Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

舵手なし艇の操舵装置:

右上の写真は、昨年おやじが施工した無しフォアの操舵装置。舵手無し艇の操舵装置は大きく分類すると下記2種類であるが、最近のレース艇は殆ど写真と同じワイヤー+ワイヤチューブの新タイプ(自転車のブレーキワイヤと同じタイプ)となっている。

  1. ワイヤー+滑車(旧タイプ):特に説明するまでもないが、ラダーヨークからワイヤーを引っ張り、途中、ガンネル内側に取り付けられた滑車を介して、ローイングシューズつま先のワイヤー止め具にワイヤーを固定するもの。設定してしまえば基本的に後述の新タイプと差はないが、ストレッチャー位置を変えるとワイヤーの長さを調整せねばならないので、リギング調整がやや面倒である。
  2. ワイヤー+チューブ(新タイプ):滑車の代わりに自転車のワイヤーチューブを使っているところが味噌。チューブは、自由に曲げることが出来るが、長さは変わらないという特徴を生かしている。これは自転車のブレーキワイヤーと同じ。予め、チューブの長さに余裕を持たせて弛ませておけば、ストレッチャー位置を変更してもチューブが柔軟に追従してくれるので、操舵装置を気にせず、ストレッチャー位置調整が出来る。

さて、本日母校T大の選手が今まで2Xとして使っていた艇を2-に変更すべくラダーを取り付けていた。作業状況を覗き込むと、上記の新タイプの操舵装置で滑車が無いにも拘わらず、艇内の大骨に開いた穴から直接ワイヤーを張って靴のつま先の止め具に固定している。おやじは、この工学的センスの欠片も見えない状況に唖然。原因はワイヤーの長さが足りなかったことだった模様。長めのワイヤーとチューブを新規に調達する様アドバイスしたが、ボートは道具を使うスポーツであり、道具を正しく使うことはボート基本であると認識して欲しい。
一方で、ラダーワイヤーがキチンとクロスして取り付けられていたことは、良しとしたい。ラダーロープをクロスする理由は、漕手が足で舵を取った時に艇がつま先の方向に曲がる様にするためである。(人間工学的に、つま先の向く方向に曲がるのが自然)こうすると、艇が曲がり始めた時の遠心力に耐える様な体勢がとり易いという副次効果もある。予断だが、おやじが20代の頃、国内の某造船所が造った舵手無し艇のラダーロープがクロスせずに納艇されたことがあった。この時は「艇の使い方も知らずに艇を造る様では、造船所として情けないですよ」と言った覚えがある。
本日はこれまで