Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

ブレード形状:

  1. 木製オールの時代:1980年までは木製オールが主体であった。木製オールは各大学ボート部がクラブで設計した特注仕様のモノを1本1本造船所(デルタや桑野)の手作りしていた。東大も含めて通常のマコン型オールを注文するクラブが殆どであったが、クラブによっては、一目で分かる様な特殊なブレードを使っているクラブがあった。例えば、筑波大学のキャッチハーフでの推進力向上を狙ったブレード先端が異様に反り上がったブレード(耳掻きオールと呼ばれていた)や、同志社大学のハイピッチ漕法(コンスタントレート40)を可能にするための極端に小さいブレード(但し、オールの全長は10cm程度長かった)等。文献によれば、チョッパー型の非対称ブレードを考案・製作したのは日本が最初だという話である。
  2. スタンダード型:マコンブレードが一般的になる前は、シャフトの先端の方が少し幅が広がっただけの様な細長いブレードが主体であり、これはStandardオールと呼ばれていた。おやじが大学1年生の頃は新人の試乗会にこの古いオールが使用されていた。ブレードの幅が狭い分、水中でのブレードのスリップが大きく、このオールを使ってハイレートで漕いでいたとのことである。
  3. マコン型:1992年のバルセロナオリンピックでチョッパーブレードが一般化する前は20年近くの間、このマコン型のブレードが一般的であった。マコン型は今でも各大学艇庫の奥の方に置いてあると思うが、やや丸みをおびた左右対称型のブレードである。慶応大学の選手は冬場のトレーニングに今でもマコンオールを使用している模様。
  4. チョッパー型:前項でも触れたが、バルセロナ以降、C2社製のチョッパーオールが一気に世界に普及し、今やチョッパーオールがブレードの基本形となりつつある。このチョッパーオールの狙いは、従来のマコンオールの課題であったキャッチでのブレード固定技術の難しさ、及びフィニッシュハーフでの水の掴みを未熟な漕手でも容易に改善できる様にブレードの下半分の面積を大きくし、且つ、ブレード全体の面積をマコン型より大きくすることで、水中のスリップを小さく出来る様にしたものである。このオールの効果は、ブレードワークの上手い熟練漕手では差が余りでないが、新人やブレードワークの未熟な漕手が使うとタイムが顕著に改善されるとの報告がなされている。
  5. チョッパー型ブレードの種類:C2社のチョッパー型オールは3種類あり。①最初のチョッパー型であるBigBlade(Sweepは55cmと52cmの2種類あり)、②ブレードフェース面にリブが無くノッペリしているSmoothie型(ブレードピッチの計測方法が特殊)、③Smoothieブレードの先端にVoltex Edgeというプラスチック板を貼り付け、且つ、上下の角を丸めたVltex加工のブレード。これ以外に最近急速に普及しつつあるのが豪州Croker社のチョッパーオール。国内で使われているのはSlickブレードと呼ばれているもので、C2のSmoothieに似ているブレード。これはシャフトとブレードの接着部の構造が特殊で、ブレードが一枚の深さに決まった時にそれ以上深く潜らない様に浮力調整されているとのこと。Sweepオールについては、国内で使用されているものは、非力な日本人向けにブレードの下面のシャフト付け根付近が曲線的に少しカットされて面積が小さくなっている。欧米の一流クルーはこのオールをカットせずに大きい面積のまま使っている。
  6. ブレードの留意事項:対称型ブレードでは何も考えずに計測できたブレードピッチであるが、非対称型オールになってからは、メーカーやブレード形状に応じて、それぞれブレードピッチの計測要領が異なるので注意を要する。ブレード銘柄毎の計測要領は各オールメーカーのHPに記載されているので、これを参照する。若しくは、日ボで発行しているコーチング用テキストブック「Rowing For All」に日本語で記載されている。