Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

お花見レガッタ総括

oyajisculler2015-03-31

東大クルーは怪我で休んでいる者を除き、3/28,29に開催されたお花見レガッタに出漕した。
2月下旬に暫定編成した東商戦クルーの春休みトレーニングの成果を試す緒戦として、また、1000mというスプリントレースを介してスピードトレーニングの一環として出漕した。

この二日間を振り返る

天候

先週末は一旦暖かくなったのだが、今週は少し気温が下がったため、桜の開花が少し足踏み状態となった。このため、お花見初日朝は、東大艇庫前の桜もチラホラ開花した程度だった。しかし、日が昇ると気温がグングン上がり、出漕している選手は、レース中、ロースー一枚という姿が多く見られた。水温は14℃だった。
初日は朝から午前に掛けては僅かに西寄りの風が吹いていたが、昼頃から東北東の緩い逆風が吹き、午後のレースはあまりタイムが伸びなかった。
予選レース後、夕方に準決勝が行われた。夕方の時間帯は穏やかな南風に変わった。風が舞っていたので、どこのレーンが有利か良く分からないコンディションだった。
二日目は、午前から昼過ぎに掛けては、南南西の穏やかな風が吹き、気温もよく上がって春爛漫というコンディション。水温は初日より少し上がって14.5℃だった。
という事で、二日目の順位決定レースでは多くのクルーが初日より良いタイムを出していた。
ただ、エイトの順位決定が終わった15時頃から少し気温が下がり、また、南風が少し強まり、更に少し雨が降り出した。Final Aのレースはこの小雨の中で行われた。

以下、出漕したクルー毎に二日間のレースに関して総括する。

M1X 1部 K下

シングルスカルの1部に出漕したため、周りは強豪揃い。まず、気になったのはK下のレースウェア。あらかじめ天気予報で気温が15℃以上となり、晴れる事が分かっていたはず。にもかかわらずロースーの下には黒タイツと長袖Tシャツを着ていた。暖かくなるのだから天候、気温に合ったウェアを選択するのもボート選手としての心得。この辺りのノウハウが不足している。レース中の漕ぎは、ブレードがミドルで深く入りすぎてシャフトにスダレが掛かっていた。リカバリーでのブレードと水面のクリアランスも不足しているので、ハイトを1cm程度上げるように指導した。ウィングリガーなので、ガンネルとリガーの間に1cm のスペーサーを挿入してハイトを上げることとする。リギングの不適正に関しては、もっと早く気づいて上げるべきだったと反省。 いずれにせよ、良いタイムを出している他校のスカラーに比べてK下の動きは鈍重であり、1000mレース向きの軽いリズムでポンポン艇を進める漕ぎになっていなかった。タイムは予選及びファイナルC共に3'42"だった。
レース中動画(二日目)
1500m地点
http://www.youtube.com/watch?v=VSvLqkgZKTg

M1X 2部 S谷

当初、関口と組んでダブルスカルに出漕する予定だったが、S口が肋骨を痛めてリハビリに入ったので、シングルにオープン参加した。昨年の秋から年末に掛けて断続的にシングルを漕いでいたので、ある程度シングルを漕ぐテクニックは持っている。
今回のレースで気になったのは、キャッチ前のスクウェアリングが遅れ、しかもブレードがフライアップするため、キャッチが戻ってはいること。また、キャッチレンジも短く、かなりレンジの短い漕ぎになっている。もっと大きく、長く、水平に水中ドライブし、1ストローク毎に加速する様なリズムを体得させたい。タイムは予選で3'50"、二日目が3'51"だった。二日目にタイムを伸ばせなかったは残念。
レース中動画(二日目)
1500m地点
http://www.youtube.com/watch?v=s2BpxOjYBOo
2000m地点
http://www.youtube.com/watch?v=y0BKLlVFhq0

