Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

大学ボートで身に付けるべき漕技とは:

さて、大学ボートは1年の4月に入り、4年生8月のインカレで終わりというのが一般的なスケジュールである。即ち、大学ボート選手として取り組めるのは約3年半ということになる。シーズンに入るとレースに向けたクルーユニフォーミティを主眼とした練習が主体となるので漕法基本の取り組みは概ね3年間と見るべきだろう。この3年間で漕手として完成の域にまで達せよと言っても無理がある。従い、漕法の基本的な部分が確り身につく様に取り組むべきである。(枝葉末節の部分を先行するのでなく、基本を先に取り組むべき)おやじの考える大学時代に身に付けるべき漕法基本は以下の通り:

  1. キャッチから確りぶら下がれる様にキャッチ前にアウトサイドの腕・肩を確り前に伸ばして両手が伸びたキャッチ姿勢を造る準備を済ませること。
  2. フォワード中のシートスライドの基本は等速フォワード。そしてスライド終盤はギャザー。加速フォワードはダメ。
  3. キャッチ前は早めにキャッチ準備をし、ブレードエントリー前にキャッチの上体姿勢(上記)、ギャザーを済ませて置く事。
  4. キャッチ前のブレード高さを水面ギリギリまで下げ、素早くエントリーする。(キャッチ前の動きが速いと正確なエントリーが出来ない)
  5. 脚のドライブはブレードが1枚水中に入ってから行う。(エントリーとドライブの分離)
  6. キャッチで水を掴んだらハンドルにぶら下がった姿勢で脚のドライブでボディーを飛ばし、漕手自身の体重をブレードに載せる。(腹〜ミゾオチの裏側の背中を飛ばすイメージ)
  7. 水中のドライブは①脚、②腰(上体スイング)、③腕の順、即ち、強い力を発揮するパーツから順に使う。また、各々の力は分離するのではなく、引き継ぎ部分(①→②、②→③)は各々オーバーラップして使い、水中のForceカーブがピークが高く、且つ、裾野がスムーズで凸凹の無い丸々と肥った面積の大きな綺麗な一山を描く様に漕ぐこと。(①脚がドライブされている最中に③腕引きをするのは効率が悪く全く推進力にならない)
  8. 水中のドライブ中はハンドルに対して水平方向にのみぶら下がり、鉛直方向には一切力を加えず、ブレード深さ1枚をキープすること。(アウトサイドの脇が空き肘が上がるとフィニッシュハーフでハンドルを下がりブレードが浮きやすい。対策=肘は自然に下向きとし、手を高い位置でキープする)
  9. キャッチハーフで飛ばしたボディーの慣性力をフィニッシュの腕引き時に全てブレードに伝え切る。フィニッシュでボディーの慣性力をブレードに伝達し終えたら、上体を脱力してブレードを離水し、そのまま流れる様な1モーションの動きでハンズアウェーしてハンドルを膝前に運ぶ。
  10. ハンズアウェーに引かれる様にして上体の前傾を開始。上体の前傾に引かれる様にしてシートスライドを開始し、積極的にリラックスしたフォワードとする。
  11. シートスライドの中盤で上体の前傾は完了し、残りのシートスライドの中で次のキャッチに向けての準備動作(キャザーと腕や肩を前に良く伸ばしてぶら下がりの姿勢を造る)を行う。但し、準備動作の完了とシートスライドのエンドはシンクロさせること。シートが止まった後で上体を前に伸ばすのは適当でない。=不自然な動きは後ろの漕手が合わせられない。
  12. 一般論として、肩の力を抜き、余計な部分は脱力してリラックスしながら漕ぐこと。一方で腹から下の腰周りは常に確り立てて座高を高く保つこと。(座高が下がるとブレードコントロールできない)
  13. Sweepでは1本のオールをアウトとインの両手で持ち、一方向に上体を回転しながら漕ぐ運動である。ここで問題となるのが左右の手の動きは異なるものとなり、自ずとそれぞれの役割がある訳である。Mike SpraklenのRowing Techniqueにもハッキリ書かれているが、Sweepに於ける両手の役割はTurn the blade with the inside hand. Apply power with the outside hand.である。おやじの自論を加味して言えば、アウトサイドハンド:Sweep Rowingの主役であり、ハンドル軌道及びパワーはアウトサイドハンドが司る。インサイドハンド:フェザーワーク(含スクウェアリング)を司る手。インハンドはアウトの脇役として添えておくイメージ。(添えておけば、体のバランスをキープするため、応分のパワーが自動的に発揮される)そして、ブレード回転即ちフェザーワーク中にインハンドに力が入っているとスムーズ且つ素早いフェザーワークに支障を来たす。だからエントリー前や離水時はインハンドをリラックスさせる必要がある。(漕手やコーチの中にはこの事を理解していない者が結構多い)インハンドはフェザーワークしやすい様に少し巻き込み気味に持った方が良いというのがおやじの持論。

下の写真はT大が4連覇した頃(S56年の軽量級決勝)のエントリー時のひとコマ。上で延べた通り、腕と肩が前に良く伸びて遠いところで確り水を掴まえている。アウトサイドの肩が良く前に伸びているので、インサイドハンドも良く伸びており、ロス無くぶら下がれる姿勢になっている。。エントリーに伴うスプラッシュも殆どなく理想的である。(余談だが、このクルーの4番におやじが乗る筈だったのだが、風邪を拗らせたおやじは予選後に高熱を発してドクターストップ。代漕が漕いだT大が優勝。=これが教訓となり、その後レース時に風邪をひいたことはない)