Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

ドライブの基本:ブレード一枚長く平に押す!

oyajisculler2007-03-05

現在、パドルの有酸素運動化に取り組んでいる。平均年齢40歳台の中年クルーは大学生等の現役クルーに比べると、ランニングや乗艇練習などの有酸素運動に掛ける時間が不足しており、有酸素能力は現役選手に劣る。一方で若い頃に培った筋力は、それなりに維持しているのでボートでパドル(レースペース)を漕ぐと「蹴って休んで」というコントラスト重視型の無酸素運動に陥りやすい。
まあ、1分半程度で終わる500mレースは無酸素運動主体で良いと思うが、2000mとなると主体は中盤の有酸素運動となる。この中盤でレーススピードを確保するにはパドルのリズムやローイングスタイルを有酸素系にする必要がある。中年クルーのレース中盤を有酸素運動とするには、先に述べた「蹴って休んで」というコントラスト重視の無酸素運動漕ぎではなく、レートを高めに維持し(水中強度をやや落としてでも)ピッチ(手数)でボートを進め様というものである。

パドル有酸素運動化:フォワード時間の圧縮

こうするためには、ドライブとフォワードの比率を1対2ではなく、1対1.5、極端に言えば1対1ぐらいのイメージで漕ぐ必要がある。これを達成するために必要なのが、Quick Hands Awayや素早いボディーリカバリーである。しかし体力のない漕手はこうすると、往々にしてレンジを切ったり、或いは苦しくなってブレードを浅くしてドライブの時間を短くしがちとなる。しかし、そういう端折った漕ぎ方では結局、望む艇速は得られない。

高レートでもレンジと水中一枚キープが必須

ボートで推進力を得るには、ブレード一枚長く平に押さねばならない。当然のことだが、苦し紛れにレンジを切ったり、ブレードを浅くして重さから逃げようとしてはダメである。レース中に苦しくなった時に、ブレードを浅くするぐらいなら、極端な言い方だが、水中を押す力を緩めても良いのでブレード一枚の深さをフィニッシュまでキープすべきである。何故なら浅くしたブレードは水を引っ掻き回すだけで推進力を発生しないが、ブレード一枚入っていれば弱いながらも押した分だけは推進力を発生するからだ。ブレードというものは一枚水中に入った時に推進力(即ち流体力学上の揚力)を発生するものである。

アテネ五輪米国エイト:レンジとブレード一枚が勝因

今日は久々にアテネ五輪のエイト決勝ビデオを見た。米国エイトが優勝したレースだ。中盤で米国クルーは1艇身リードし、カメラでクローズアップされたシーンがタップリあり、彼らのブレードワークが良く観察できる。この時に米国クルーが勝った理由は、レンジが長いこと。(キャッチ角は60度位ある様に見える)また、ブレードがキャッチからフィニッシュ直前まで一枚ドップリと水中に入っており、スリップが小さいこと。この2点に集約される。勿論、ユニフォーミティーフォワード中に良くリラックス出来ているということもあるが、他を圧倒しているのはレンジとブレード一枚キープである。
以上の要点を留意して、パドルの有酸素運動化に取り組んで行きたい。