6月13日にフォワードとエントリー準備について整理したので、今日はキャッチについて整理したい。ここでは、キャッチ動作をエントリーとドライブの2つに分離することについて述べたい。
右上の写真はイタリアクルーのエントリー直前の状態、この直後にハンドルを押さえる力を抜き、自然落下のイメージでブレードをエントりーする。
キャッチの準備:
キャッチ即ちエントリー→ドライブの準備は何処から始まるのであろうか?これはフォワードの後半に準備されるべきである。イメージとしてはフォワードの3/4当たりでは、前に出るというより、次に始まるドライブをイメージして、gather on the stretcherしながら前に出るのである。こうすることによって、ハンドルが前に出きった時に腕た上体に張りが出来、エントリー直後のレッグドライブがダイレクトにハンドル=ブレードに伝わるのである。
一方、フォワードで前に伸びることばかりに気をとられ、キャッチ直前に伸びようとして、「キュッ」とシートを加速してハンドルを前に放り投げたのではエントリーの準備が全くできず、キャッチで水を捕まえることは出来ない。(加えて、バランスも崩す)
ブレードエントリーとレッグドライブの分離:
上記のエントリーの準備が出来たとしても、次に来るキャッチが正確に出来ないと大きなロスが生じる。
エントリー準備が出来、前に出きった所で、ブレード=ハンドルは水面ギリギリの低いところになければならない。このとき、ブレードが戻り始める直前にハンドルを押さえた手の力を抜き、ブレードを水中に自由落下させて素早くエントリーする。この時、レッグドライブはブレードが水中にフルカバーされてから押すのであり、キャッチ時の2つの動作は分離しなければならない。
素早く水を掴むためには:
上記の通り、エントリーとドライブは分離しなければならないが、ドライブをユックリ静かにせよと言っている訳ではないので、ここが難しい。実際には、素早く1枚エントリーし、エントリーされたと同時にレッグドライブを素早く力強く行わなければならない。エントリー前に上体・腕の準備が出来ていることにより、エントリー直後のレッグドライブはダイレクトにブレードに伝わり、レッグドライブと同時にオールのベンドを感じ取ることが出来る。
良いキャッチが出来ているクルーのキャッチイメージ:
- エントリーに向けてGather on the Stretcherしつつ前に出るので、フォワードの終盤はハンドルが前に出る速度が少し減速する。
- エントリーはブレードが前に出きったところで静かに素早く水中に入る。(実際にはブレードは少し戻りながら入るが、入水角が直角に近い程良い)
- ブレードがエントリーされたと同時にレッグドライブが開始される。実際には力強くレッグドライブしているのであるが、上手い漕手ほど、キャッチ動作に無駄がなく、力みのないスムーズなキャッチとして見える。キャッチが効いている漕手はエイトのフォア漕ぎ等でキャッチ時にベルノートを発し、エントリーと同時にオールがベンドするので分かる。(ベルノート=エントリーと直後にブレードで水を瞬間的に押すことで、ブレードの背面の水中に穴が開き、ここに水が流れ込む時に「ボリン!」という重く短い音を発する。両舷で漕ぐと中々ベルノートは出ないが、フォア漕ぎで確認することが出来る。逆に言うとフォア漕ぎでベルノートが出ない様では正確で力強いキャッチが出来ていないということである。
不適当なキャッチのイメージその1(力強いが無駄の多いキャッチ):
エントリーとレッグドライブを同時に行うため、ブレードが水中に入る前にレッグドライブしてしまう。問題点:①大きく蹴り戻し、有効レンジが短くなる(最もパワーのある脚の力が有効に伝わらない)②ブレードが固定される前に体を飛ばすため、運動量保存の法則に従い、艇がスタート方向に蹴り戻される。③艇が大きくピッチングする。
不適当なキャッチのイメージその3(エントリーが不正確で大きくブレードを蹴り戻すキャッチ):
フォワードが上手くできないと、キャッチ動作が不正確となり、ブレードが前に出きったところで、ブレードがフライアップし、エントリー時に入水角が鈍角となり、大きくブレードが戻ってから入る。
酷い漕手になると、上記3件のミスを同時に行う場合がある。
以上