Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

エルゴと乗艇は別の種目

昨日は気温が下がったので、7ヶ月半ぶりに自宅でエルゴを漕ぎました。
この結果、今朝は背中の肩甲骨周りの筋群がじんわりと筋肉痛になりました。
エルゴを漕ぐと、肩甲骨周りの筋群を良く使うためです。

なぜこうなるのか?

それは、エルゴではレンジが長い方がより良いスコアが出るので、フィニッシュレンジを長くするためです。
それは乗艇でも同じでしょう、と突っ込みがはいりそうです。
はい、そうです。
しかし、違います。

何故か?

1.乗艇ではフィニッシュでブレードを離水させるためにハンドルのタップダウンが必要

乗艇ではブレードで水を押して推進力を得ています。
従い、当然、ブレードを水中に一枚入れた状態でドライブします。
しかし、フィニッシュではブレードをリリース(離水)させるためにハンドルをタップダウンする必要があります。
例えば、ブレード一枚水中に入った状態からブレード一枚を離水させる為に必要なグリップエンドの下げ幅は以下の通りです。
ここでは離水させたときのブレード下端と水面のクリアランスはすれすれでの計算としています。
ブレード幅はC2のSmoothie2ブレードのサイズです。
また、オールの長さは私が今使っているオールの長さ・インボード長を使って計算します。
尚、インボード長は実際にはクラッチの回転軸中心からの距離にするため2cm加算しています。

必要なタップダウン量(@グリップエンド)=ブレード幅 x インボード長/アウトボード長

1)スイープオールの場合 25.5cm x (114cm+2cm)/(369cm-(114cm+2cm)) =11.7cm

2)スカルオールの場合 21.5cm x (86cm+2cm)/(285.5cm-(86cm+2cm)) =9.6cm

乗艇の場合は、このタップダウン量を確保するために、フィニッシュでエルゴの様にバックスイングを大きく取ったり、胸まで長くハンドルを引くことは出来ません。
乗艇はオールで推進力を得る種目なので、これは避けられないことです。

因みにフィニッシュでレンジを稼ごうとしてバックスイングを大きく取ったり、ハンドルを胸まで長く引くことも出来ますが、そうすると十分なタップダウン量が稼げないので、リリース後にブレードで水面を擦ったり、叩いたりすることになり、無駄な抵抗が増えて返って効率の悪い漕ぎ方になってしまいます。

参考までに私自身がスイープとスカルを漕いだ乗艇動画を添付します。
フィニッシュでのタップダウン動作が分かり易いように、ノーフェザーフィニッシュワークが入ったW.Up時の動画を添付します。

20221016 LBRC8@荒川 W Up
https://youtu.be/S2wgTCgYlDI

20221022 1X@荒川 W Up
https://youtu.be/ol49vLly7pQ

2.エルゴでは漕ぎ止めてもホイールが空回りるのでタップダウン不要

エルゴのフライホイールは自転車の後輪と同じ構造で、ハブはフリーハブ(いわゆるラチェット)となっていますので、フィニッシュでハンドルを引き止めてもホイールは空回りしてくれます。
従い、実際の乗艇と異なり、フィニッシュでハンドルをタップダウンする必要がありません。
タップダウンしなくて良いので、フィニッシュではできるだけハンドルを長く引くことによりスコアが改善します。
私の場合は、エルゴを漕ぐ時には、フィニッシュレンジを伸ばすために、乗艇時よりバックスイングを大きめにとり、且つ、ハンドル高さは乳首の少し上の高い位置まで引きます。
このエルゴでの腕の使い方は乗艇とは異なります。

即ち、フィニッシュでは、左右の肩甲骨を背骨の中心に向けて引き寄せて、腕の付け根である両肩を後方に引いて、ハンドルを長くドライブします。
だから、肩甲骨周りの筋群が疲れる訳です。
因みにエルゴが強い選手の背中を観察すると、肩甲骨周りの筋肉がよく発達しているのが分かりますよ。

参考までに私自身がエルゴを漕いだ乗艇動画を添付します。

20221025 ERGO@自宅 60分漕ラスト
https://youtu.be/oXwIhOJqJpU

3.エルゴと乗艇ではドライブの仕方が異なる

エルゴはチェーンでホイールをドライブしますので、撓みは殆ど無く、ハンドルのドライブ力がダイレクトにホイールに伝わります。
従って、効率よく出力するために、キャッチからフィニッシュまで、レッグドライブと同時に上体も起こしながらドライブし、脚を長く使い続ける漕ぎ方が有効です。
即ち、乗艇に比べるとKnees Downの速度を遅くし、レッグドライブを長く使うような漕ぎ方になります。

一方、乗艇では撓るオールを介して動力を伝えます。
特に最近は良く撓る小径シャフトのオール(所謂、スキニーシャフト)が一般的になってきています。

良く撓るオールではシャフトが十分に撓ってからでないと有効な推進力が得られません。
従って、キャッチハーフで如何に素早くシャフトを撓らせるかが、この小径シャフトを使って効率よく艇を進めるポイントになってきます。
ですから、キャッチハーフで素早くKnees Downさせてオールを撓らせる事が重要です。
兎に角、Knees Downです。

小径シャフトは柔らかいので、体へのダメージが少なく、思いっきりKnees Downしても、堅いオールを使った時の様に腰を痛めることはありません。
極端に言えば、尻逃げするくらいのつもりでKnees Downしましょう。

そして、フィニッシュハーフでは、キャッチハーフてオールに溜め込んだ、オールの撓り戻りの力が勝手に艇を進めてくれます。
フィニッシュハーフでは、撓り戻りの力をブレードを介して有効に水に戻すために、ブレードがスリップしないようにブレード一枚確りキープしましょう。
このフィニッシュハーフでのブレード一枚キープのブレードコントロールが小径シャフトを使った効率よい漕ぎのポイントになります。
リリースではブレード一枚からクリーンにブレードを離水させるために、確りタップダウンしましょう。
タップダウンが動作が確り出来ないと、フィニッシュハーフでのブレード一枚キープができません。
このフィニッシュワークでの一連のブレードワークは、正確なハンドルワークが必要となります。
腕が力んでいると、この正確で繊細なハンドルワークが出来なくなるので、腕はリラックスさせてブレードワークに専念することが必要です。

4.まとめ:

1)小径シャフトオールでの乗艇での漕ぎ方のポイント:
キャッチハーフでの素早いKnees Downが出力のポイント。
腕で出力する事を放棄し、腕はリラックスさせて、正確なブレードワークに専念させる。

2)エルゴでの漕ぎ方のポイント:
兎に角、長いレンジで漕ぐ。
最後までハンドルを加速し続けるために、ボディーを早めに使ってレッグドライブを長く使う
フィニッシュはボイディースイングを大きめにとり、引き切りは高めにキープしてフィニッシュレンジを稼ぐ。
最後の腕引きの力も使い、出力する。
この為には肩甲骨周りの筋群を使って両肩(両肘)を後方に引くようにしてフィニッシュする。

以上