Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

EmpacherのスイープWingリガーは他と異なる工夫あり:

Wingリガーエイトで有名なのは米国やカナダのナショナルクルーが使用しているHudson艇だ。日本ではTレやKO大が昨年から使用している。これを見れば気付くだろうがガンネルが低く、乾舷が非常に小さい。何故こうなっているのか?理由は以下の通り:

  1. ラフコンで波が高かったり、バランスを崩した時にハンドルをガンネルにぶつけて指を怪我することがある。ガンネルの上にリガーが載っているWingリガーの場合は更にこの危険性が増す。これを勘案してWingリガー搭載艇ではガンネル高さを通常の3点式リガー搭載艇より低め(3〜4cm程度?)にしてある。
  2. この為、Wingリガー搭載艇は、波の大きいラフコンになると波頭がガンネルを超えてガンネルから浸水しやすい。
  3. 以上を勘案すると、Wingリガー艇は、必ずしも通常の3点式リガー艇よりラフコンに強いとは言えない。寧ろ波に当たり難いAeRoWingリガーを搭載した通常艇の方がラフコンに強いと思う。実際、両方の艇を有するKO大は、隅田川での早慶戦にはAeRoWingリガー搭載の通常3脚リガー艇を使うだろう。
  4. 通常型のWingリガー艇は捩れに弱い:Wingリガー搭載艇はガンネルが低いということを述べたが、ガンネルが低いということは艇の深さが浅いということだ。艇の深さが浅い(低い)艇、即ち薄い板を想定して頂ければ分かるが、捻り強度が弱いということだ。新品の内は良いが、長い間練習で使ったりした場合、通常の3脚リガー艇より艇が早く痛むと推察する。即ち、練習艇には向かないと思う。


さて色々述べたが、上記のWingリガー艇の欠点を補う為、EmpacherのWingリガーは賢い工夫がしてある。即ち、リガーと逆サイドの支点をガンネルでなくデッキ位置まで下げ、Wingリガーのブリッジを斜めにしている。これにより、ラフコン時にハンドルを握る指がWingブリッジに当たらない様にしている。(通常のWingリガーのブリッジはガンネル間を渡してあり、水平になっている)この工夫でガンネル高さ通常通りの高さを保っている。素晴らしい工夫だ!問題はこの歪な形状を採用したため、ブリッジを固定するデッキ周りの補強材が必要となり、艇の重量が通常のアルミ3脚リガー艇より重くなっているという話だ。(ガンネルが高いという点も重さに影響している筈)また、聞くところではワークハイトの調整等、リギングの調整可動域が3脚リガーの様にフレキシブルな調整は出来ない模様。尚、価格の方は3脚リガー艇よりホンの少し高いだけで、Carbonチューブ式リガー艇よりは廉い模様。