Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

天寵のストレッチャー整備:

一昨日のブログに天寵の4番、6番のストレッチャー修理に関して記事を掲載した。
しかし、その後、H26年度対校エイトの漕手として当時の新艇”天寵”に乗っていた安藤から以下の様な経緯を聞く事が出来た。以下、経緯と対応を述べる。

  • H26年に天寵クルーだった安藤から聴いた経緯:靴のHeel Depthを上げたかったが、初期にボードに取り付けられていたシュープレート用のボルトが低い位置にあったので、シュープレートの穴だけではリギング調整出来なかった。そこでボードに予め明けられている4つの穴の内、一番上の穴にボルトを取り付け直した。しかしこの穴には皿ネジの頭がボード表面からはみでない為のリーマー切削加工が施されておらず、ストレッチャー構造に関する知見不足の東大選手がそのままボルトを取り付けてしまった。
  • この際、ボルトを付け直した一番上の穴は、丁度アルミパイプバーと同じ高さにあり、ボードからはみ出たボルトの頭とアルミパイプが接触した。長く漕ぐ内にボルトとパイプが擦れてパイプ表面が局部的に擦り減った。アルミパイプバーのセンターには大きな曲げ応力が加わるが、バーの真ん中にあるボルトで擦り減った部分から亀裂が発生し、破断に至った。
  • 以上の経緯より、今回のアルミパイプ破断は、メーカーのFilippi社の初期組立ミスではなく、ストレッチャー構造の知識に疎いH26年度東大選手が、このストレッチャーをリギングした際の思慮不足などのミスにより発生した問題だったことが判明。この問題が、2年後、あたかも時限爆弾の様に、今年の東商戦1週間前にアルミバー破断という形で事故が発生したもの。
  • 余談だが、ストレッチャーに関して知見の豊富なシマノ社営業のK原氏に伺った話だが、SRD装着時にアルミバーが折れる事があるとのこと。やはり折損事故があるのは、艇の幅が広く、アルミバーのスパンが長いエイト艇のミドルフォアが殆どという事。

以上の経緯を踏まえて、今日の早朝乗艇終了後に、天寵のストレッチャーを全て外し、上記の問題に関してチェックし、必要なものは改造善処した。整調、7番、3番に関してはアルミバーとボルトの頭が接触する問題は無かったので、そのままとし、問題があったそれ以外の5個のストレッチャーに関して、皿ネジ取付位置を1つ下の穴に変更。皿ネジの頭とアルミパイプが接触しない様にした。この際、この穴にリーマー加工用の専用ドリル刃でリーマー加工も行った。
以下、今朝の作業の様子。
 問題のあった皿ネジ3本を外し、上から2番目の穴に付け直した。その際、事前に専用工具でリーマー加工した。
 ボルトを付け直したボードにアルミパイプを付け直すA藤。
 リーマー加工した穴に皿ネジをねじ込み取付するY岡。
 月曜日に取り付けた4番のアルミパイプ。3回乗艇しただけだが、既にパイプ表面にボルトの頭と擦れて出来た傷がついていた。
 上記加工後、アルミパイプを取り付けた6番のストレッチャー。今回付け直したボルト(皿ネジ)は、アルミパイプより少し下の上から2つ目の穴に取り付けられているのが分かる。(シュープレート取付前)
 再組立てした4番のストレッチャー。良く見るとアルミパイプの下に今回付け直した皿ネジの頭が見える。
 同上。
 ストレッチャーを側面から見た写真。シュープレート固定用ボルト(皿ネジ)はアルミパイプより下に取り付けられており、パイプに接触していない。

これで、天寵のストレッチャーパイプ破断問題は解消できた。
一件落着!