Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

エイト艇の要目一覧表

oyajisculler2006-01-25

先日の遠漕会でSykes(Mould 3)エイトを使用したが、安定性が良いので漕ぎやすかった。普段は細長いVespoli(Mould DM)エイトを使用しているから余計に差を感じたのかもしれない。良い機会なので世界の有名造船所各社のHPでエイトMould(船型)データを調べ、これを一覧表に纏めてみた。少し解像度が悪くて見辛いかもしれないが、右上の一覧表がこれ。軽量級用(70〜80kg)と中量級用(75〜85kg)に分けてみた。
最近、国内のクラブチームが使用している艇は、Empacher艇(K84)が圧倒的に多いが、世界選手権決勝を見ると、Empacher以外にFillipi-F9, Vespoli-DM, Hudson艇等も使われている。長さや幅を見ると各々少しずつデザイン思想が異なる様だ。ただ、寸法だけでは表せない断面形状の違いや、舳先や船尾廻りのデザインの違いなどあり、一概には言えない。船型の特徴を見定める際は、船底を上向きにして馬の上に置き、水面以下の水に浸かる部分の形状を見ること。(船底の形状を見ずに、喫水線より上のガンネル周りの幅が広いかどうかだけで艇の性能を見定め様としているトンチンカンが時折いるが、これは間違い)船底の断面形状が半円形に近いほど濡れ面積が小さく推進性能が良いが、反面、バランスが不安定になる。逆に船底がフラットで幅の広い艇は安定性が良い、反面、推進抵抗が大きくなる。また、バランスに関してはリギングも大きく影響する場合がある。
これを知った上で、一般論として言えば:

  1. 幅が広く長さが短い船型は、横安定性(バランス)が良く、初級者でも漕ぎやすい。(バランスに気を取られず、漕ぎに集中しやすい)
  2. 幅が狭く長さが長い船型は、推進性能が良好だが、バランスが不安定で、初級者には漕ぎこなせない。(バランスが不安定で力を出し切れない)

まあ、予算に余裕があるクラブならEmpacher艇が良いと思うが、一寸Empacher艇は高すぎて(400万円以上するという話)手が出ないという向きはEmpacher艇以外も考えて良いと思う。Filippi、Sykes、Vespoli、Hudson艇は世界選手権やオリンピック等で金メダルを獲得した実績もあり、その性能はEmpacherに勝るとも劣らぬものだと思う。
但し、漕技が未熟な学生クルー用の艇を購入するのであれば、Vespoli、Hudson等の細長い艇は漕ぎこなせない可能性があるので、幅広ずん胴で安定性の良いFilippi-F9やSykes-3又は27B辺りが無難だろう。
そうそう、言い忘れてはいけないことが一つ。
ボートというものは、漕手というエンジンと、艇が一体となったものであるということ。即ち、艇だけが性能が良くても漕手が力を出せなければダメだということ。特に大学生クルーなどの初級者の場合は、ブレードワーク等の基本技術や漕力が発展途上であり、これを伸ばしてくれる安定性の良い艇を使った方が、タイムが伸びると思う。言い換えれば、推進性能に大きな有意差が無ければ、安定性の良い艇を選んだほうが良いと言うのが、おやじの見解。
以上