Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

World Cup III ロッテルダム

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先週末まで、オランダのロッテルダムでWC IIIが開催されていました。
知人の大沼さんがfacebookでレース動画サイトをアナウンスしてくれましたので、レースの動画を見る事ができました。大沼さんありがとう。

WC3の動画サイト:
https://www.eurovisionsports.tv/fisa/?fbclid=IwAR0i9aPjgmVI9Gp64ybkQxeYvu1G4cktgPkdyrxWhTNSED70zlsv5Elq-dc

world cup 3は世界選手権前の最終戦という事で、強豪国の主なところは殆ど参加していた様です。

FISAのレース動画は検索が分かり難いのであまり見る事ができませんが、このWC3は、主なレースが殆ど収録されていて、非常に勉強になりました。

このレース動画を見て印象に残ったことを以下、箇条書きします。

1)M1X:
2強は、デンマークのNielsen選手とノルウェーのBorch選手。今年の世界選手権はこの二人の争いになるでしょう。体格・体力面ではNielsen選手ですが、水面が荒れると漕技に優れたBorch選手が優位になるでしょう。この意味では、荒れる海の森コースではBorch選手が優位の様です。
胴長短足の日本人スカラーはBorch選手のハイレート漕法を参考にすべきと思います。

2)W1X:
NZのTwigg選手が体力・漕技の両面で他を圧倒しています。女子スカラーは、Twigg選手の漕ぎをお手本として練習すると良いでしょう。

3)M8+:
今大会で、英国>ドイツ>NZの3強が明らかになりました。
NZはこれまでは決勝に出るものの最下位となるレースが多かったのですが、五輪金メダリストのドライスデール(M1X)、ボンド(M2-)の二人を加えたことで、一気に強いクルーとなりました。この短期間でここまで強くなれたので東京五輪までの1年で、英国・ドイツと肩を並べるクルーになる可能性は十分にありそうです。
尚、今回優勝した英国エイトの強みはLong Seat Slideを生かしたLeg Driveですね。

4)M4X, W4X:
男女ともに4Xの2強は、ドイツとポーランド
この両国共にリガーはFront Wingリガーです。ドライブの力をダイレクトに伝えるという意味ではBack Wingリガーの方が良いのですが、Back Wingリガーはクラッチ軸角度の微調整が難しい問題があります。特にチームボートの4Xの場合は、コーチ泣かせです。
そこで、リギング微調整・管理がしやすいFront Wingリガーを選択したのでしょう。

5)M4-:
今大会でも豪州4-クルーが圧勝しましたが、2018年までの豪州4-クルーとは異なる編成でした。即ち、Hill選手とTurrin選手が乗っていませんでした。この2名無しでも圧勝してしまう豪州の選手層の厚さは凄いですね。

6)M2-:
前述のHill/Turrin選手は、今大会では2-で参加していました。漕ぎの粗さはありますが、パワーが圧倒的ですね。

7)NZと豪州のSweepオールはUltralight?:
NZと豪州のSweepクルーのオールを良く見ると、SkinnyではなくUltralightシャフトだった。
Skinnyシャフトを使用している英国やドイツは、キャッチハーフのLeg Driveメインで、上体や腕はリラックスして漕いでいる。ボディースイングや強い腕引きを重視しているNZや豪州は柔らかいSkinnyシャフトより硬いUltralightを好むのだろうか?

8)エイトのコックスは男女不問:
M8+では、オランダと豪州クルーのコックスは女子。逆にW8+では、NZ、豪州、ロシアクルーのコックスは男子だった。

9)LW1X 冨田選手: final Aで5位
FAに進出した冨田選手が5位に入賞。
Final Aレースは逆風が吹き荒れ、1Qは漕ぎ難そうだった。漕ぎの精度に難のある冨田選手はスタート直後に波を叩いて出遅れたが中盤で1艇追い抜き5位。
冨田選手は体力・精神力共に優れたものを持っているので、漕ぎの精度・テクニックを改善できれば、メダルにも手が届くだろう。
それには、最適リギング設定も含めて、冬場の地道な努力が不可欠と思う。(このままの漕ぎでは、2Xで上手く合わせられる相棒は現れないだろう)

10)LW1X 上田選手の活躍
semi finalで惜しくもFA進出を逃したが、FBではラストQで上位クルーをごぼう抜きし最下位から2位まで順位を上げた。
FISAのレース解説者も上田選手の追い上げを賞賛し、Japanese sculler Ueda!を連呼していた。
上田選手の漕ぎの素晴らしいところは、日本人の短いながらも強いLeg Driveを生かしたLeg Driveメインのハイレート漕法。
Leg Driveをダイレクトにハンドルに伝達するため、骨盤を確り立てて状態をアップライトに保ち(Sit Tall)、グングンハイレートでドライブすること。
これを実現するために、正確なブレードワーク・精度の高い漕ぎを行っている。FISAの解説者はこの上田選手の漕ぎを見逃さなかったということ。
正に、和製Borch漕法と言えるだろう。
(今年の全日本選手権M1Xで優勝した中野選手の漕ぎも、ある種Borch漕法と思う)
日本の他のスカラーも、日本人体型を上手く生かしたこの漕ぎをトライすべきと思う。

以上