Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

社会人クラブのリギング設定に関する具体的な提案

社会人クラブの現況を踏まえた上で、より効率よく、そして気持ち良く乗艇練習に取り組むための具体的な対策(準備)として、次に述べることを提案する。

  1. 利用する艇及びオールを特定する:毎週利用するクラブおなれば、艇の管理人とも知り合いになり、艇及びオールの特定・固定は可能と考える。また、オールとシートについても特定する必要がある。即ち、特定したオールには、艇名とシート番号を明記する。この際、オールの銘柄、仕様は可能な限り同じものを選択すべきである。最近のカーボンオールは多少古くてもヘタリは殆どないので新しい・古いはあまり気にする必要はない。要は機能面で満足するかどうかをポイントにおいて選択すれば良い。
  2. 上記の作業でオールの準備ができたら、次はオールのインボード調整とブレードピッチの計測を行う。インボード調整の要領は説明を省略する。インボード長については、メンバーの体力面を考慮して競技ボートで最適といわれている長さより少し長めにして梃子比を軽めにした方が良いと思う。おやじの提案する標準リギングは別途後述する。ブレードピッチ計測はチョッパーオールになってから少し面倒になった。具体的な要領は日ボのRowing For All若しくはオールメーカーのHPに記載されているので、こちらを参照されたい。計測したピッチ角とインボードはオールに白いビニールテープを貼り付けて、これに明記すると管理しやすい。
  3. リガースプレッドの設定:Sweepの場合インボード-30cmがリガースプレッドの目安となる。以前にも書いたが、リガースプレッドを広くするとバランスが安定する。1cmで体感出来るほどバランスが安定する。前項記載の通り、インボードを長めにすれば、リガースプレッドも併せて広めに取ることになる。結果としてバランスが安定する方向となる。スカルについては、オールの本数が限られてくると思うので、他の艇への併用も勘案して、全てシングルスカルのインボード、スパンでダブルやクォードも設定するのが良いと思う。Rowing For All等競技試行のテキストにはオーバーラップを18cm以上にする様に書かれているが、スカル経験の少ないオジサン漕手が大きなオーバーラップで漕ぐのはちょっと難しいと思うのでオーバーラップは17cm程度で良いと思う。
  4. ワークハイト:お腹の出たオジサン漕手が低めのワークハイトで漕ぐと、腹に支えて漕ぎ難いし、レンジが短くなるので、スリムな現役漕手より高めのワークハイトに設定するのが良いと思う。艇の浮き具合にもよるが、Sweepで17〜17.5cm位が適当と考える。また、ワークハイトのログで書いた通り、エイトでは整調ペアを高めに、バウペアを低めに設定するべきだと考える。概ね1cm位の差。スカルについては、左右の差を2cm程度つけた方が漕ぎやすい。これまた、お腹の出たオジサン漕手が漕ぎやすい様に高めに設定するのが良いと思う。
  5. クラッチ軸の前後傾、外傾調整:輸入艇のリガーは軸が前後傾0度、外傾0度〜2度程度に設定されているものが殆どだと思う。軸の傾斜は前後傾0度、外傾0度が一流漕手の基本であるが、社会人クラブの漕手レベルでは、外傾を1〜2度付けた方が漕ぎやすいと思う。一度計測して現状を確認しておいた方が良い。(軸の角度の計測方法はここでは割愛するが、1X艇の場合は、他の艇と異なり、レール下のウェッジ板を省略するためにデッキが傾斜しているのでデッキを基準にして軸の前後傾を計測するのは間違い。)もし、軸の角度を変更する必要がある場合は、次の様にして角度調整を行う。①軸の取り付け部はリガー本体と溶接で一体化されているので、軸の角度調整は、リガー自体をリガーベンダーという特殊な治具で曲げるか、②若しくは効軸の取り付け基部に角度調整用のウェッジワッシャーを挟むか何れかで行う。曲げるのは大変なので、②のウェッジワッシャーで調整するのが良いと思う。
  6. クラッチ角度の調整:クラッチ軸の前傾を0度にしてあれば、オールのブレードピッチは①オール自体のブレードピッチと②クラッチの角度の合計となる。通常、適正とされるブレードピッチは4度〜5度(Smoothieは1度〜2度)と考える。オールのブレードピッチは通常0度に設定されていること、クラッチの前傾角も4度が標準値であるので、社会人クラブのブレードピッチは4度に設定するのが管理しやすい。クラッチの前傾角はクラッチの上下に差し込まれている角度調整ブッシュ(青いブッシュはFISA規格の13mm径軸用。黒や白いブッシュは軸の径がインチユニットのもので、併用は出来ない)を差し替えて調整する。例えば、オール自体のブレードピッチが-2度の場合、合計ブレードピッチを4度とするために、クラッチのブッシュを6度のものに変更する必要がある。クラッチブッシュの取り付け方はここでは割愛する。
  7. ストレッチャーの調整:①ストレッチャー板が傾斜角を調整可能な物なら、42度程度に設定する。②ヒールデプスを調整する。③デッキ若しくはガンネルにクラッチ軸からの距離を2cmピッチでマーキングする。④ヒールディスタンスd値が自分の体格に合う様にストレッチャーの前後位置を調整する。⑤レールの位置は、キャッチで前に出たときにシートが前端ストッパーに当たらぬ様に設定する。恐らく、長いレールを全て使える程脚の長い漕手はそうはいないので、後端は余るはず。一度設定したら、クラッチ軸からレール前端までの距離を測って自分の数値として覚えておくと良い。