Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

エイト艇のラフコン耐航性

oyajisculler2016-04-17

今回の早慶戦では、早稲田対校エイトがレース途中で浸水し沈。沈せずゴールまで漕ぎ切った慶応対校エイトが勝ち、5連覇。
 対校エイトスタート前
 ゴール前の慶応艇
たしか、記憶では、早稲田の5連敗の内、浸水で航行困難となったレースが今回以外に、もう一つあったと思う。

この5連勝の中で、慶応が使っていたエイト艇は米国Vespoli製の艇。隅田川レース専用として特注した艇で、艇の設計体重は80kgオーバーの器の大きな艇で、乾舷が大きい。また、ガンネルから浸水しにくい様にガンネルトップのフランジ(波除け)を大きくし、且つ、リガーからの波飛沫が大きく上がらない様に、Carl Douglass製のAeroWingリガーを付けている。
 レース中の慶応艇(1)
 レース中の慶応艇(2)

一方、早稲田は、この5連敗中で、記憶では3種艇使っている。即ち、最初にVespoli製のV1艇(設計体重は75kg程度の軽量級艇。慶応同様にAeroWingリガー装着。この艇は乾舷が小さく、ラフコンで艇浸水して大減速、敗退。) 、次に使ったのが、Filippi製のF9艇(Filippi艇は、元々重心が高く、乾舷が大きく出来ているが、隅田川レース専用として、設計体重を更に大きくして85kg?とし、やたらと乾舷、シート座面をアップ。この艇を使った3年前?は、全く浸水しなかったが、漕ぎ難くて全く艇が走らず敗退。) そして、昨年と今年はEpmacher製のK86型(設計体重80kgだが、乾舷が小さく、リガーからの飛沫で浸水しやすい。リガーは、Empacherオリジナルのダブルパイプリガーを搭載。今回、ラフコンで沈)
 レース中の早稲田艇(1)
 レース中の早稲田艇(2)
 レース中の早稲田艇(3)

さて、話が変わるが、東大は、殆どの練習を荒川で行っている。荒川も隅田川程ではないが、風向きと流れが逆になると、白波が立つほどのラフコンになる。偶にラフコンの中で練習する事があり、艇のラフコン対航性に関しては、知見がある。

以下、東大所有のエイト艇で、ラフコン対航性の良い方から順に記載すると:

  1. Filippi製 F42型 Wingリガー艇 設計体重75kg。(天寵)Wingリガーのブリッジはへの字に曲げてアウトハンドが当たり難い様にしてある。乾舷の高さはF9同様に高く、ラフコンに強い。
  2. Filippi製F9型 ダブルパイプのノーマルリガー付き。(La Virtu) 設計体重73kg。耐候性が比較的良いEmpacherのK84と比較しても、F9の方がラフコンに強い。F9にAeroWingリガーを搭載すれば、万全と思われる。
  3. Empacher製 K84型 ダブルパイプのノーマルリガー付き。(天祐) 設計体重73kg. 乾舷が高めなので、ラフコン耐航性は比較的良い。
  4. Emapcher製 K86型 ダブルパイプのノーマルリガー付き。(三四郎、Mariko)設計体重75kg。K84型に比べて乾舷が低く、ラフコン時に浸水しやすい問題あり。
  5. Sykes製 M40型 Wingリガー艇。(無限)設計体重73kg。Wingリガーのブリッジは水平。ラフコン時にハンドルを持つ手がブリッジ に当たりにくい様にガンネルが低く設計されている。しかし、乾舷が低いのでガンネルから波が浸水しやすく、また、オールで波を叩くと、ハンドルを持つ手がブリッジに手が当たり易く、漕手が怖がる傾向あり。

以上の通り、仮に東大がラフコンでレースする専用艇を新調するなら、FilippiのF42型、若しくはF9型のWingリガーか、AeroWingリガーを採用すると良いと思われる。設計体重は、実際に乗るクルーの平均体重、即ち、軽量級艇でOK。

以上