Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

1)漕ぎ方:

漕ぎ方の留意点に関しては2月1日のログエルゴの漕ぎ方・留意点 - おやじスカラー戸田便りに纏めた通り。この内容を説明する。確りポイントは次の通り。

  1. ブレードを水中一枚キープすると言う意味でストローク中はハンドルを水平にドライブする
  2. フォワード中もハンドルを水平に動かす。特にハンドルが膝前を過ぎ、ボディーセットした後は、脚のドライブでキャッチを掴む為にハンドルを高く保ち水平に出す。(今のT大選手はの殆どは、エルゴを漕ぐときにキャッチ前にハンドルをダランと下げており、これが癖になっているのか、実際の乗艇でキャッチ前にブレードが酷くフライアップしている。)
  3. フォワード中盤から徐々にストレッチャーにギャザーしてキャッチ準備をしながら前に出る
  4. 背中の下部を確り立て、座高を高く保って長いレンジで漕ぐ。(Sit Tall!
  5. Forceカーブが滑らかな一山を描く様に漕ぐ

効率の良い体の使い方ができれば美しいForceカーブをとなる。鏡を使って自分の漕ぎを確かめながら、正しく効率的な漕ぎ方に1ヶ月も取り組めば、自然と良い漕ぎが身に付く。1年目の新人選手なら、漕ぎの改善で2000m漕の記録が5秒程度は改善できると思う。

2)2000m漕の準備と実践:

1月15日のエルゴ大会で学生選手の2000m漕を見たが、確かな戦術も無しにスタートから無謀なペースで飛び出し、中盤でガクッとペースが落ちて「見よ落下傘」の如く終盤にペースを落とす者が多い。これではペースコントロールも何もあったものではない。(行き当たりバッタリの玉砕漕ぎ)エルゴというものは室内で機械相手に行う競技(トレーニング)であり、不確定要素は殆ど無い。冷静に分析すれば、仕上がりのタイムは±3秒程度には収まるものである。単に本番に至る準備・手順やペース配分要領を知らないだけである。下記の準備とペース配分を実践すれば、1年目の新人選手なら、5秒は直ぐに改善できると思う。1)項の漕ぎ方の改善による5秒と併せれば、10秒程度の改善が期待できると思う。
さて、前段はさておき、具体的な手順を説明する。以下は準備内容の要点のみを記載する。詳細については1月17日のログエルゴ2000m漕に向けたペース設定要領の一例 - おやじスカラー戸田便りを参照されたい。

