Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

H)ストローク過程の漕手重心移動(キャッチでの上体の使い方):

VPPでは、オールの振り角に対する漕手の重心移動の加速度変化を入力値としている。
先ず、ストローク過程での重心移動の変化に対する艇速・効率の変化をシミュレーションした。具体的には、キャッチ直後のドライブを脚だけを使って漕ぐOriginalのケースに対して、キャッチ後直ぐに上体を起こして、相対的にキャッチ直後の重心移動を少なくした場合をModifiedケースとしてシミュレーションした。この結果を下図に示す。この結果、キャッチから上体のスウィングを早めに使ってストローク前半の重心移動を抑えたModifiedケースの方が、艇速が改善する結果となった。(Group-Dで1.5秒/500mの改善)効率については結果がややバラついているが、艇速の速いGroup-Dについては効率が改善している。
おやじ自身も、大学時代にキャッチから上体を積極的に使って漕いでいたので、この結果に合点が行く。当時考えていたのは:

  • キャッチ時にブレードが確りと水を掴む前に脚だけでドライブすると、蹴り戻しで有効レンジをロスすると同時に、ピッチングやサージングといった艇の走りに悪影響を与える運動が増大し、船体抵抗が増える。
  • これを防止するために、脚がストレッチャーを押すプレッシャーは保ったまま、キャッチ直後にブレードが水を掴むまでの僅かな間は上体のスイングでハンドルを引き、ブレードが確り水を掴んだところで、最もドライブ力のある脚を使って本格的にドライブする。
  • 上体を早めに起こしているので、脚のドライブを先行して使う通常の漕ぎに対して、フィニッシュまで脚でドライブ出来るので、相対的にフィニッシュを強く押すことが可能となる。これにより、前述のベンドカーブで説明した綺麗で面積の大きい一山のベンドカーブを造る事が出来、スムーズに艇を加速することが出来る。
  • キャッチから上体スイングを使ってゆくことで、尻逃げによる腰痛を防止する効果もあった。
  • 体の小さいおやじが、体格の大きい漕手の中で速いハンドルの引きをスムーズに保つためには、脚と腰のドライブを分離して漕ぐより、脚と腰のドライブを連動させた方が、それぞれの間接の角速度や筋肉収縮の速度を相対的にユックリ動かしてもハンドルが安定して速く引ける。
  • これを実現するために、腰や上体の筋肉を鍛錬したのは言うまでも無い。