Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

平板の抗力係数試験結果:

流速の中に置かれた平板の過重(抗力)Fは次の式で表される。
F=Cn * 1/2*ρ*U^2*S (但し、ρ:水の密度、U:流体との相対速度、S:平板の面積)
上の式のCnが平板の流体力係数=抗力係数を示す値である。このCnが大きい程、ブレードの発生する流体からの抗力が大きい、即ち、ブレードが良く固定され、無駄なスリップが発生しないということである。
さて、下の実験結果のCnカーブをご覧頂きたい。平板(以下、ブレードと称す)の深さが異なるCase AとCase BでCnのピークの値を見比べると、水面ギリギリのCase Aは10cm沈めたCase BよりCn値が30%も低い値になっていることが分かる。これはおやじの考えるイメージと良く合っている。
コーチによっては、水面付近は表面張力が大きいのでブレードを深く入れるより、ブレードが良く固定されるということを選手に指導している者がいるが、これは少々誤解があると思う。おやじは、自分で漕いだ経験から、ブレードを完全に没水する様に深めに入れた方がブレードが良く固定され、スリップが少なく(=泡がコンパクト)効率が良いことを知っている。(シャフトが大きく没水するほど沈めてはダメだが。。)この論文の実験結果で、おやじの自論が正しかったことが実証された様で、非常に気分が良かった。ヨシヨシ! 実際、世界選手権の決勝で漕いでいるトップ漕手の漕ぎを見るとブレードが確り深く入っているのが分かる。ブレードが浅いと、ブレードがスリップして水面付近を浅く引っ掻き回した様な馬鹿でかい泡が出来てしまい、ブレードの効きが悪くなるだけでなく、有効レンジが短くなってしまい、何も良いことが無い。シャフトにすだれが掛かるほど深くしない範囲であれば、ブレードはある程度深めに入れた方が良いのは明らかである。

本日の解説はこれまで。