なしペア

無しペアは、お花見の正式種目には無いので、元々は出漕する予定では無かった。しかし、エントリーしたダブルスカルが欠場することとなったため、このエントリー枠を生かして、ダブルスカルレースにオープン参加させて頂いた。東ボのオープン参加規定では、漕手人数が正規種目人数以下で、且つ、オールの総本数が正規種目以下であればオープン参加を認めることとなっている。という事で無しペアのダブルスカルレースへのオープン参加は、問題なく認められた。
無しペアをオープン参加させた目的は、東商戦が初の無しペアレースとなる新三年生クルーに、事前に公式レースを経験させたかったため。ステッキボートに着けたり、公式審判によるスタートや、実際のレースの中でレーンの中で進路を保持したり、レースの駆け引きなどを経験する事は非常に重要である。
さて、このペア、クルーを組んだのは先週のこと。二週間弱でレースに出漕。クルーを組んだ当初は初めてなしペアを漕ぐK川の漕ぎが未熟でシャカシャカ、バタバタの状態だった。しかし、今週に入ってお花見レガッタに向けて精力的に取り組んだ結果、何とかレースに出る形になってきた。未だバランスが不安定ではあるが、レート32オーバーレースペースで漕ぐ最低条件はクリア出来ていた。
初日は、蛇行して、ブレードがブイを跨ぎ、何度かブイを叩いて減速する場面が見られた。タイムは3'44"ではあったが、乗艇練習で出していた艇速を発揮する事は出来ていた。
オープン参加なので、二日目は、最も遅いダブルスカルクルーとの組み合わせ。 相手が遅いので、ほぼ独漕の様相ではあったが、スタートから良く飛ばして250m過ぎまでレート35オーバーで引っ張った。タイムを狙っている意気込みが伝わってきた。タイムは3'38"で、初日より6秒改善できた。おーヨシヨシ。二人ともタイムを聞いて納得した様子。オープン参加でレースに出てよかったとの感想が聞かれた。
レース中動画(二日目)
1250m地点
http://www.youtube.com/watch?v=cGz9GuaoUn4
2000m地点
http://www.youtube.com/watch?v=Q6HU-FQwtDc

付きフォア

今年は付きフォアに社会人クルー:アイリスオーヤマ、豊田紡織、戸田中央総合病院A,B、新日鉄住金、警視庁などが出漕して例年より決勝進出が難しくなっていた。目標タイムは静止スタートで3'19"。これを達成すれば決勝へ進出できると目論んだ。
予選は、戸田中央Bと新日鉄住金と当たっていた。1000mはスプリントレースなので、スタートから飛ばして、そのままゴールまで駆け抜ける戦術。スタートは上手くダッシュが決まり、400m辺りで2位戸田中央に対して半艇身リードした。そのままリードを広げるかと思った矢先、500mを通過した辺りで急速に艇速及びレートが落ち、ミルミル戸田中央に抜かれた。2位でゴールするかと思ったが、更に艇速が落ち、新日鉄住金にも抜かれてしまった。タイムは3'23"。後半のタイム落ちが酷かった。原因は四人の漕ぎがバラバラでユニフォーミティーが取れていなかったことと、上体が力んでリラックス出来ていなかったため。
それでも2位以下のタイム順で上位6杯に入り、夕方の準決勝に駒を進める事が出来た。準決勝は一か八かで、もう一回、スタートから飛ばそうと指示したが、どうもクルー自身に勝ちたいという欲が足りず、スタートダッシュも決まらずズルズルと引き離されて決勝進出ならなかった。タイムは3'30"。
二日目のファイナルBでは、1000mスプリントレースで力を出し切るべく、高出力高速巡航で駆け抜けようと指示したが不発終わった。タイムは3'25"と、予選より遅かった。以上、クルーとして、レースに臨む貪欲さが足りないと感じた。

レース中動画(二日目)
1500m地点
http://www.youtube.com/watch?v=Z4bk8IX48_c
2000m地点
http://www.youtube.com/watch?v=AFTHElBtQ0g

