Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

レク艇の試乗試験

oyajisculler2009-03-01

昨日実施したD社丸底艇を使ったレク艇開発に向けた試漕も含めた諸試験を実施した。概ね期待通りの良い感触を得た。一番気分が良かったのは艇速が1Xより速いことを確認できたこと。(ジャパン候補の女子スカラー(1X)を軽々と抜き去ることが出来たこと)
以下、今回実施の内容を写真つきで時系列に紹介。

オール長さの調整;

ナックル艇より軽くて走りが良いとは言え、重量が80kg程度あること。また、競技用ボートではないので、オールの長さは短い方が良い。ということで今回使用したCrokerオールの長さ調整範囲の一番短い284cmに設定した。また、インボード長はOarsport社の体格別リギング表を参考にしながら身長170〜175cm程度の一般的な体格の漕ぎ手をイメージして86cmに設定。

Bowからの縦乗り込みテスト;

遠漕時など、艇を岸に横づけ出来ない場所からの乗り込みが要求させる場面がある。レク艇は遠漕や湖での周航にも使えることを要件としているので、このBowからの縦乗りこみが出来ることが必要条件。今日実施したテストでD社の丸底艇は合格。1名乗り込み後にオールをBowから渡し、1組オールを張ってしまえば後は艇が安定するのでそれほど難しくない。
艇を進水させる際に予め整調シートオールを取り付けて置き、整調が乗り込む時にすぐにオールを張ってしまえば良いかもしれない。


乾舷計測;

レク艇の大きな要件の一つに多少のラフコン(白波チラホラ、波高30cm程度)でも安全に漕ぐ事が出来ると言う項目を折り込んでいる。また、琵琶湖での周航にも使いたいということもある。この意味で乾舷を大きく取るというのは重要な項目の一つである。今回使ったこの艇で、今後ラフコンにおける試験も行う予定であるが、先ずは現状の乾舷を計測した。
今回クルーの体重:C:65, S:75, 3:81, 2:97, B:72, 合計390kg、平均78kg
まず5名乗船における艇の姿勢および浮き具合は下の写真の通り。戸田コースで漕ぐならこの乾舷でも全く問題ないが、少し荒れたコンディションでは少々厳しいと思われる。

次に乾舷を実際に計測。計測箇所は#B, #3, #Cの三か所各々の数値は以下の通り。

  • Bowシート:19.5cm
  • #3シート:19.0cm
  • Coxシート:18.5cm

乾舷から求めた水面からシート座面までの高さは19.0-9.7=9.3㎝。日ボ規格艇4X+艇(シェル艇)8.5cmなので若干高めのシート位置。ナックル艇に比べると少し低い感あり。乾舷およびシート高共に後1cmは高めにしたい。

横安定性試験;

艇が止まった状態でイージーオールでの安定性及びオール引き込み時の安定性確認実施。
1)イージーオール:
下の写真の通り安定・静止することを確認した。

2)オール引き込み:
下の写真の通り、イージーオールの状態からオールを艇内に引き込んでも安定・静止することを確認した。でも体を動かすと艇が揺れるので全く不安がないという訳ではない。試しにCOXが体を左右に揺らして安定の度合を確認。流石に思いきり傾けると倒れそうな程傾くが、引き込んだオールのブレードが水面にタッチすると復元力が発生してそれ以上は傾かなかった。

3)オールを外す;
万一の場合転覆する危険性もあり、水温の低い今回は実施せず。まあ何とか安定しそうではあった。

試漕:1X艇より速い

最後に試漕。今回はコース4周の12kmを漕いだ。下の写真は試漕のため岸を蹴ったところ。

漕いだ感触は上々。1X艇に比べると水中が若干重めではあるが、艇重量が重めであること、またCOXが載っているので漕手以外の重量が重く、フォワード中の減速が小さい。艇速の方は1X艇より速い様だ。今回のクルーは漕手平均年齢50歳超、おやじ本人以外はスカルを本格的に取り組み始めたのが昨秋という事で技量は中級以下。それほどレベルの高いクルーではないが、途中1X艇をドンドン追い越し、3,4レーンを堂々と漕ぐ事が出来た。
途中で急速転舵の舵効き確認も実施。大きく舵を切っても左右にバランスを崩すことなく漕ぐ事が出来た。COXの話では舵柱が斜めになっており舵の下側の舵板がキールより下に張り出しているから舵効きが良いとこと。

試乗フィードバック;

漕ぎ終えた後の皆さんの感想、及びコメントは以下の通り。

  1. バランスが非常に安定していて漕ぎやすい。技術練習や荒川での遠漕にもってこい。(モーターの曳き波の中でも問題なく漕げそう)
  2. 艇の走りはナックルとシェル艇の中間くらいだがシェル艇に近い。1X艇より速い。
  3. キールラインが船底に張り出ているので直進性が非常に良い。
  4. 確り漕げる。水上でエルゴメーターと同じ様なトレーニング効果が得られそう。その意味で体(腰)への負担は大きい。(レク艇はあまり本気になって漕ぎまくる艇ではない。)
  5. 安定性が良い分、左右のハンドルのクロスオーバー時に両手が接触しやすい。この意味で、左右のハイト差は20mmでは不足、25mm程度必要。また、今回はオーバーラップを14cmとしたが、次回はリガースパンを1cm広め(158→159cm)オーバーラップを13cmとする予定。

以上