Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

POTOMACの整備;

諏訪湖で開催される全日本マスターズレガッタでは、昨年同様、エイトレースで使用する艇・オールは、12艇全艇を戸田からトラックで運搬してゆく。艇は戸田地区のマスターズクラブから借用する。配艇に使うので、各クラブやクルー独自のピーキーなリギング設定では拙い。そこでリガースパン、オール長・インボード長、ワークハイト、ヒールデプス等、主なリギング値は「マスターズ標準リギング」資料を貸し出し元のクラブに送付し、艇の整備及び標準リギング値(あるていどの許容範囲あり)内に設定する様にお願いしている。昨年の第1回大会では、この標準リギングで調整したエイト艇で、出漕した各クルーから漕ぎやすかったという好評を得た。
さて、LBRCからは、40歳代クルーが普段使用しているVespoli製のPOTOMAC号を貸し出すつもりでいたが、昨年は運搬の制約上、分割艇にせざるを得ず、大会直前になってSykes製の光号に変えた経緯あり。光号は幅が広く安定性が良いので、これを使った他団体から好評を得た。しかし、今年は他のクラブから御借りする艇が分割艇に変えたところがいくつかあり、LBRCから貸し出す艇を1本モノにできることになった。そこで今年は我々のFlag shipであるPOTOMAC号を持って行くことになった。
POTOMACは昨年、4月に標準リギングに設定したが、その後、古くなったシートを換装したり、各シートに乗る各人が好き勝手にワークハイトを変えたりしてきたので、今回、全日本マスターズレガッタに向けてリギング数値を計測し直した。以下、今回の整備内容:

  1. 老朽シートの交換:POTOMAC号は1992年に購入した艇。実に今年は18年目のシーズン。靴、レール、シート、クラッチ等の所謂消耗品パーツは殆ど交換したので、で新造時についていたモノは殆ど無い。#4と#7のシートだけが新造時のモノが残っていた。まあそのまま使い続けることもできなくはないが、Originalのシートは座面が低くワークハイトを同じ様な値にすると他のシートに比べてクラッチ高が低くなり、艇が傾いた時に#4と#7のブレードが水面を叩きやすいという問題あり。この際、新しいシートと交換する事にした。尚、これまでシート交換する際には滑りの良いシングルアクションシート(ベアリング式)に変えてきたが、コロの消耗が早く、2年も経つとコロがガタついて滑りが悪くなる問題あり。そこで今回は昔ながらのダブルアクションシートを購入し、取り付けた。ダブルアクションシートはベアリング式のシングルアクションシートに比べて若干滑りが劣るが、10年以上その滑りが変わらぬと言う素晴らしい耐久性あり。クラブチームで使う艇にはダブルアクションシートが好ましい。(シートの形式については次のサイトに記載あり。http://www.rowingcenter.com/Japanese/parts/seat.htm)
  2. ワークハイト:LBRCではワークハイトを17cmを標準値としている。更にエイトの場合は長さが長く、キャッチ時の船尾トリム(下の写真参照)を考慮し、整調ペアは+0.5cm、バウペアは-0.5cmのワークハイト微調整も必要となる。今回計測した結果、身長186cmの長身漕手が漕いでいる#5,#6シートだけが0.5cm程高めの設定になっていたが、他のシートはLBRC標準設定通りとなっていた。POTOMAC号はVespoli製の旧式リガーのためハイト調整がネジ方式となっており、乗艇中のハイト調整は実質的に不可能。配艇の事を勘案すると#5,#6のハイトを17cmに下げる必要がありそうだ。試しに来週の出艇前に#5,#6を17cmに設定して様子を見ようと思う。
  3. ヒールデプス:今回計測の結果、概ね17.5cm程度と低めの設定になっていた。(前に出やすい様に各自が微調整した結果、少しずつ低めになった模様)標準リギングでは15〜17cmとしてきたが、体の硬くなったマスターズ漕手の場合はフォワードしやすい様に少し低めの設定が良い様だ。念のため、先月購入したThe Nuts & Bolts Guide to Rigging(米国Mike Davenport著、下の表紙の本)に掲載のリギング表をチェックしたところ、Masters rowerの標準値は16〜20cmとのこと。日本人と米国漕手の体格差を考慮すると、日本人マスターズ漕手は16〜18cm程度が適正値と思われる。
  4. リガースプレッド:昨年リギング調整した時からスプレッドはいじっていないので84cmピッタリだった。
  5. インボード:113cm(オール全長372cm) 尚、逆風対策用の厚さ1cmのCLAMも装備しており、必要なら乗艇中にインボードを114cmに変えることも可能。でも最近は逆風が吹いてもCLAMのお世話になった事はない。
  6. Pin to Heelメジャー:POTOMAC号は艇内が灰色で塗装してあり、デッキの上に、マジックペンで直接PTHのメジャーを書き込んでいる。1年も経つと消えかかって来たので、ペンで塗りなおした。