Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

東大エルゴ計測:シリーズテスト

oyajisculler2018-03-13

東大大学院、野崎大地教授の研究室で開発したローイングエルゴメーター計測システムがある。
今日は、この計測システムを用いて各種のシリーズテストを行った。

各種詳細セッティングの違いによる漕ぎの効率やアウトプットの影響を計測することが目的であり、極力、安定した漕ぎを継続可能な熟練した1名の漕手が、全てのシリーズテストを行う。今回は、特任研究員の私自身(氏家祐二)を被験者として計測した。

1以下に記す各種の計測を全て一人で漕いだ。

13時頃からウォーミングアップし、全ての計測を終了するまで2時間半程度。
累計の漕いだ距離は18km程度で、良いインターバルトレーニングになった。

計測の基本条件:

  1. 1名の被験者が全てのシリーズテストを行う。
  2. 着衣はローイングスーツ一枚とする。
  3. Drag Factorは全て固定(DF140)とする(DF値変更計測を除く)
  4. 計測するデータ:ストレッチャー荷重、ハンドル移動及び力、シート移動
  5. Stroke Rate及び計測Stroke数:SR22, SR24, SR28で各10本計測

ストレッチャー高さ変更変化のシリーズテスト:

C2製Rowing Ergoマシン(Model-D)はストレッチャー高を0から6まで7種の高さを任意に選択することが出来る。高さを変更した場合のストレッチャーへの荷重や、レンジや出力への影響を計測する。

ストレッチャー高さを変更することで、出力にどの程度影響するかを見たかった訳だが:

  • ストレッチャーを高くすると、脚伸展のドライブ出力は水平成分が増加するメリットがある一方で、上体が前傾しにくくなりハンドルの移動レンジが短くなるデメリットがある。
  • ストレッチャーを低くすると、脚伸展のドライブ出力は無駄な下向きの成分が増加するデメリットがある一方で、キャッチで上体を前傾しやすくなりハンドルの移動距離が長くなるメリットがある。

 通常のストレッチャー高さ(No.4)
ストレッチャーを最も高く設定した場合(No.0)
という事で、ストレッチャー高さを変更しても、然程エルゴの出力には変化を来さなかった。

シューズの変更に関するシリーズテスト:

C2製Rowing Ergoマシンは、下駄方式であり、漕手は靴を任意に選択することが出来る。
実際に艇に取り付けるRowing Shoesはソールの薄い専用の靴であり、Rowing Ergoマシンでも体育館などで用いるソールの薄い靴が良いと考えられるが、以下の3ケースに関してシリーズ計測し、最適な靴の在り方を求める。

  1. ソールの薄い体育館用のシューズ
  2. 素足:靴を履かずに素足で漕ぐ
  3. ソール踵部の厚いランニングシューズ(ジョギングシューズなど)

 ソールの薄い体育館用シューズの場合(高さ:No.4)
 素足の場合(靴をは履かないのでストレッチャーはNo.3に設定)
ジョギングシューズの場合(高さ:No.4)

計測の結果、靴による影響は小さいものの、やはり底の薄い体育館用シューズで漕いだ場合が最も出力しやすかった。

Drag factor変更のシリーズテスト:

DF値: 100, 120, 140, 160, 180

DFを変更すると、出力に大きな影響が出た。
基本をDF140とした場合、DF100までドラッグを下げると、フィニッシュまわりでボディーの慣性力をハンドルのドライブ力に変換する事が十分にできないため、出力が5%程度下がった。

DF120の場合は、DF140の場合より僅かに出力が落ちたが、1%以下であり僅かな変化だった。

一方で、DF値を大きくすると有意な出力の増加が見られた。以下、基本のDF140での出力を100%とした場合:

  • DF160: 103%程度
  • DF180: 106%程度

しかしながら、DF値を大きくするとウェイトトレーニングをやっている様なキツさがあり、10本を確り漕ぐので精一杯で、それ以上の本数では出力を維持しきれない感触があった。

という事で、2000mなど中長距離で最も良いペース(出力)を維持するにはDF120〜DF140辺りに設定するのが良い様に思われた。

計測したデータはボリュームが大きいので、データの整理に時間を要する。
おって、計測データを整理する予定。

以上