対校エイト

エイトの目標は、タイム2'52"(水温16℃)を出し、決勝に駒を進めること。
お花見前の乗艇トレーニングでは、現在取り組んでいる“三段ロケットドライブとキャッチに向けたギャザー感及びフォワード中のリラックス感が改善した”とクルーの報告あり。
また、お花見レガッタ予選前のアップを荒川で行う事を自分で考えて決めたところは自主性、やる気の表れと見た。
予選は1レーン。同じ組に3月合同練習で並べた仙台大と立教、そしてエルゴの強い慶応Aがいた。尚、慶応は早慶戦に向けて長距離主体でやっており、お花見ではパフォーマンス出ないと予測した。従って、消去法により、並べでほぼ同等の艇速を出していた仙台大との勝負と考えた。1000mレースはスプリントレースなので、レンジを切らない事を前提条件として、最初からガンガン飛ばしてハイレートのままゴールまで駆け抜ける様に指示した。
さて、予選スタート。予想した通り仙台がスタートから飛ばしてきた。250m付近で1/4L程度出られたが、そこから500mまでの間に1シート差位まで詰め寄った。600m過ぎ辺りから徐々に詰めて、750m付近でほぼ横並び。800〜900m付近では僅かにリードしたが、最後のスパートで差し返されて50cm程度の僅差で仙台に負けた。
レース後にコックスに確認したところ、ずっと半艇身差で負けていたと思っていたとのことで、レース中、クルーにその間違った艇差を伝えていたとのこと。1レーンと5レーンで距離が離れているが事実と異る艇差をコールしていたことになり、クルーの士気を鼓舞するという意味で、コックスとしての大きなミス。タイムは軽い逆風のなか、3'04"。
この見間違いの原因として、大久は上体を前傾させて、視線が下がり気味である事が、艇差などの距離感を幻惑させている様に思われる。今後は彼がジュニア時代に取っていた上体を立てて視界を広く取る正しい姿勢に戻そう。
予選のタイムは全体9位となり、準決勝に進出した。準決勝では3位以内に入れば決勝に進出できる。という事で、準決勝で全力を出し切るべく、全力で行こうと指示した。
しかし、結果は途中まで明治大学と3位争いをしていたが、500m過ぎで失速。そうこうしているうちに、5位を走っていた日体大に抜かれてしまい5位に落ち、決勝進出ならず。ほぼ南の横風の中でタイムは2'59"。全くもってパッとしないタイム。普段の練習での実力が全く出せなかった。
もう一組の準決勝では、一橋と東北が力任せではあるが高レートで攻め続けた結果、決勝に駒を進めた。正に殻を破る様な気迫で爆発力を発揮した結果であり、敵ながら天晴れな攻めだった。
これに対して、東大の準決勝での戦いぶりは気迫不足で、殻を破るような爆発力は示せなかった。
夕刻にクルーを集め、ライバル一橋と東北の準決勝での気迫の篭った戦いぶりを説明し、二日目のファイナルBでは、殻を破るような爆発的な出力と艇速を出すように檄を飛ばした。
二日目のファイナルBでも初日同様、荒川でアップし、万全を期して本番に臨んだ。陸上でもレース前はサブトラックでアップするのが普通であり、東大は荒川に出しやすいので、荒川を本番前のサブコースだと思って今後も川でアップすれば良い。
さて、ファイナルBスタート。昨日と同じように仙台がほんの少し出たが、殆ど差はなかった。250m過ぎ辺りで東大と仙台が首位争いで、二杯が並漕ぶ形で飛び出した。中盤のコンスタントンでは東大艇速の方が少し優れており、600〜700m付近では東大がトップ。このまま逃げ切りたいと思った。しかしその矢先、750m辺りから、日大Bが猛然とスパートをかけてきた。日大のスパートは東大より明らかにレートが高く軽いリズムでポンポンと加速し、残念ながら一気に刺されてしまった。最後は1/3L程度の差で2着となった。
タイムは2'53"。効率109%であり、お花見で目標とした漕技・出力効率は達成できた。日大Bには負けたが、明治、中央には対校エイトとして初めて勝った。また、合同練習以来、ほぼ同等の艇速で横並びだった仙台大に対しては1秒強の優位な差で勝ち、3月時としては何とか勝ち越しを印象付けることができた。
エイトクルー諸君は決勝に進出できなかった悔しさを味わったと思うが、1000mレースの醍醐味を味わい、そして、“自らの殻を破って1つレベルの上の漕ぎを実現するという貴重な体験が出来た”と思う。今後も幾つかの殻を破る必要がある局面を迎えると思うが、今回のお花見レガッタでの経験を生かして自らの決意とチームワークで殻をどんどん破ってほしい。
そうそう、スタートダッシュやラストスパートについては、まだまだテクニック的に改善する余地が大きい。クルーとして爆発力が出せる様に日頃から取り組んで行こう。
レース中動画(二日目)
1500m地点
http://www.youtube.com/watch?v=DcI9SVdT0xY
2000m地点
http://www.youtube.com/watch?v=ju2eCEEZdCI

お花見の写真:

 お花見初日の朝
 K川がデザインしたH27年度ユニフォーム。膨張色の明るいライトブルーが良く目立つ素晴らしいデザイン。K川Good Job!
なしペアの予選岸蹴り
 初日朝の桜。まだ咲き始め。
 女子クォード艇:こころ
 付きフォアの岸蹴り
 女子クォードの予選。東大=3レーン
 付きフォア予選。東大=4レーン
 対校エイトの岸蹴り
 エイトのアップ(3番キャッチ角度不足)
 同上。エントリー前
 ジュニアエイトの予選。東大=4レーン
 対校艇:天寵
 同上
 エイトの予選タイム一覧(東大Aは3'04"70で9位)
 フォアの予選タイムは6位(3'23")
 二日目の桜並木7部咲き
 無しペア
 女子クォード岸蹴り
 女子クォード1位でゴール後の揚艇。
 フォアの岸蹴り
 エイトのレース後。
 レース後の艇整備
 同上。

以上