Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

優勝カップの回し飲み作法を知らない?:

コンパでは対校エイトクルーの勝利の弁を聞く場があり、クルー全員がみなの前に立った。当然ながら、即座に優勝カップにビールを波々と注がれ、最初に挨拶する者(普通は主将)に渡される筈である。しかしながら、カップが直ぐに出てこない。すかさず、「優勝カップはどうした?」とおやじが催促。何やら厨房の前でマネージャーがモゾモゾしている。見ると優勝カップに缶ビール1杯をチョロリと入れて、挨拶する選手に渡した。選手はあっという間に飲み干し、終わり。拍子抜けした面持ちで状況を見ているOB。現役部員は大きな優勝カップは回し飲みして楽しむという文化を知らない模様。
余談だが、全日本選手権エイトの優勝カップである秩父宮杯は、純銀製で大きくズシリと重く、ビールをカップから零れんばかりにナミナミと入れて回し飲みすれば、それこそその歴史を重みで感じることが出来た。優勝クルーで回し飲みすれば、勝利の醍醐味を2度味わえると言うモノなんだが。。。
東商戦対校エイトは、ここ4年間で3勝1敗だが、その前は5連敗。対校フォアは今年勝ったが、その前は11連敗を喫しており、東商戦のコンパで優勝カップ回し飲みという文化が失われてしまったのか?(京大戦も4連敗中)何たることか。。。
でも新人については、部内の対科レースで優勝カップの回し飲みをやっている筈だが、若しかすると未成年には酒を一気飲みさせられないということでやっていないのか? 

ワッショイの音頭・作法を知らない現役:

上記のビール1缶しか注がない、毎回飲み切りの優勝カップによる「乾杯?」の最中、T大コンパ伝統の「ワッショイ」による加勢の掛け声が始まった。普通はマネージャーかCOXが音頭取りとなってスタートするのだが、始まりそうにないので、おやじがスタートを切った。「そら、せーの!ワッショイ!」と威勢良く音頭を取ると、何やら雰囲気がおかしい。どうやら現役部員はT大ボート部の伝統文化のワッショイの音頭・作法を知らない模様。そして始まったのが、巷の学生が一気飲みで声を掛ける口先だけの薄っぺらなワッショイコール。何だコリャ?という感じ。

優勝カップ回し飲みの作法:

現役部員が知らない(監督・コーチも忘れてしまったか?)様なので、元の作法を知っているおやじとしては、ここにその作法を纏めておきたい。

  1. 優勝の弁を語る選手が皆の前に立つ。
  2. マネージャーは優勝カップを選手に持たせ、2,3人ががりでビールをカップにナミナミと注ぐ。(出来ればビン入りのビールが望ましい)
  3. 選手は圧倒的なビールの量に驚き、たじろぎ、そして喜ぶ。そして飲む構えをする。
  4. それに合わせて主務、(若しくはCOX)が、皆の前で大きな声で「そら、せーの!ワッショイ!」とワッショイの音頭を切る。
  5. 音頭取りの掛け声に応じて、皆はそれに続いて手拍子と共に「ワッショイ!」と腹の底から威勢良く声を掛ける。音頭取りに続いて声を出すところがポイント。交互に声を掛け合うのであり、音頭取りと同時に声を出してはダメ。
  6. ワッショイの掛け声は音頭取りのA組、選手一般のB組と二手に別れ、最初はユックリしたリズムから入る。その後、A組にも加勢者が入り、自然と全体がA, Bの2チームに分かれる。
  7. 選手が優勝カップを飲む状況を観察しながら、ワッショイコールのテンポを少しずつ上げてゆく。2チームで交互に声を掛け合うので相当速いテンポまで上げることが可能。(最後に飲み干す時にテンポを上げるのが醍醐味)
  8. エイト優勝カップは非常に大きいので、当然、一人で飲み干すことは出来ない。それで良い。飲み終えたら一言スピーチをし、次の選手に交代。
  9. マネージャーは前の選手が飲んだ分だけビールをカップに補充し、また、ワッショイコールをする。
  10. マネージャーは最後の3名辺りから、最後の選手が飲み干せる様にカップ内のビール残量をチェックしながら、補充するビールの量を調整する。(途中に大酒のみの選手がいれば途中で飲み干してしまう場合もあるがそれはそれでご愛嬌)
  11. 最後の選手はその責任で、残ったビールを飲み干すのがマナー。ワッショイコールは飲み干す直前のラストスパートではピッチが上がり、場の雰囲気も最高潮に達する。

以上が優勝カップ回し飲みと、ワッショイコールの伝統作法。

決勝前の対校エイト蹴り出し時の応援歌:

ついでながら、昔、東大が全日本選手権エイトで勝った頃にやっていた対校エイト蹴り出し時の応援歌についても紹介したい。これは優勝を期待された対校エイトの決勝レース時の蹴り出し時にのみ歌われるものであり、最近、T大エイトはインカレや全日本エイトで決勝に進出していないので、これが忘れ去られてしまったのも無理はない。でも忘れられる位なら、東商戦の対校エイト蹴り出し時にやっても良いとは思う。
非常に単純なものであり、伝統のリズムで「戦わんかな時いたる」を繰り返し歌い、最後に「勝ったれ!勝ったれ!勝った方がエエ!」と2回連呼するもの。S57年の対校エイトのレースを編集したDVDがあるが、この中に全日本エイト決勝に臨む対校エイト蹴り出しシーンがある。このDVDに、この歌を歌って皆がエイトを送り出すシーンが映っている。

新人時代の育成プログラムが肝要:

非常に単純なものではあるが、上述した伝統・文化を現役部員が知らないというのは非常に残念なことである。新人時代の育成プログラムにも問題がありそうだ。
何とか伝統の良い文化は取り戻して欲しいものである。
以上