Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

午前中は嵐で乗艇中止

昨夕から低気圧が北海道西の日本海を北上したため、昨夕から茨戸は強風が吹き荒れ早朝は強い横殴りの雨もあり、とても乗艇できるコンディションではなかった。
従い、早朝の乗艇は中止し、エルゴ講習会とビデオセッションを行った。

エルゴ講習会:
北大は新人から上級生まで合計20名以上。
エルゴを漕ぐうえでの留意事項を幾つか伝えた。

  1. エルゴを漕ぐ際に、履物に留意する。即ち、ドライブした脚の力が吸収されてしまう様なソールの厚いジョギングシューズは避け、裸足若しくはソールの薄い体育館シューズなどを着用する。サンダルを履いてエルゴを漕ぐのは全くNG。
  2. 大学男子選手の場合、Drag Factorの適正値は120〜140程度。100などの軽すぎるDF値では出力が出し切れない。腕で引ききれる範囲で重めにした方が出力が出しやすい。DF値の選定は自転車で言えばギアの選定に相当する。ローギアで速度を上げようとしても空回りして出力・速度が伸びない。
  3. エルゴで出力を出すには、レンジとドライブ力の両方が必要。勿論、乗艇でも同じこと。従って、エルゴを漕ぐ際にはレンジを伸ばす努力が必要。レッグドライブだけでなくボディースイングも使うので、ハンドルの軌道は高めにした方がレンジが伸びる。フィニッシュでのハンドル引き切りは胸の乳首辺りとする。
  4. エルゴトレーニングの基本は、低レートUT漕。17〜18の低いレートで60分漕を行うとよい。但し、途中で給水しないと脱脂症状を発するので、20分 x 3に分割し、間に給水レスト20秒を入れる。
  5. 2000mの記録を向上するには、エルゴ大会の1か月半前からエルゴトレーニングの準備をする。メニューは上記60分漕以外に、レースペースに近い負荷でインターバル系トレーニングを行う。例えば、250m x 12(rest:1.5〜2分)、500m x 6(rest:3〜4分)、1000m x 4(rest:4分)、30分漕
  6. 500m x 6の平均値は、1000m一発のペースと同等であると見做し、これを以下の算式で2000mの平均ペースに変換する事が出来る。2000mペース=500m x 6平均ペース x (2000m/1000m)^(1/18)。これで2000m漕の目標ペースを計算し、目標とすると良い。
  7. 2000m漕トライアルの前に、上記を参考に目標値を設定。その目標を応援者に伝えて、目標を共有すると達成確度が高まる。目標値は必達目標と挑戦目標の2本立てとすると取り組みやすい。

上記の基本要素を伝えた後、全員にエルゴを漕い貰い、一人ひとりの漕ぎのフォームに関して気づき事項をアドバイスした。

ビデオセッション:
エルゴ講習会の後、2年生以上の上級生を対象にビデオセッションを実施。
Youtube動画で、参考とすべき世界の一流漕手・クルーの漕ぎを皆で見ながら、目を付けるべきポイントとテクニックに関してアドバイスした。
留意すべき点としては:

  1. 低レートUT漕を漕ぐ際には、フィニッシュに向けて加速感をもってドライブする。
  2. 乗艇では、エントリー及びフィニッシュ(リリース)でのブレードの上下方向の動きが必要となる。この上下方向(縦の動き)の動きをする際には、上体や腕をリラックスさせてスムーズで素早いハンドルワークが必要となる。
  3. 押し切りとリリースは分離してイメージする。即ち、ブレード一枚押し切った後、腕をリラックスさせてハンドルを斜め下にタップダウンしてクリーンにリリースする。豪州Drew Ginnのリリーステクニックが抜群に上手い。
  4. スカル漕ぎでは、英国Zac Purchaseの漕ぎが素晴らしい。特にフェザーワークをフィンガーターンで行う点、キャッチ前の速めのスクウェアリング、ドライブの加速感が良い。
  5. 近年、低レートUT漕を行う際、Pause at the Finish付きで漕ぐ国が増えつつある。例えば、豪州、そしてスイスなど。P@F付きとすることで、(1)レートを落としやすい、(2)フォワード時間が長くなるので1本1本全力に近い強度でドライブできる、(3)クルーボートの場合動きを止める瞬間を入れると合わせやすく且つ集中力を持続できる、(4)1本1本リフレッシュできるのでブレードワークの質が向上する。(5)ドライブの加速感を出しやすいなど。

朝、漕げなかったのは残念だが、座学で漕技などの確認、イメージの共有を行うことも効果がある。

午後は雨・風が止み、小樽商大と付きフォア乗艇

北大との交流を終え、隣の小樽商大合宿所へ移動。(北大と小樽商大の艇庫・合宿所は良く並びで仕切りの壁がないので移動が簡単)
一休みした後、小樽商大の新人トレーニングを見た。
 11時54分。小樽商大新人のウェイトトレーニング。手前の赤いシャツの長髪新人(男子)は高校まで陸上短距離をやっていたということで、物凄いマッチョマンだった。(最早、ボート選手としてはウェイトトレーニングは不要)

