Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

シート高調整用スペーサーについて

前々回のログで少し触れたシート高調整用のスペーサーについて解説します。右上の写真をご覧下さい。シート座面とコロシャーシーの間に厚さ1cmの木製角材の端部が見えます。これがスペーサーです。この写真のシートはシングルアクションシートです。
スペーサーは、新造時にダブルアクションシートを付けていた艇にシングルアクションシートを取り付ける時に、元と同じ高さに調整するのに有効です。

ダブルアクションとシングルアクションの違い

昭和時代にボートを漕いでいた方はデルタ製のシートが記憶にあると思いますが、コロが4個独立で動くシートはもう使われていません。昔のデルタのシートもダブルアクションの一種ですが、今のダブルアクションシートは左右のコロが1本の軸で繋がっており、更に前後の軸がサポートで繋がっている形となっています。言葉で説明するより、下記URLでイタリアMartinoli社のWebカタログで見てください。このParts No.15AがダブルアクションシートでそのシャーシがNo.19です。これに対して、シングルアクションシートはコロにボールベアリングが使用されており、正に4輪車のタイヤの様なもので、本体がParts No.15BでシャーシはNo.15Cです。前回のロゴに書いた通り、シングルアクションシートはスライド時の滑りが非常にスムーズです。
http://www.martinoli.it/inglese/prodotti_carrello.htm
写真でも分かる通り、シングルアクションシートのコロ径は、構造上、ダブルアクションシートのコロ径より小さくなっており、この結果、シングルアクションシートの高さは1cm程度低くなります。従って、シートをダブルからシングルに変更した時にシート高が1cm程度低くなるのを修正するために前述のスペーサーを挟む必要が出てくる訳です。

ダブルとシングルどちらが良いのか?

これは一概に言えません。トップレベルの漕手が選手権大会で覇を競う様なレベルで使用するのであればシングルアクションが良いと思います。しかし、シングルアクションの欠点は1年間フルに使うとベアリングの寿命が来てでコロがガタツキ始め、初期の滑りの良さが無くなることです。また、荒川に出すときにデッキの上についた泥や砂がベアリングに噛み込み、更に寿命が縮まります。また、整備するとき等、取り外すのにレールのエンドストッパーを外す必要があります。(シングルアクションシートを叩く様にして無理やり外すとシートが壊れることがありますから止めましょう)一方、ダブルアクションの方は多少砂や泥がついても問題ありませんし、フルに使っても10年は持ちます。また、ちょっとコツを知っていれば、レールストッパーを外さずにスムーズに着脱できます。まあ、良く比較される軍隊の銃で言えばシングルアクションは米軍のM-16で、ダブルアクションはロシア製のカラシニコフAK-47と言ったところでしょうか?道具の扱いを良く知らぬ学生クルーや社会人クルーはダブルアクションを使った方が無難でしょう。シングルアクションはコロの交換に金(コロ1個が1000円以上で、シート1ケにコロ4個)がかかるし、道具のメンテが出来る一流選手限定と思った方が良いでしょう。

以上