  1. 自分に合ったDrag Factorに設定する。:男子の場合は120〜130程度。一般論としては身長の高い者や心肺機能に優れた選手は軽めのDFを選択する。逆に身長が低くレンジの短い選手や、どちらかと言えば筋力系や重量級選手は重めのDFを選択する。日ボのエルゴ選考ではDF130に設定している模様。おやじもDF130を使っている。
  2. ロング漕を漕ぐ:45分や60分といったロング漕を漕ぐ。この際、ただ漫然と漕ぐのではなく、その時間の中で平均ペースがMax.となる様に努力する。加えて、正しく効率的な漕ぎ方になる様にフォームにも注意する。
  3. ロング漕の結果を2000m漕に換算する:2004年10月29日のログ距離(時間)と艇速(タイム)の関係 - おやじスカラー戸田便りで距離とタイムの関係を解説したが、この算式を使ってロング漕の平均ペースを2000m漕のペースに換算する。2000m漕ペース=ロング漕ペース * (2000m/ロング漕距離)^(1/18)。このペースを4倍しすると2000m漕のタイムとなる。(一般的な漕手は、ロング漕からの換算値と実際の2000m層の記録がよく合致する。一方、心肺機能の優れた長距離ランナータイプの選手は、ロング漕からの換算値の方が実際の2000m漕記録より良い結果が出ることがある。)
  4. 500m * 6発を行い、平均タイムを計る:2000m計測会の前に500m漕 * 6発(レスト3〜4分:おやじは4分で実施)の計測を行う。最初の5発はスパートを入れずにコンスタントのイメージで漕ぐ。レートは2000m漕より2枚程度高めとなる。最後の1発はスパートまで入れる。成るべく6発で全力を出し切り、且つ、6発のバラつきが少なくなる様に漕ぐ。6発の平均タイムを出す。この平均タイムに2.5秒加算したタイムが概ね2000m漕の平均ペースとなる。レートは最初の5発の平均的なレートより2枚程度低めで漕ぐと丁度この平均ペースが出ると思う。(一般的な漕手はこれで2000m漕の予想ができる。一方、無酸素パワー系の選手は500m漕等の短距離漕で良い記録が出るが、長い距離では心肺系にきて、記録が伸びないことがある。)
  5. 2000m漕の本番ペースを自分で設定する:上記の500m漕6発の結果から求めた2000m漕の平均ペースを基準として、本番のペース配分を自分で設定する。基本はイーブンペース、これが一番記録出る。最初の1500mはコンスタントペースで漕ぐ。ラスト500mはスパートモードであり、半分無酸素運動と考えて良い。具体的には1Q:平均ペース-1秒(コンスタントペースに抑える)、2Q:平均ペース(コンスタントキープ)、3Q:平均ペース+1秒(1500m漕のつもりでペース死守)、4Q:平均ペース(コンスタントレートではペース維持できないのでレート徐々に上げ、250mでスパートに入る)
  6. 自己申告兼記録用紙にデータを書き込む:本番のペース配分も含めて関連データを所定の自己申告兼記録用紙(下記)に書き込み、これを本番の応援者(COX役)に渡し、応援してもらいたい要点を相手に伝える。
  7. 2000m漕の心構えと応援要領:計測が始まったら、設定ペースに沿って本人は漕ぐのみ。1Qは有酸素運動に入る前の無酸素運動が主体であり、往々にしてオーバーペースに陥りやすい。ここでは設定ペースとなる様にし、極力平常心で楽な気分で漕ぐ。2Qもリズム重視で設定ペースを維持する。3Qは一番苦しいところ、ここをコンスタントのリズムで何とか設定ペースを死守する。3Qは気持ちが萎えやすく、ここからが応援者の活躍するところ。絶対にペースを落とさせないようにモニターを確り見て都度本人に要点を伝える。落とさせないことが重要。(落ちすぎてから脚蹴りを入れてペースを戻すのは愚の骨頂。エルゴで脚蹴りを入れるのは間違った戦術。後でダメージが来る)4Qはペースを維持するためにレートを上げてゆく。ラスト250mはスパートを入れ、空回り覚悟でドンドンレートで稼ぐ。ラスト100mでダブルスパートを入れ、最後はレンジを切っても良いのでSR40ぐらいまで上げて力を出し切る。応援者も4Qは大声で応援しまくる。苦しくても気持ちの持ちようで意外にペースが上がるものである。

3)マシンのメンテ:

C2エルゴマシンを購入した際にユーザーマニュアルが添付されているので、基本的にこれの通りメンテすれば良い。ユーザーマニュアルを無くした場合は、C2のHPIndoor Rower - Support and Service | Concept2にあるマニュアルのPDFファイルをダウンロードすればよい。
(1) 毎回の使用後の要点:

  1. ハンドルを静かに元に戻す。ストレッチャーの直ぐ上のフックは一時的にハンドルを掛ける場所であり、使用後はここには掛けず、四角いプラスチックの枠までハンドルを戻す。(漕ぎ終えた後に、スパッとハンドルを離してハンドルを四角い枠にガチンとブチ当てるような選手はエルゴを使う資格無し。)
  2. レールに付いた汗や埃を雑巾等で綺麗に拭き取る
  3. 使用中にマシンの異音や違和感を感じたら、何処に原因があるのかを確かめ、自分で修復で可能ならその場で修理する。修理できない場合は、エルゴマシン管理者にその情況を報告する。マシン管理者は情況をチェックし、修理する。手に負えない場合は、業者(戸田ではミネルバエルゴメーター特価販売中!129000円!!|ボートハウス ミネルバ)に相談する。

