Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

Sykes Mould.20:

LBRCで1X自艇を所有するO氏の艇は同じSykes製だが船型が違う。彼の自艇はMould No.20(7.97mL * 25.8cmB, 型名:Ultimate)でWetted Surface Areaを最小化する狙いで、Jeff Sykesが1993年に開発した船型。漕手設計体重は85kg以下用で、中量級の漕手まで乗れる少し大きめの艇だ。O氏はこの艇に乗り、昨年12月末に実施した24km耐久レースでもラフコンの中で、殆ど浸水せずに漕ぎきったとのこと。おやじの方は1周ごとに船底に浸水した水を排水して漸く乗り切った。下表はこの時に出漕した皆さんの使った艇とその状況を整理したもの。

Mould 20は長さはMould 19より短いが、船体中央部周りの船体が太くなっていて良く浮く。また、ガンネルが高く乾舷が大きく、少々のラフコンでもガンネルを波が乗り越えることは無い様だ。O氏は体重が67kgと軽いため艇が浮き気味ということもある。体重81kgのおやじがMould.20に乗った場合の喫水増加は、(81kg-67kg)/(7.9m*0.258m*0.65*1000kg)*100cm=1cmであり、大きく乾舷が減る訳でもないのでラフコン耐航性は確保できそうだ。
さて、mould.20に関してラフコン時の耐航性能ばかり述べたが、この船型の本来の開発目的は、Wetted Surface Areaを小さくして走行中の抵抗の最小化を図ろうというものである。軽い漕手が乗ると船尾が空中に露出する等、明らかに他の船型と異なる形をしている。開発者のJeff Sykes(世界選手権のLM1Xで2回優勝しているお人)の一番のお気に入りだそうだが、推進抵抗が小さい反面、船首船尾が浅いので直進安定性に難があり、横風を受けると操船が難しいという話だ。要するにピュンピュンと軽くスピードが出せる反面、針路安定性やバランス安定性に難がある難しい艇ということだ。