Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

無しペア(2-)とダブルスカル(2X)兼用の弊害;

乗艇練習を終え、揚艇すると艇庫内でJr漕手が無しペアのリギング調整をしていた。未だ十分な漕歴もないJrが、何で無しペアを整備しているかと思い、声を掛けてみた。すると「明日の日中、若手OBと一緒に無しペアを漕ぐ」とのこと。聞くと初めて無しペアに乗ると言う。無しペア艇で最も重要な点であるラダーシステムはシッカリ整備されているかどうかが気になり、見てみた。するとやはりキチンと整備されていないというか、素人が本来あるべき取り付け状態を知らずに、「やっつけ」仕事で取り付けただけの状態だった。即ち:

  1. 舵手無し艇の舵は右足の靴先に固定されたラダーワイヤーを靴を左右に傾けることで操舵する。人間は本能的に爪先の向く方向へ進もうとする性質があるが、ラダーワイヤーをクロスすると爪先の方向へ艇が曲がって行くので具合が良い。逆に通常の舵手付き艇のワイヤーの様にワイヤーをクロスせず、パラレルにすると爪先と逆方向に曲がるので操舵しにくい。本艇は舵無し艇の常識を知らぬ物がラダーワイヤーをクロスせずに取り付けてしまった模様。その場でラダーヨークを上下反転させてクロスし直した。
  2. 次に右足の靴を左右に傾け、ラダーが左右均等に振れるかどうかをチェックしてみた。すると全く左右均等になっていなかった。ワイヤー固定位置を調整すれば良いことだが、無しペアに初めて乗るJrにそんなことを言っても短時間で理解・調整できる筈もなく。。。
  3. さらにストレッチャー周りのラダーワイヤーの装着状況を見て愕然。本艇はFilippiのレース艇で、ストレッチャー位置を前後に移動させてもワイヤーの長さ調整をしなくて済むように、自転車のブレーキワイヤーのチューブを転用したワイヤー・チューブ方式になっている。要するに自転車のブレーキワイヤー同様、チューブが長めに弛んで取り付けられていることにより、多少チューブが曲がってもチューブ内部のワイヤーの長さ・テンションは変わらないという優れた機構。(文章で書いても分らぬ方は下の写真を参照されたい。写真が本来の状態。)それが何とチューブが超短く切断され、ワイヤーが直線状にピン張られて、チューブが用無しになっていた。チューブ無しの滑車機構ならこれで良いのだが、チューブ方式なので。。。チューブが固定される筈のワイヤー穴を見ると、ワイヤーが直接擦れて摩耗してすり減っていた。。。ボートが可哀そうだ。

さて、上記の状態、艇が納入された2−のまま使用されていれば、上記のような可笑しな取り付け方になる筈がない。では何故こうなったのか?それは2-と2Xのコンバージョンを何度か繰り返して行く内に本来の取り付け状態が分からなくなったり、パーツが無くなったりしてこうなってしまったのだと思う。そういえばこの艇も夏場に2X艇として使われていた様だ。
何が言いたいかといえば、クラブ内で艇の数が十分にあるのであれば、2−と2Xのコンバージョンは避け、各々2−或いは2Xの専用艇として使用すべきだということ。特に2Xとして使う場合はラダーシステムは不要。また、ラダーシステムを外しても、船尾のラダー用の穴が残って推進抵抗になったり、ストレッチャーがガタついたりしてデメリットがあるので、2Xは専用艇を購入すべきだと思う。勿論、艇の所有数が限られたクラブでは兼用艇とせざるを得ない場合もあるが。。。
以上