Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

③FRP艇取扱い上の留意点:

FRP艇は木造艇に比べで経年変化が少なく、強く、メンテに手間が掛からない。以下の点に留意すれば更に長持ちする。

  1. FRP樹脂は紫外線に弱い:Empacherやフィリッピ等レース艇を長年使用していると、内側の塗装していないデッキやシェルなどの樹脂表面が紫外線で肌荒れし、酷いときには表面がひび割れや剥離をすることがある。こうなると剛性が無くなり、フニャフニャになる。欧州では太陽光線があまり強くないので、内側まで紫外線対策をしていない様だが、日本では太陽光線が強いので、出来れば内側も塗装した方が良い。Vespoli艇は内側も塗装してあるので長持ちする様だ。整備途中で艇庫の前にボートを上向きにして何時間も直射日光に曝したまま置いてあるのを偶に見るが、あれは最悪である。オールについても同じことが言える。普段は艇庫に保管している艇・オールを遠征先で屋外に放置すると、僅か1週間程度でも艇が傷んでいるのが分かる。
  2. FRP艇の正しい持ち方:小艇は船体の幅が狭いので、ガンネルを持って上げ下ろしをすれば良いが、エイトになると船体中央の幅が広いので、上げ下ろし時に体の小さい漕手は手が反対側のガンネルまで届き難く、艇を下ろすときに船台の縁に船底やフィンを当てて傷をつけ易い。Vespoli社のOwner’s Manualによると、一つの手は手前のガンネル、もう一方の手はストレッチャーの横棒を持って上げ下ろしせよと解説されている。先日からこの方法で上げ下ろしをしているが、艇の中心を持ってハンドリングできるので無理なく安全に上げ下ろし出来ることが分かった。
  3. 1X艇の担ぎ方:おやじが学生の頃、1X艇の持ち方と言えば船底を肩の上に担ぐ方法が主流であった。しかしこの担ぎ方だと船底が自重に耐えられず、担いでいる間にシェルが変形したり、酷いときは損傷してしまう。FRP艇についてもこの状況は同じであり、船底を下にして担いではならない。①一番良いのは上げ下ろし時に船底に一切負担が掛からぬように艇を頭の上に載せる方法である。(シートを頭の上に載せて、両手でガンネルまたはリガーを持ち、バランスを保つ)これは前方及び左右の視界が確保できるので移動中の安全面でも有効である。但し、風が強いときにはふら付きやすいという点、非力な漕手では頭上に差し上げるのが難しいのという問題がある。②一度頭上に差し上げた後、頭に載せず、片方のガンネルを肩の上に担ぐ方法。この方法は左右何れかの視界が遮られるのと、1X艇の尖がったガンネルが肩に食い込み痛いという欠点がある。③船底を下にしてボートを腰の高さまで持ち上げ、次にこれを太ももの上に一度載せて片手を船底に回しこみ肩まで持ち上げ一度肩の上に船底を載せる。そして担いだ肩と反対側の手でリガーを腰まで下げ、艇を横にしてガンネルを肩の上に載せて運ぶ。この方法は非力な漕手でもかの可能で、且つ、艇の強度上も許容しうる担ぎ方である。おやじは①の担ぎ方を推奨するが、初心者には難しいので、ボートの扱いに慣れるまでは③の担ぎ方をするのが妥当と考える。
  4. 水抜き:雨天での練習などでは雨水が艇内に溜まる。艇を反すことにより大半の水は流れ落ちるがカンバス内の水は抜けない。FRP艇は湿気で腐ることはないが、長い間にハニカム空間に水が入り込んで抜けなくなってしまう可能性がある。従って、使用後はカンバスの水抜き蓋を外して水・湿気を逃がすべきである。少なくとも週に1回は明けるべきである。

(正しい担ぎ方②の例)