Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

3. エリート選手育成に向けた取り組み

大学からボートをスタートする東大選手の場合、日本代表選手レベルまで上り詰めるには、やはり大学4年間では難しく、4年の対校選手まで東大選手として漕いだ後、5年目以降も継続して取り組む必要がある。これらの上級レベルの選手が取り組む艇種としては種々の面で、やはりシングルスカルが良い。H28年度の場合、前年度に副将を務め、75kg換算エルゴスコアで部内トップレベルだった松垣が有望であった。偶々、松垣はボートに専念しすぎたためか大学を2年留年していたので、“もう1年選手を継続してシングルスカル専門で取組まないか”と声を掛けた。選手を継続する事を決意するのに1ヶ月程考えた様だが、11月中旬から対校のトレーニングに合流した。3年生の時に少しスカルを漕いだ経験もあり、12月の久保杯6kmTTではこれまでの大会記録のベストタイムを更新していた。お花見レガッタ、東商戦、軽量級とレース毎にパフォーマンスが改善した。特に6月上旬に納められた新艇「魁」に乗り換えてからはもう1段上の艇速が出せる様になった。6月下旬の東日本選手権では予選で7’33”の自己ベスト記録を出し、3位入賞を果たした。また、レース経験を積む目的で国体にも挑戦。7月の近畿ブロック大会は6県中上位2名が国体本戦出場という厳しいレースの中、ゴール100m手前でU23代表の日大:古米選手を抜き去り2位でゴールし、国体本戦出場権を獲得した。その後も8月に実業団チームのトヨタ紡織の強化合宿に武者修行に行く等して強化を図った。インカレ前は農学部の実習などあり、練習と勉強の疲れからインカレ前に少々体調を崩す場面もあったが、何とかインカレ本番までには調子を戻した。インカレ予選では7’28”の自己ベストタイムを出し予選通過。準決勝も勝ち抜き、決勝進出を果たした。決勝では前半で他の選手に置いて行かれ、ラストで追い上げたものの3位には届かず、4位となった。インカレ後は岩手国体に出場。慣れない配艇方式のレースで予選は調子が出せなかったが、準決勝では配艇・リギング共に上手く出来、概ね実力を出し切った。残念ながら3位で2位以内の決勝進出はならなかったが、元U19世界ジュニア代表のNTT:杉崎選手を後半で抜く事が出来た。松垣に対しては、艇のリギング設定と、漕ぎの基本であるSit Tall, 長い有効レンジ、脚・腰・腕のシリーズドライブによるフィニッシュに向けた加速的なドライブ、ハイフェザー、そしてフィンガーターンに関する指導を行った。というかこれのみを指導した。シングルスカルはSelf Coaching Boatであり、基本的な事を指導すれば、後は本人のやる気と乗艇練習の動画があれば自分自身で改善・努力できる。
松垣のシングルスカル競技継続への取り組みはH28年度の1年で終えたが、H29年度は学生コーチとして後輩の指導をお願いしたい。
今後も4年卒業後、5年目以降に競技継続する事を推奨してゆきたい。