(2) 定期点検
1ヶ月に1度程度、マシン管理者は手分けしてマシンの情況をチェックする。使用頻度が高いと各部のボルトやネジ類が緩んでくるので早めに増し締めすること。緩んだまま漕ぎ続けると復旧不可能なダメージに至るので緩みは禁物。また、必要ならパーツ交換や修理を行う。よく見かけるマシンの整備不良の例:

  1. レールと本体の連結部分のボルトナットの緩み。:緩んだまま漕ぎ続けるとボルトの通し穴がバカバカに広がって使い物にならなくなる。早めに増し締めする。
  2. マシンの各部の組立ネジ類(ボルト):C2マシンの場合、6角レンチで締めるネジが使われているが、これが緩んだまま使用しているのを見かける。直ぐに締めれば問題ないが、緩んだまま使い続けると、本体自体が歪んでしまう。
  3. チェーンのオイル注し:月に1回程度はマシンに付属の専用オイルをチェーンに注す。オイルの付け方はオイルの瓶に要領が書かれている。錆付いたチェーンでは良い記録は出ない。
  4. ストレッチャーストラップ:これは消耗品であり、確り固定できなくなったら新品と交換する。
  5. シートのコロ長期間使用するとレール上面の2個の大きいコロが磨り減り、下の補助コロとの遊びが大きくなってシートがレール上で左右にガタつく様になる。この場合は、レール後端の脚を六角レンチと11mmスパナを使って取り外し、レール後端からシートを外す。シートの下側にある補助コロを取り外し、3つある取り付け穴の1個前方の穴に付け直し、遊びを少なくする。1個でダメなら2個前にずらしてガタツキを減らす。それでもダメなら、シート上面の後ろの方のコロを2つある穴の内、前方の穴に付け直す。それでもダメなら新しいコロに交換する。(2個で5880円)尚、シートを取り外したついてに中にあるベアリングにオイルを注すと滑りがよくなるこれも消耗品でありシートの滑りが悪くなった場合は、シートを取り外し、新品と交換する。
  6. ショックコード:ハンドルを巻き戻すために本体の中にショックコード(ゴムロープ)が内臓されている。これも消耗品であり、ハンドルの戻りが鈍く、フォワードでチェーンが撓むようになったら、ショックコードを新品と交換する。
  7. モニターの電池:使用し続ければ電池が消耗する。消耗した電池は即座に交換する。計測中にバッテリーが切れて計測不能などになったらマシン管理者の責任。

(3) その他
クラブのマシン管理者では修理不可能でも業者(エルゴメーター特価販売中!129000円!!|ボートハウス ミネルバ又は、http://www.starline.co.jp/sports/concept2/index.html)に頼めばどんな故障も修理可能。故障しているのに、我慢して使い続けるのが最悪のパターン。その内、業者でも修理できなくなってしまう。以下、修理や部品交換の参考例:

  1. チェーンの錆付き:赤錆で真っ赤になったチェーンは、もはや新品と交換すべき。自転車チェーンの交換ができる人間ならエルゴのチェーン交換は簡単なもの。
  2. ハンドルの交換:Model-Cの木製ハンドルは幅が小さくて漕ぎ難い。Model-Dのプラスチックハンドル(8400円程度)に交換すればModel-Dと同じ快適さになる。
  3. フライホイールのガタツフライホイールはエルゴの心臓部であり、この部分の不調は業者に相談するのが無難。機械音痴がフライホイールを分解すると再組み立てできなくなる可能性あり。
  4. ストレッチャーの故障:ストレッチャーも消耗品。長年使って壊れたらストレッチャーの新品パーツを購入して交換すればよい。
  5. レールの損傷:レールのステンレス板の傷だけなら、ステンレス板を講習して交換すればよい。しかし笑窪ができるほどの変形はレール本体の変形であり、これはレール本体ごと交換する必要がある。もしクラブに使用していない健全なレールがあればこれと交換しても良い。(Model-CとDのレールは基本的に同じ規格のはず。違うのは塗装だけ)

マシンはボートやオール同様に大事に使おう。
以上