Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

準備万端で臨んだ瀬田川京大戦で快勝

東商戦敗北を受け、今度は絶対に負けられない瀬田川での京大戦へ向けて準備した。A尾が右肩の手術を行いリハビリ中なので、京大戦に出漕できるジュニア漕手は8名となった。一人でも欠員が出ると京大戦が成り立たない危機である。万一の際の保険として、マネージャーの中からI井とT橋を補漕として指名し、若手OBに加勢をお願いして週に2回ほど、付きフォアを使ってエイトの補漕育成のための乗艇練習も行った。
瀬田川での京大戦は約500mおきに設置されたブイで仕切られた、カーブのあるセパレートコースである。詳細コース図が手元にあり、且つ、OBレースで私自身が2マイルレースを3回も漕いでいるので、そのコース取りは熟知していた。瀬田川は琵琶湖の水位調整のための南郷洗堰の放流量により流れの速さが決まる。過去の京大戦時の放流量は毎秒50~100トンであり、これを勘案して地図上で3200mあるレースコースは、水上の実質漕艇距離は3000m程度であると計算し、荒川に2マイルのシミュレーションコースを設計した。本番同様、順流の流れの中で行える様に、上げ潮時と下げ潮時に応じて上流に向けたコースと下流に向けたコースの2種を準備した。5月初旬から毎週末、荒川にブイを設置して架設コースを設営し、カーブワークを練習した。対校エイトの協力を得て何回か2マイル並漕練習を行わせて頂いた。偶々、対校エイトに勝ったこともあり、ジュニアのモチベーションはグンと上がった。
京大戦新記録(6’11”)で快勝した昨年度のジュニアエイトと比べても、今年度京大戦エイトはこれを凌駕していた。対戦相手の京大クルーのエルゴスコアを予測し、概ね東大エイトとほぼ同等であると計算した。また、京大エイト漕ぎを見たいと考え、瀬田川近辺在住の東大OBに頼んで京大の漕ぎをビデオ撮影して頂いた。漕ぎを見る限りでは昨年度の京大エイト並みであり、東大が勝つ事は必然と判断した。こうなると、ただ勝つだけでは面白くない。昨年の5年ぶり対校戦勝利同様に、皆の記憶に残る様な圧倒的な勝ち方をすることを狙った。 昨年が2000mで10秒差、今回は3000mなので15秒差、即ち約80m差となる。京大が昨年並みと仮定し、東大は昨年より強いクルーであることを実証するためのターゲットとして100m差を付けることを目標とした。
荒川で約2か月の周到な準備を行い、敵地、瀬田川に乗り込んだ。勝つために出来る事は全てやりきる事を狙い、私自身も勤務先から休暇を頂き、選手と一緒に瀬田川へ移動した。瀬田川では木・金・土の3日間、本番コースでの乗艇練習を行った。瀬田川の水は清浄で、荒川より水が軽く、良い艇速が出た。特に木・金は平日ということで、日中に乗艇しているのは東大クルーのみで、瀬田川を大いに満喫できた。
本番レースでは、京大エイトが序盤のインカーブで東大を引き離そうと飛ばしてきた。この為、序盤は京大エイトに後れを取ったが、新幹線の橋を通過後の東大有利な石山カーブで、力の差を見せつけて一気に京大を突き離すことが出来た。ラストも良く相手を突き離し、70m差で2連覇することが出来た。狙った100m差には至らなかったが、京大が予想したより強かった為だと思う。尚、今年度のレースは南郷洗堰の放出量(21トン)が例年(50~100トン)より少なく、流れが緩かった。このためタイム(9’44”)は過去10年の最高記録(9’25”)に及ばなかったが、SpeedCoachで計測した艇速を分析すると、例年並みの放出量(100トン)に換算すれば、8’44”程度であったと計算される。尚、瀬田川での東大エイト勝利は、京大艇に藻が絡む事故があったH20年を除くと、H14年以来であり、実に12年ぶりの実力での勝利だった。観戦に来て頂いた諸先輩の方々に大いに喜んで頂いた。