Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

英国 The Boat Race

先週末、テムズ川で牽牛Boat Raceが行われました。
勝ったのはLight Blueです。
ゴール時の艇差は1.3L程度ですが、一時は2L位まで差が広がりました。

The Gemini Boat Race 2023 - Men
https://www.youtube.com/watch?v=EqqFNWK-Hbs

さて、私が注目したのはケンブリッジクルーの整調の漕ぎです。
丁度、私が淡青会エイトで取り組んでいるり組んでいる漕ぎが素晴らしく出来ています。

即ち:
1)キャッチハーフでの素早いKnees Down
2) フィニッシュ周りでのアウトハンドの軌道が、カタカナの「フ」の字を逆様にした軌道で、ブレード離水とフェザーターンの完了をシンクロさせ、且つ、ブレード離水完了時にブレードと水面のクリアランスを確りキープしています。これでラフコンでも水面を叩かないクリーンなブレードワークが出来ます。
3) ブレード一枚、水平に確りドライブ出来ており、且つブレードリリース時には脱力してハンドルタップダウン出来ているので、泡が非常にコンパクト。これでブレードスリップが小さくなり、有効レンジが伸びます。

対して、少々、みっともなかったのは、オックスフォードクルーの整調。
相手に先行されると、水が空いて漕手からは見えるはずも無いのに時々後ろを振り向いて相手を見ようとしていました。こういう時には目の前にいるコックスに戦況を聞けば良いのです。そのためのコッコスでもあります。
また、ラストスパートする時に、精根尽きたのか、シートが前に出なくなり、フィニッシュハーフみたいなレンジになってヘロヘロになっています。
整調がこの酷い漕ぎでも、後ろ7人でラストスパートしてゴール時には少しさを縮めていました。

また、勝敗を決めたのは、スタートしてから2分から3分後頃の、酷いラフコンのカーブでのコース取りです。
レース中は下げ潮で非常に速い順流でしたが、この最初のケンブリッジがインカーブとなるカーブの終わりは強めの逆風と順流が喧嘩して、酷いラフコンになっていました。この水域では両クルー共に度々オールを波に取られて大きな水飛沫を上げて漕ぎにくそうでした。
さて、このときに、ケンブリッジのコッコスが流れが緩く相対的に水面が荒れていないインカーブの岸寄りのコースに舵を切りました。川の流れは水深の深い川のセンターが速く、順流を活かすには川のセンターが有利で、流れの遅く水深の浅いインカーブ寄りは不利です。しかし、この時は流れの緩いデメリットより、水面がフラットで漕ぎやすいというメリットの方が大きいと咄嗟に判断したようです。このカーブワークと共にケンブリッジはレートを上げてスパートし、元は1/3艇身リードされていた艇差を、逆に2/3艇身リードに逆転しました。
コッコスのギャンブルとも言うべき咄嗟の舵取りでした。

このレースの勝敗は整調とコッコスの差だったかもしれませんね。