Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

2019年WRC: LW2X決勝動画から読み取る情報


<動画>
Lightweight Women's Double Sculls (LW2x) - Final A
2019 World Rowing Championships - Linz, AUT
https://www.eurovisionsports.tv/fisa/#AA38ZH0PNB

今年の世界選手権LW2Xの決勝動画を見ながら、静止画を切り取り、よく見てみた。
思いの外、映像が鮮明なので、いろいろな情報が読み取れた。

1.使用しているオール:

6クルー中、5クルーがC2製のSkinny shaft + Smoothie2ブレードを使用。
1クルーは、Croker製S39 shaft + Arrow Blade。
後述するように女子用の短いオールにするならシャフトは柔らかいものを選択すべき。
Smoothieならextra soft、CrokerならS39 soft

2.グリップ:

軽量級女子ということで小径ハンドルを使用する漕手が半数以上。
使用されているグリップ:

  • Green Rubber: 32mmφ
  • Suede Thin: 32mmφ
  • Orange: 33mmφ
  • Croker Pink: 31mmφ

手の小さい日本人なら、31~32mmφの小径ハンドルが適正だろう。

3.オールの全長

目盛りの数値が読み取れないが、LW2X決勝出場のクルーがMedium Lengthのオールを使用していると仮定すれば:
C2製オール使用クルーは、285cm~286cm辺りに設定している模様
英国はCrokerの284~289cmのオールを使用しているとすれば、一番短く284cmに設定している様に見える。
一般的な身長の日本人女子漕手(160~165cm)であれば、オールの全長はC2の標準設定で言えば、Shortの281~286cmが適正と思う。

4.漕ぎのスタイル:

全てのクルーが良く撓る小径シャフトオール(SkinnyやS39)を使用しているためか、キャッチハーフで一気にLeg Drive(Knees Down=膝の潰し)して、早めにシャフトに撓りエネルギーを溜め込む漕ぎをしている。具体的にはドライブのミドル迄に一気に膝を落とし膝が伸びきっている。
6クルー全てが良く似たようなローイングスタイルになっている。
ということで、小径シャフトオールで漕ぐなら、膝の潰しを先行させる漕ぎが有効と考える。

5.ハンドルクロスオーバーの処理:

この点に関しては3種の方法が見える。

  • NZL:ドライブで僅かに右手の肘を早期に曲げて握り拳一個分、右手を先行させる。
  • FRA&GBR: 明らかに右手を前後にリードさせ、ハンドルの上下差をミニマムにしている。
  • NED:シンプルに、左右同時位相でドライブし、クロスオーバーはハンドルの上下差だけで交差している。

6.意外に整調とバウの動きが合っていない。

金メダルのNZLクルーの動きを真後ろから見ると、整調はB-sideに体を傾け(膝も傾けている)バウはS-side側に体を傾けている。(笑)
ただ、前後の動き・ドライブは良く同期している。

<切り取った静止画像>

ニュージーランド:1位、7:15.32

  • C2製オール
  • Skinnyシャフト
  • Smoothie2ブレード
  • #S:Orengeグリップ(33.5mmφ), #B:Suede Thinグリップ(32mmφ)

 グリップは整調とバウで異なる仕様。
ブレードエントリー。臑は鉛直。シートは前に良く出ている。上体の前傾は小さく、脚だけで漕いでいるイメージ。
 ドライブミドル。膝の潰しはほぼ完了。ハンドルクロスオーバーのやり方が整調とバウで異なる。
 フィニッシュ押切り。左右のハンドルの高さの差は5cm程度。ハンドルクロスオーバーのやり方が整調とバウで異なる。
 フィニッシュ押切り。真後ろから見たところ。整調はB-sideへ傾斜。バウはS-sideに傾斜。二人の動きが左右でずれている。

オランダ:2位、7:19.51

  • C2製オール
  • Skinnyシャフト
  • Smoothie2ブレード
  • #S:Orengeグリップ(33.5mmφ), #B:Green Rubberグリップ(32mmφ)

 レッグドライブ中。ハンドルは同位相で、左右の手のクロスオーバーは上下差で交差している。
 ドライブミドル。クロスオーバーは同位相でハンドルの上下差で交差している。膝の潰しはほぼ完了。
 ブレードリリース開始。左右の手の軌道の差は、クロスオーバー時のまま左手上、右手下。左右の上下差のギャップは5cm強で大きめ。
 フォワード中盤。ハンドルクロスオーバー時も左右は同位相で上下差だけで交差している。左右の上下差は10cm近くある。

英国:3位、7:21.38

  • Croker製オール
  • S39(soft?)シャフト
  • Arrowブレード
  • Pinkグリップ(31mmφ)

 オール全長をmedium:284-289cmとすれば、最短の284cm
 フィニッシュ押切り。クロスオーバーを右手先行の位相差で交差している。左右のハンドルの高さの差はミニマム。押切りの前にLeg Driveは完了、膝が完全に伸びている。
ブレードリリース。左右のハンドルの高さの差はミニマム。ブレードをクリーンにリリースしている。

ルーマニア:4位、7:21.73

  • C2製オール
  • Skinnyシャフト
  • Smoothie2ブレード
  • Green Rubberグリップ(33.5mmφ)


フランス:5位、7:23.20

  • C2製オール
  • Skinnyシャフト
  • Smoothie2ブレード
  • Orengeグリップ(33.5mmφ)

 オール全長をmedium:284-289cmとすれば、286cm
ブレードエントリー。整調の臑は前傾していて、シートは前に良く出ている。上体の前傾は小さく、脚だけで漕いでいるイメージ。
 フィニッシュ押切り。クロスオーバーを右手先行の位相差で交差している。左右のハンドルの高さの差はミニマム。押切りの前にLeg Driveは完了、膝が完全に伸びている。

ベラルーシ:6位、7:31.53

  • C2製オール
  • Skinnyシャフト
  • Smoothie2ブレード
  • Green Rubberグリップ(32mmφ)

以上