Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

1982年のT大対校エイトのビデオ;

久し振りに学生時代のエイトのリズムを思い出したので、以前編集したおやじが大学4年生の時のT大エイトの乗艇練習ビデオを見てみた。
この年のT大エイトは全日本選手権四連覇を達成したクルー。オールがマコンブレードであること、また、木造艇と、今と道具は異なるが、漕法の基本は今と何ら変わる事はない。改めて見直してもユニフォーミティー、ブレードワークの正確さ、ドライブの強さ等、学生エイトクルーの漕ぎとしては良いレベルだったと思う。
実はこのクルー、漕手8名の内、4年生は3人。残り5名は3年生という若いクルーだった。3年生の方は当然ながら全日本エイトの決勝に出場するのは初めてだし、漕歴も2年程度と浅く、なかなか正確なブレードワークで2000m漕ぎ切れる様になるには、練習に時間を要した。特に重点を置いて取り組んだのは、キャッチから水を掴んで素早くシャフトのベンドを作り、上に凸の綺麗な一山のベンドカーブ(フォースカーブ)を描く様に漕ぐ事。そのためにはフォワードの終盤に正確なキャッチをイメージしながら前に出て、スパッと8名同時にエントリーすること。
このキャッチは、キャッチ前にフォワードを加速するラッシュフォワードでは実現困難なので、フォワード終盤をギャザーを意識しながらフォワードを減速する様にした。フォワード終盤に余裕を持たせるために、フィニッシュ後のハンズアウェーを思い切り速く出す様にした。この素早いハンズアウェー&ボディーリカバリー+減速フォワード(スライド)+キャッチからの強いドライブが、1982年のT大エイト独特のリズムとなった。キャッチ前フォワードの減速がハッキリしていて、一見、キャッチ前に止まっている様に見えるので、当時の部内外のギャラリーには賛否両論いろいろあった様だ。しかし、正確で力強いキャッチからのドライブを、漕歴の浅い3年生主体のクルー編成で実現するために、結局、こういうリズムを採用した。そして、それを徹底的に取り組んだ結果、目標とした4連覇を達成することが出来た。
漕ぐのが人間であり、ボートのリズム(漕法)というのは、音楽・リズムの好き嫌いが千差万別であるのと同様、クルーやコーチによって好き嫌いがあり、これが誰にとってもベストのリズムというものは存在しない。クルー毎に創造力を思う存分発揮して自由にやって良いと思う。