Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

富田浜漕艇庫で宮崎大学医学部ボート部と交流

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昨夕は懇親会後、宮崎大学医学部ボート部の宮阪監督のお宅に泊めて頂き、ぐっすり寝る事が出来た。
ただ、宮崎の日本酒:千徳が美味すぎて飲みすぎ、やや二日酔い気味。

朝起きて、車で富田浜の艇庫へ。
今日のスケジュールは宮崎大学医学部ボート部の選手及び宮崎銀行ボート部の女子選手を対象として以下の内容で予定されていた:
  • 午前8時から、富田浜でのリギング指導
  • 午前10時から、乗艇練習
  • 午後2時から、乗艇練習


*AM:リギング指導
宮崎大医学部が、現在使用している艇:付きフォアと付きクォードを対象としてリギング・整備を実地で指導した。
最初に男子選手が使用しているSykes製の付きフォア艇のリギングを実施。後で私が整調に乗って学生と一緒に漕ぐこともあり、整調シートのリギングを行いながら調整要領をコーチングした。
先ずワークハイトを17cmにしたが、ハイト調整用ワッシャーを全て下に回してもギリギリ17cmだった。
次にスパンを85cmにしようとしたが、84cmが上限。(ここで変だなと感じた。)
次にストレッチャー廻りの調整をする前に、Pin to Heelを計測する為にPin(クラッチ軸の中心)の位置をガンネル内側にマーキングした。
通常の3脚リガーの場合は、センターステーを固定する大骨のボルト位置辺りにPinの位置がある筈。しかし、今回計測した整調のリガーはPinの位置が大骨より4cmほど船尾側にずれていた。
その後、靴のHeel Depthを16.5cmに設定。そしてPin to Heelを32cmに調整。
最後にレールのフロントエンド位置であるWork Throughを15cmにしてリギング完了。
PTHのデフォルト位置は、PTH = 35cm + (身長 - 180cm)/2で設定するように指導。(正確にはフィニッシュ角を32度~35度となる様に調整するが、今回はPTHで規定)
最後にバックステーを装着したところ、伸縮部の締め付けが甘く、確り固定できなかった。そこでホースクランプで締め付けるアルミパイプ先端のスリットを90度ずらした位置で、カナノコでスリットを追加カットして、締め付け代を増やした。
残りのBowから3番までは整調のリギング調整に倣って作業するように指示した。

次は女子の舵手付きクォード艇。
クォードに関しても自分の乗る整調シートのリギングを行いながら要領を指導。
考え方の基本は付きフォアでのリギングと同じ。
但し、スカルの場合は以下の様な点が異なる。
  • ハンドルのクロスオーバーを左右の手の高さの差で逃げる必要があり、この為に左右のワークハイト差は3cm程度付ける。具体的には、私(男子)の場合B-side:18.5cm、S-side:15.5cmとなる様に設定。
  • リガースパンは159cm。スパンは左右均等にする為の要領を説明。(具体的には)S-sideリガーの場合は、B-side側のガンネルにメジャーを引っかけ、S-sideのリガーのPinまでの長さを計測。同じ要領でB-sideのリガーブロック位置にS-sideと同じ長さの位置をマーキング。これで左右均等のマーキングが完了。その上で、マーキング位置でのスパンを計測し、所定(159cm)のスパンとなる位置にマーキングし直し、Pinの位置をマーキングに合わせて完了。
  • スカル漕ぎでのPTHデフォルト値は、Sweepのそれより2cm短く、PTH=33cm + (身長-180cm)/2。
  • Work Throughは11~12cm程度。
クォードのリギング要領を一通り終えたところで10時頃になった。

10時からの付きフォア乗艇を準備すべく、付きフォア艇へシフト。
付きフォアクルーがリギングを終えていないので、状況を観察。
何と、未だにPinの位置計測やPTHメジャーの設定も未了だった。
Bowのリガーは衝突か何かで壊してしまった様で、桑野製と思しき代替えの三脚リガーが装着されていて、リガースプレッドを85cm以下には出来ないとのこと。
これは困ったなと思い、2番、3番、整調のリガー基部に刻印されているシート番号を見ると、2番と整調のリガーが入れ替わって取付けられていた。そこで、2番と整調のリガーを取り外し、入れ替えてリギングやり直し。
結局、整調のリガーはリガースプレッド85cmが設定出来た。

