Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

順流は艇速が出る(水中軽い)は勘違い:

さて余談だが、T大の学生やOBの多くが、「順流で漕ぐと水中が軽い」とか、「順流では艇速(対水速度)が速くなる」と訳の分からない事を言っているのをよく耳にする。或いは、瀬田川で行う京大戦は順流なのでオールの梃比を変えようとか。。。(これを聞くたびに、「それでも最高学府の人間かよ!」と呆れる。。。)
確かに川底を竿で押して進む川船は逆流で重く、順流では軽くなる。しかし、我々のローイングボートは水をブレードで押してボートを進める艇であり、順流だろうと逆流だろうと、対水速度には関係ない。何故なら船体もブレードが押す水も同じ流れの中で動いているからだ。即ち、流れのある川でボートを漕ぐ時に、順流でも逆流でも漕手が感じる負荷は変わらないのである。
例えば、地球は東方向へ向かって自転しているが、西から東へ向かって歩く時(順流に相当)に、東から西へ向かって歩く場合(逆流に相当)より軽く感じるか?という事である。そんなことあろう筈がない。
じゃあ、なんでこんな単純な事を勘違いするのであろうか? おやじには良くわからないが、ボートに乗っている者がボートの対水速度の事を一切無視して(恐らく、ボートの動きに対して恐ろしく鈍感なのだろう。。。)両岸の陸の景色ばかり見ていたらそう感じるのかも知れない。しかし、ボート競技は対水速度を競うスポーツである。また、漕手がボートを漕いでいる時に余所見をせずに全神経をボートに集中した時に感じるのはボートの本当の速度、即ち、対水速度と水中負荷のみである。両岸の景色の流れなどに余計なモノに騙されてはならないのである。
上記の理屈が分からない者は、流れのある水域、例えば瀬田川などで一度漕いでみると良い。順流で漕いだ時にSpeedCoachの艇速表示(対水速度)が逆流の時より速くなるなんて言う事はないのである。そうではなく、ボートの速度や水中の負荷に大きく影響するのは風向きである。順風では空気抵抗が減少するので負荷が軽くなり、艇速(対水速度)が速くなるのである。だから、川でSpeedCoachを使って2000mTTを行う際、良いタイムを出したいなら、流れの方向などには無視して、風向きが順風となる方向へ向けて実施すれば良い訳である。(因みにLBRCエイトが荒川でタイムトライアルするときには、流れの方向は無視して風向きのみに留意し、順風で行う様にしている。)
以上、くどくなったが、「順流は軽い」などという間違った解釈をしている皆さん、ご理解いただけたかな? これでも分からなかったら、瀬田川で漕いでいるボート仲間に聞いてみては如何だろうか?しかし、馬鹿にされることを覚悟の上で。。。