Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

京大戦、三連覇達成

H27年度ジュニアは、監督の方針で新人期に例年実施していた新人育成プログラムと指導体制を突如として変更し、浅野杯までの水上トレーニング量が例年の半分程度しかできていなかった。この事がジュニア期に入っても尾を引いている。特に体力面での劣後が大きく、エイト8名の75kg換算スコア平均値が6:51と、昨年、一昨年と比較して5秒程度劣っている。
また、体力不足で確り水中を押し切れない事が要因して、乗艇の漕技・出力効率も例年よりも劣後にある。
東商戦後の五月末頃は、絶不調状態にあった様だ。それでも京大戦が近づき、ここ2週間程度は、危機感を持って臨んだ結果、練習でのベストパフォーマンスでは、効率97%、水温26度換算で、6'21"程度の実力を出し得るレベルに達した。
過去の京大戦のレベルであれば、6'21"程度でも十分に戦えるレベルではあるが、H25, H26年度東大ジュニアエイトのレベルは6’10"前後のレベルを出しており、今年度の京大ジュニアがこのレベルまで達しているとすれば、とてもでは無いが全く歯が立たない事は明白。
今年のジュニアの漕力、艇速の絶対値の評価としては上記の通り。
一方で、試合に向けてこの一週間は上り調子であり、本番での全力発揮に期待した。私の見たところでは、順風で上手く全力を出し切れば、6'15"〜20"辺りを達成できると予測した。

さて、レース直前、東日本選手権の午後2時頃から突如として強い東の風、即ち、真逆の逆風が吹き、ポンドの水面はチャプチャプと波が立ち始めたら。特に風下のスタートから500m辺りまでは風浪が発達して漕技が未熟な新米クルーには過酷なコンディションとなった。
事実、漕技面で難のある対校クォードクルーは、ラフコンに翻弄されて腹切をして自滅し、取れた筈のメダルを逃した。一方、対校付きフォアは、普段荒川で、コンディションに関係なく並漕練習しており、ラフコン対応能力がある。この対航性を遺憾なく発揮し、メダルを2個獲得した。東大対校クルーのラフコンに対する強さは、ラフコンの中で力を発揮できず、最下位となった明治大学とは好対照と言えよう。
以上、前段が長くなったが、東大ジュニアも対校と同じ頻度で荒川で乗艇しており、荒れたコンディションで漕ぐ事には慣れている。必ずしもラフコンへの対応能力が優れている訳では無いが、ラフコンの中で漕ぐ経験は豊富であり、ラフコンに対して過度に神経質になる事は無いと考えた。
そこで岸蹴り前にクルーを集め、"今日のポンドはスタート地点はメチャクチャに荒れている。これにビビって気後れしたら負ける。お前たちは、ラフコンを見てこれは好機だと考えろ。厳しいコンディションでも気にせずガンガン攻め続けること。ラフコン、逆風は気力の勝負だ!"と伝えた。

さて、本番レーススタート。スタートから100mは、ほぼ横並びだが、僅かに東大が出た。その後、250m過ぎ辺りから京大が1シート程度出た。400m付近で2シート程度出られたかに見えた瞬間、京大の四番が腹を切った。オールを完全に流してしまい、艇を止めないと漕ぎ出せない状況となった。この間に東大が三艇身(50m)程度リードした。普通なら、ここで東大クルーから"勝った!"と雄叫びを上げてアドレナリンが大爆発して更に艇差を広げるところ。しかし、実際には東大エイトからはその様な反応は聞こえず、淡々と漕いでいた。どうも想定外の事態に、自分自身が驚いて相手の様子を伺ってしまった様だ。
一方の京大は、緊急事態にアドレナリンが爆発し、火事場の馬鹿力を発揮する形となった模様、おおよそ500m毎に一艇身差を詰める形で東大に肉薄。勢いよく差を詰める事で、更に気合が入り、ノリノリになった。
一方の東大は一気に差を詰められ、ある意味蛇に睨まれたカエルの如く、守りに入って力が出せなくなってしまった。しかし、1700〜1800m付近で一瞬抜かれた事で我に帰り、"こんなんで負けられるか!"と吹っ切れて猛烈にラストスパートした結果、追い上げで体力と気力を使い果たした京大の隙を突き、ラスト100mで抜き返してゴールを切った。
なんとドラマチックなレース展開であろう。長い東大京大対校戦の歴史の中でも、これ程、大きな展開のあるレースは初めてではなかろうか。正に事実は小説より奇なりを示したレースだった。
それと改めて言うが、現時点での両クルーの2000mの艇速差は、10 秒、即ち3艇身程度の差があると思う。即ち、今回はラフコンというコンディションに恵まれた結果、東大が勝つ事が出来たレースだった。
3連覇を達成し、来年のジュニアに対して連覇を繋ぐバトンを渡す事が出来た。
 京大戦優勝のジュニアエイト
 表彰式
ジュニア諸君、おめでとう。君らは、今大会では運を味方に付けた。
しかし、この様な事が何度も続く事はない。
今後は地道に体力をつけて、秋の新人戦では本来の地力で京大を打ち負かせる様にしよう。
いずれにせよ、京大戦勝利おめでとう。
勝った事で勝利の美酒が堪能できた。
ありがとう。

以上