Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

バックステーが装備される様になった経緯:

さて、最近のスカル艇は規格艇も含めて全てバックステーが付いている。バックステーが付けられる様になった経緯はどういうことか?おやじの勝手な推察も含めて時系列的に整理してみたい。:

  1. バックステー無しの場合、ピンがカンチレバー(片持ち梁)である。並の漕力の選手ならこれでも問題ないが、世界選手権のトップレベルを争う様な強大なスカラーが漕ぐと、静止スタートやスパート時などにリガーが変形し、リギングが初期設定状態から変化してしまったり、力が分散してしまったりする懸念がある。
  2. バックステーを装着することで、この問題が軽減(完全に解決は出来ない)されるが、艇重量が重くなる問題が生じる(左右2本で+500g以上)ので木造艇の時代にはスカル艇にバックステーは採用されなかった。
  3. 一方、艇の構造が木製からハニカムカーボンサンドイッチFRPの軽量高強度構造に変わり、艇本体が軽くなってバックステーの重量増加分を吸収できるようになった。
  4. 以上の経緯より、ハニカムカーボンサンドイッチFRPのレース艇にはバックステーを装備することが一般的となった。(この時点でもトレーニング艇にはバックステーは採用せず)
  5. 日本でも世界選手権で使われるエンパッハやフィリップなどのレース艇が普及するにつれ、レース艇はバックステー付きが常識となっていった。
  6. 普段の練習からバックステー付きの外国艇に乗っている選手が国体やインターハイに出場した際に、バックステー無しの国産規格艇を使うとリガーの剛性不足を感じ、国体や高校総体のレースにで用いる規格艇もバックステー付きにすべきだとの要望が出た。
  7. 日本の規格艇構造も軽量高強度のFRP構造に移行し、バージョンアップする際にリガー構造もバックステー付きに見直しされた。
  8. 規格艇がバックステー付きになった時点で、国産艇についてはトレーニング艇も含めて全てのシェル艇にバックステーが標準装備される様になった。