付きフォアのリギング設定が完了したのが、11時頃。
そこから出艇しようと思ったが、オールのリギングを見ていない事を思い出し、オールのリギングを開始。
先ずオールの全長。平均身長が170cm程度の小柄なクルー。しかも整調以外は1年生なのでErgoの2000mスコアも7分30秒を少し切った程度か?
このクルーに対してオールの全長が373cmと一般的なエイト並の長さになっていた。
そこで、オールの全長を371cmと2cm短くし、インボードを115cmに設定しなおした。(リガースプレッドは85cm)
最後にオールの捻れがないかを確認すべく、ブレードピッチを計測(チェック)してみた。
4本中、3本は、捻れが0.5度以下だったが、1本は水準器の泡が振り切れる(2度?)ほど捻れており、スリーブの切削調整では不可能と判断。
予備オールがあったので、予備オールと交換した。
オールのリギング及び角度チェックで30分以上弱掛かり、出艇準備が出来たのは11時半を過ぎていた。

*M4+乗艇
予定では10時乗艇開始だったが、リギングで各種てこずり、実際に岸を蹴ったのは11時45分頃だった。
先ず、リギングを確認する為、ペアワークで漕いだ。
私以外は小柄、乃至は軽量の漕手なので艇が浮き上がり、漕ぐとハンドル軌道が高く感じた。
バウペアが漕ぐと山漕ぎとなり、オールの深さが安定しないのが見えた。
後ろ3人は大学からボートを始めた未経験者の1年生であり、これはまともに両舷では漕げないと感じた。
そこで、フィニッシュワークやキャッチワークの技術練習はペアワークで実施。
W.Upを終えたところで、P@F付きの漕ぎ方をペアワークで指導。概ね要領を理解させてから、両舷でP@F付きで低レートUT漕を実施。
危惧した通り、バランスが取れずズルズル・バッタンの酷いバランスだった。
リギング設定は概ね学んで貰ったので、今後はP@F付き低レートUT漕で確りした漕ぎを学ぼう。

 12時34分。P@F付き低レートUT漕中。S-sideに傾く傾向があった。

*2X乗艇:
4+揚艇後、昼休み前に宮崎銀行の女子スカラー:石三選手とダブルスカルを漕いだ。
少し漕ぐだけなので、細かくリギングせずに先ず乗艇という注文を受けたが、正しくリギング出来ていないと漕ぎが悪いのか、リギングが悪いのかを把握できないので、必要最小限のリギングを出艇前に急いで実施。
幸い、石三選手は高校ボート経験者であり、リギング作業には慣れていた。
そこで、オール全長:284cm、インボード:86cm、リガースパン:159cm、左右ワークハイト差:3cmで調整。
ただ、石三選手の乗るBowはワッシャーの調整のみではハイト差を2cmまでしか取れなかった。(リガーの取付穴からやりなおせば3cm差に出来たが、時間が無いので2cm差で我慢)
尚、石三選手は、普段は左右のハイト差を1cmとしているとのことであり、2cmでも初体験とのこと。
 13時38分。岸蹴り前に最後のリギング確認。
 同上
 13時39分。艇を担いで浮き桟橋へ。
 13時42分。岸蹴り。

石三選手は身長157cmだったかな?、私とはかなり体格差があったが、レンジには然程違和感を感じなかった。
むしろ、艇の加速感はスムーズであり、まずまず良いイメージで漕げた。石三選手もドライブの加速感など学ぶべき事が多くあったとのこと。
良い感じでスムーズに漕げたので、逆に細かな点で気になることがあった。
即ち、艇が常時S-side側に少し傾いていたこと。
私自身は、自分の艇では左右のワークハイト差を2.6cm~3cm差を付けているので、ハンドルのクロスオーバー時も含めてS-sideに艇を傾けずに漕いでいる。
これに対して、石三選手は、通常は1cm差で漕いでいるため、S-sideに艇を傾けて漕ぐ癖が身についてしまった模様。
今回は2cm差としたが、それでもやはりハイト差が足りずに艇を傾けた模様。

