Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

おやじのメール、その3:

【1】が納得できたのに、【2】が納得できないのが不思議ですね。
貴君の勘違いは、ローイングボートを竿で川底を押して進む舟と同じ原理で進んでいると思い込んでいるところです。

少し見方を変えよう:
幅20m、長さ1000m+αの長細い箱型プールを想像してください。 このプールの中にボートを浮かべて1000mタイムトライアルをします。 要するに、1000mの人口コースをプール型に作ってその中でタイムトライアルする訳です。
そして! このプールを流れのある川に浮かべます。 当然ながら、このプールは下流に向けて流れて行きます。 でも箱で仕切られているのでプールの内側はプールが陸上に置かれていた時と、川に浮かべた時で何ら変わりはありません。従い、川でプールが流されても、プールの中で漕いでいるボートは、どちらに向けて漕ごうと対水速度や抵抗は変わりません。(ここでは話を分かりやすくするために空気抵抗の事は無視します)
そして貴君はこのプールコースの脇に立って、1000mトライアルするボートを見ています。
このコースが陸上に置かれた時と、川に浮かべて流されている時とで、ローイングボートの挙動に無いか違いがありますか? 何もありません。というのが正解です。
ここまで理解できたかな?
さて、結局のところ、この大きなプールは川の流速で流されているので、プールの箱を外して川の中で漕いでも、プールの中で漕いでいるのと何も変わらないという事です。従い、逆流で順流でも、同じ出力で漕いだ時の対水速度(言い直せば抵抗)は変わらないということ。

さて次に、流れのある川で漕いだ時の逆流と順流の消費エネルギーについて考えてみよう。
流れの中で、順流と逆流で異なるのは、陸上の2地点間で往復した際(例えば戸田橋と秋が瀬鉄橋)、

  • 往路の逆流では流れの分だけ、対地速度が遅くなり、余計に時間がかかる。
  • 復路の順流では流れの分だけ、対地速度が速くなり、漕ぐ時間が短縮される。

要するに、流れのある川の中で2地点間を往復する場合、逆流では長時間漕がねばならぬので、消費するエネルギー量が増えるということ。しかし、同じ対水速度を出すための必要な出力が増える訳ではない。
これは中学校の理科や算数で出てくる流水算と同じ原理。