Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

リギングその1(リギングとは何か?)

oyajisculler2004-09-29

リギングといえば、ボートの経験者なら誰でも知っている言葉であり、作業内容は、所属するクラブの標準値やコーチに指定されたリギング値になっているかどうかをチェックし、不具合があれば所定の値になる様に調整する作業のことである。具体的には、体格に応じてストレッチャー位置を調整したり、ワークハイトの変更、ブレードピッチ(角度)の調整、オールのインボードやリガースプレッドの調整等がある。
しかし、これらのリギング調整は何のために行うのであろうか?おやじの考えでは、リギング調整は次の2つのことを目的としている。即ち、
①漕ぎ易くする。(漕手が艇上で、自らの体力を100%出し切れる様にする。)
②推進効率を改善する。(漕いだ力が可能な限り、全て推進力になる様にする。)
以下、リギング調整の目的2点について考察する。

①漕ぎ易くする:

漕ぎ易くするということを簡単に言うと、陸上のエルゴメーターで出せるパワーを艇上でも同様に発揮できる様にするということである。これを阻害する要素をリギング調整で修正するのである。即ち、ブレードピッチが適正な角度になっておらず、ブレードが大きく切れ込んだり、浮いたりして、確りブレードで水を捕らえることが出来ない、或いは、バランスが悪くて思い切って水中を押すことが出来ない等。これらはクラッチのブッシュ角を調整したり、ストレッチャー高さや角度を調整したり、ワークハイトを調整して漕ぎやすくする等の調整が必要となる。兎に角、艇上でエルゴ並みに思いっきり力を出しきれる様にリギングを調整することである。

②推進効率を改善する:

エルゴメーターの値が最も良い漕手が、必ずしも水上で一番を取れないのは何故であろうか?これはローイングボートをエンジン付きの船に例えることが出来る。即ち、エンジンの出力が如何に大きくても効率が非常に悪い推進器(スクリュープロペラ)がついていたり、エンジンの据付が悪く出力が推進軸に効率良く伝わらなかったりすると、搭載したエンジンの出力は小さいが船主の整備が良く、且つ、効率の良い推進器をついた船にスピードで負ける場合がある。これが推進効率の差である。ローイングボートの場合、リギング関係で推進効率に関係するものとして次の様な例を挙げる事が出来る

  1. ブレードピッチが適正になっていないと、漕ぎ難いだけではなく、漕手の力がボートを進めることに寄与しない上下方向の力に分散されてしまう。
  2. ストレッチャーの位置が適正でないと、キャッチ角45度、フィニッシュ角35度という理想的なストロークアークから外れてしまい、漕いだ力が効率的な推進力にならなくなる。(ストレッチャーが船尾側に寄り過ぎているとキャッチ角度が過大になり、キャッチ付近でボートを横に押す力が強くなりボートを進める力が弱くなる等)
  3. ワークハイトが低すぎると多少水面がラフになっただけでブレードが水面を叩いてしまう等の問題が生じる。逆に高すぎると、強くハンドルを引くことが出来なかったり、ブレードが1枚水中にキープできなかったりする。

推進効率については、リギング以外にもリズムの良し悪しやボートの性能等が大きな要素となるが、ここではリギングに限定して考察する。

社会人クラブで留意すべきこと:

パルテ会等、中年以上の漕手を主体とした社会人クラブは大学ボート部の様に公式レースで優秀な成績を挙げることを目的とした競技団体とは別の問題がある。即ち、クラブメンバーの多くが競技者としてのピークを過ぎ、体力が落ちていると共に体重過多、肥満によるお腹の出っ張りなどがあり、競技者として一般的なリギングと少し違ったリギングにした方が効率よく漕げると言う場合がある。また、週1回程度の頻度で練習会を行うのであるが、毎回、異なるメンバーでクルー編成することになり、その都度体格に合わせてワークハイトを調整していたのでは幾ら時間があっても足りなくなってしまう。この辺りは誰が乗ってもある程度漕げるようなリギングにしておいて、後は身長に応じてストレッチャー位置のみ調整するのがプラクティカルであると思う。
以上、リギングに関する序論を纏めてみた。今後、リギングの項目毎にログに記載する予定。

PS:本日の夜間練習:

本日予定通り夜間練習を行った。天気の方は台風21号と秋雨前線の影響か、あいにくの雨天であった。ただ、気温は20度以上あり、寒さは殆どなく、風・波がないので漕ぎやすかった。
乗艇前に先日のログでも記載したストレッチャーの微調整を行った。即ち、ストレッチャー位置を船尾方向で5mm程度移動し、フィニッシュでのグリップエンドの開きを20cm程度になるようにした。併せてストレッチャーボードの角度を測ったところ、45度になっており、適正といわれる42度より立っていたので、3度寝かせて42度に調整した。
本日は10月の1000mレースの準備のため、スタート練習や短漕を行ったが、ストレッチャー角度を適正値に調整した(寝かせた)ことで、バランスがかなり改善した。やはりリギングは重要である。
本日のログはこれまで。