小樽商大の新人にもエルゴ講習会してほしいとの要請あり、北大向けに実施した内容の講習会を実施。小樽商大の新人及び新人コーチがエルゴのDrag Factorを知らなかったのには驚いた。その場でDF値に関して説明し、次回からDF値基準で負荷を設定する様に伝えた。
小樽商大の新人は人数が少ないが、よく筋肉がついたガッチリした選手が多いのが印象に残った。

その後、13時頃に上級生の付きフォアクルーが集合した。
私が整調を漕いで、一緒に付きフォアを漕ごうということになり、早速リギングを開始。リギングの基本に関して講習会をしながら作業を開始した。
艇だけでなく、オールのリギングをするのでオールを出して貰った。
ここで驚いたのは、上級生の対校クルーが15年以上前の古いオールを使用していたこと。これ以外に新しいオールは無いとのことだった。
Concept2製のUltralightシャフト、Smoothie1ブレード、黒スリーブ、旧式アジャスタブルハンドル付きのオールで今では骨とう品モノだ。
C2オールは1年も使うと捩れが出る問題があり、この古いオールも捩れが酷い事が容易に推察された。
その場でブレードピッチを計測したところ、4本とも酷く捻じれていた。また、オールの全長も374cmと、エイトで漕いでいた時のものをそのまま使っていた。(重すぎる)
この対校クルーは平均身長が172cm程度と小柄なので、オールの全長を370cm、インボードを84cmに調整しなおした。更にブレードピッチが0度となる様にスリーブを大きく削り、何とか修正した。
 14時29分。スリーブをカッター刃を使って切削加工中。
 同上。
 北海道は気温が20℃以下でセーターを着た。

その後、艇のリギング調整を行った。PTH値は、特に基準を持っていなかったので、大雑把な目安としてPTH = 35cm + (身長-180cm)/2で設定しなおした。
以上のリギング調整で約3時間を要した。
 14時58分。4+艇のリギング作業をするクルー。
 この艇は今年6月に進水した新艇。

その後、16時頃に岸を蹴って乗艇。私やLBRCエイトがいつもやっている定番W.Upメニューでアップし、P@F付きUT漕を行った。

 16時26分。岸蹴り。

SR17〜18で、平均で2'04"/500m程度の艇速が出た。まずまずの感触だった。
 16時39分。水上で随時アドバイスしながら漕いだ。

 16時45分。静止スタート練習
 16時52分。奥に青い橋が見える。
 16時59分。

 17時14分。一度揚艇してリギング変更。
 17時26分。リギング確認のため、再び水上へ。


<動画>
ブッシュ角4度で最初漕いだが、ブレードが浮いて一枚決まりにくかった。
https://www.youtube.com/watch?v=6DXnE-zQKdk&feature=youtu.be

https://www.youtube.com/watch?v=3ryNnz7Mbhk&feature=youtu.be

<ブッシュ角変更前(4度)>
https://www.youtube.com/watch?v=ipgi0p69lTQ

ただ、ブレードが浮き気味で一枚決まりにくかったので、一度揚艇してクラッチのブッシュを4度から3度に変更した。
この結果、ブレードが一枚決まりやすくなった。

<ブッシュ角変更後(3度)>
https://www.youtube.com/watch?v=gHSYuYS7HJw&feature=youtu.be


揚艇後に艇の洗浄要領もアドバイスし終了。
付きフォアクルーに感触を聞いたところ、オールを短くしたり、リギング変更した結果、これまでより漕ぎやすくなったとのことだった。

茨戸ガーデンでジンギスカン

揚艇後、直ちに着替えて茨戸コースに隣接している茨戸ガーデンでジンギスカンを食べた。
羊肉だが、昔感じた様な羊独特の臭いは全くなかった。飼料が改善しているのかもしれない。
小樽商大OB、そして選手と食事をしながら談話。楽しいひと時だった。

夕食後に明日乗艇の2X艇をリギング

夕食時に、小樽商大2年生の女子漕手:T畑さんと明朝2Xを漕ぐこととなった。リギング作業に1時間以上掛かるので、夜遅い時間だがリギング作業を行った。
T畑さんは、高校時代にバレーボールをやっていたという事で、体が大きく、エルゴは2年目にして7'40"で漕ぐとのこと。
但し、リギングの基本を学んだことがなく、どの様にセッティングしたらよいか教えて欲しいとのこと。
そこで、リギングは以下の通り設定した。

  1. オール:私(男):全長285.5cm, Inbd:86cm, T畑(女):284.5cm/85cm
  2. スパン:私:158.5cm, T畑:156.5cm
  3. ハイトの左右差: 2.5cm差(T畑さんはこれまで1.5cmとしていた模様)
  4. PTH値:33cm + (身長-180cm)/2

21時頃から作業を開始したが、作業を終えたのは23時を過ぎていた。

結局、小樽商大関係者との交流は丸々12時間に及んだ。
しかし、様々な驚きがあり、飽きずに楽しむことができた。

以上