー動作が正確になる。

<追加補足>
上記のフォワード中に漕手が体重移動することにより発生する、①艇体速度上昇による推進抵抗の増大、及び、②キャッチ前の漕手と艇の相対速度の反転動作により発生するピッチング運動の2点の問題点を解決するために、昔開発されたのが、「スライディングリガー」方式の艇である。漕手は固定されシート(シートの背面がをお尻が押すことで推進する)の上に乗り、ストレッチャーと一体になったリガーの方がスライドする構造。体重移動が生じないので、上記の2つの問題が無くなり、上の図に示した合成系速度1本で艇が進む。これにより、艇の速度変化の幅が小さくなり、効率良く進むことが出来る。但し、スライディングリガー方式はFISAルールによりボートの公式レースでは使用することが出来なくなっているので、念のため。

以上