Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

スィープ:

1人で1本しかオールを持たないので、1人でボートを漕ぐと真っ直ぐ進まず、サイド漕ぎとなってボートが回ってしまう。従って、スィープの場合は必ず、2人1組が最小限の競技ユニットとなる。ここにスィープ競技の難しさがある。以下、スィープの短所と長所について考察してみたい。:
<短所>

  1. クラッチ軸を中心として回転運動するオールを1人で1本しか持たないので、当然ながら、漕手はサイドが決まってしまう。大抵の漕手は得意なサイドが決まっている。(即ち、サイドチェンジが難しい。)
  2. 1人では練習できない。
  3. サイドで漕ぎ手の技量や力がバランスしていないと、サイド負けが発生し、当て舵をしないと真っ直ぐ進まない状況が往々にして発生する。
  4. オールが回転運動するので、キャッチやフィニッシュ時に(ボートの長手方向とオールが直角をなす推進効率が最も良い部分から大きく外れたところ)オールの回転角に合わせて腰より上の上体を回す(捻る)ことが必要となり、推進力に寄与しない横方向の力を使わざるを得ない。この部分のロスがスカルより推進効率が劣るところとなる。例えば、2-,4-艇のタイムは、2X,4Xのタイムより劣る。
  5. オールの回転角(キャッチ角、フィニッシュ角)等、リギングが全ての漕手で調和されていないと、艇が蛇行したり、バランスが崩れたりする原因となる。従って、リギング調整、ストレッチャー位置調整等は注意深く設定しなければならない。
  6. スィープの場合、ローイングテクニックが難しいこともあり、初心者時に好ましくない癖や間違ったローイングイメージをつけ易いので、コーチやベテラン漕手は間違った漕ぎ方やリギングにならぬ様に十分注意する必要がある。
  7. ボートに対しても、毎ストローク捩れ方向の力が繰り返し加わるので、ボートが歪み易い。

<長所>

  1. 1人で1本のオールでよいので、費用がスカルより安くて済む。
  2. 漕手も自分のオール1本だけを管理すれば良いので、道具のメンテナンスが行き届きやすい。
  3. 川に出したり等、1人1本のオールを持てば良いので陸送が容易である点、及び岸に付けるときにリガーが1人おきにあるので、船台がない場所での上げ下ろしがスカルより便利である。全般的に悪条件の練習環境に対してタフである。
  4. 逆サイドの漕手と上手く息を合わせないと力が出せないので、日頃から互いの意見をぶつけ合い、協力しながら漕ぐことが前提となる。究極のチームスポーツということで精神面の修行になる。