Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

シート座面計測上の基準点のあり方に関する経緯:

  1. 日ボが最初に規格艇の諸数値を規定した昭和40年代?の当時は、シート座面には穴が無く、シート座面の最下点を基準点としていた。穴の無いシートでは、シートの最下点は誰が見ても同じとなっていた。
  2. 穴の無いシートの時代が長く続いたが、昭和50年代中ごろから、シェル艇用のシート座面に小さな穴が空いたシートが出回り始めた。しかし、この穴は直径が4cm程度と小さく、且つ、上記の国産の標準的形状のシート座面に穴を空けただけであり、穴の周囲のポイントを基準点とすることで、何ら実際上の問題は無かった。
  3. 平成に入って、欧米ボートビルダーの輸入艇が入り、レース艇は輸入艇という時代になった。欧米の輸入艇に取り付けられている殆どのシートは、座面に大きめな穴が空いていた。穴は直径6cm強の大きなモノが多く、前術の日本式の座面位置基準点の設定要領では、基準点の設定が難しくなってきた。
  4. おやじがT大ボート部のコーチをしていた1990年初期の頃、穴の空いたシートで、どこを基準点とすべきか迷い、種々文献をあたった。当時日本で出回っていた、米M.Purcer著の"Rigging"なる本があり、これには、「座面穴とシート座面前端の中間位置」と書かれていた。しかし、この方法では、何やら位置の特定が難しく、これでは計測者に拠って、数値が変わってしまう。また、RedgraveのComplete Bookには、シートの前端を基準とすべしと記載あり。要するにシート座面の計測点は、その当時は標準化された手法が無いという事が分かった。そこで、T大では座面センターライン上の一番低いところを基準点とすることとした。
  5. 一方、日ボの方は、1)、2)の国内での経緯を重視したのか、未だに2)の要領で計測している。しかしながら、この方法はポイントが明確にならず、計測者によって数値がバラツクという問題あり。コーチやクラブに拠っては、穴からメジャーの先端を差し込み、座面の裏側を基準点にしているケースもある模様。これでは、一体何を計測するのか分からなくなってしまう。

以上の経緯より、ボート初心者をユーザーとするレク艇開発PJでは、シート座面の計測点を簡単明瞭に規定する意味でシートセンターライン上の最下点、即ち、T大の手法を採用することした。