 13時57分。W.Up中。
 14時11分。P@F付きUT漕。Finishリリース後
 同上。
 14時12分。エントリー。石三選手のグリップをよく見ると、水色のグリップが親指側にはみ出て見える。即ち、2cmほどインボードを短くして漕いでいることが分かる。やはり適正はインボードは2cm短くした84cm程度の様だ。

 14時25分。揚艇。
 

石三選手、小柄ながら、スムーズで癖のない良い漕ぎが出来ていたので、今後は自分に合った適正なリギング設定を模索してパフォーマンスを上げて欲しい。
上にも書いたが、適正なインボード長は84cm程度か?
その上で梃子比も勘案するとアウトボード長は198cm程度。そうするとオール全長は282cm。オールは長さを注文できるので、280~285cm程度の長さで指定すれば良い。
しかしながら、国内で出回っているオールは男子と兼用のアジャスト範囲が284~289cmのモノが殆ど。
という事で、284cm、インボード長84cmで先ず漕いでみて、その後調整するとよい。
左右ハイト差は、艇を傾けずに漕げる様に、25mm程度は付けた方が良い。

艇を揚げたら14時半を過ぎていた。

*W4X+乗艇:
宮崎大学医学部の女子クォードとの乗艇は15時からとのこと。
殆ど時間が無いが、持参したメロンパンを一つ食べて乗艇に備えた。
15時になったので、クルーを集めて艇の最終チェック。
女子選手がどの様なハイトに設定したか、確認したところ、B-side:18.5cm, S-side:15.5cmの私の設定と同じになっていた。
”ハイト差は3cmだが、ハイト自体は自分たちがいつも漕いでいる高さにするように”と指示したつもりだったが、間違って受け取っていた。
急ぎ、全員2㎝ハイトを下げる様に指示。午前中の作業で慣れていたので直ぐに再調整出来た。
次にオールのリギング確認。
4名分のオールを並べて長さを測ったところ、全長286cm, インボード長:84cmになっていた。
梃子比が重すぎるので、全長284cm、インボード長86cmに再調整。

上記のリギングを終えて岸を蹴ったのは15時半頃となった。
予定では16時には揚艇という事で、乗艇時間は30分程度と限られたものとなった。

 15時27分。岸蹴り。
 同上。

クォードはスカル漕ぎであり、多少、動きがずれてもバランスには然程影響しない。
また、男子に比べて女子は小柄で重心も低く、そもそもバランス安定性が良い様だ。
という事で、クォードではフィニッシュワーク、キャッチワーク共に両舷で実施出来た。
時間が限られているので、2㎞漕いだところで折り返し、復路はP@F付きUT漕で戻った。
先にも述べたが、女子はバランス感覚に優れており、概ね気持ちよくUT漕を漕ぐ事が出来た。
少し気になったのは、艇がほんの少しS-sideに傾いていたこと。
左右のハイト差を3cmつけたので艇を傾けずにクロスオーバーする事が出来るはず。
しかし、日頃、ハイト差:1.5cmで漕いでいるので艇を傾けて漕ぐことが癖になっている模様。
コックスに聞いたところ、普段はもっとS-sideへの艇の傾きが大きいとのこと。
今日はハイト差を大きくしたので、これでも普段より傾きが少なく安定していたとのこと。
また、普段より艇速が上がり、気持ちよく漕げたとの事だった。

16時過ぎに揚艇し、今日の乗艇のFeed Backのため簡単なMTGを実施して終了。

最後に関係者全員集合して写真を撮り、富田浜を後にした。

 16時30分。集合写真。

以上