- FRP艇の構造は、波よけのガンネルまで一体化したシェルと、漕手が乗るデッキとこれを支えるブラケット材というシンプルで強い構造になっている。船首・船尾のカンバス部分は、昔はシートを張っていたが、今はシェル材と同じハニカムFRPとなって艇の強度に寄与している。
- FRP繊維・クロス材としては、次の3種類がある。ケブラー繊維:引っ張り強度、衝撃強度(防弾チョッキに使用)に強く、シェル材に使われている黄色の繊維。カーボン繊維:引っ張り強度が非常に強く、キール部やガンネル部等、艇の局部補強に使われている黒い繊維。レース専用艇としてシェル材にもカーボン繊維を採用した高価なフルカーボン艇もある。ガラス繊維:強度は前述の繊維より劣るが、安価なので練習艇に今でも採用されている他、主に修理用に使用されている。
- FRP樹脂(プラスチック):前項の繊維そのものは柔らかい素材であり、これを樹脂で固めたものがFRPである。FRP樹脂には主に2種類ある。エポキシ樹脂:強度が強く硬化時に収縮しないので、FRP艇の新造時に採用されている。値段が高い。ポリエステル樹脂:値段が安く、DIYセンターで容易に購入できるので修理用に使われている。硬化剤を適量以上に入れると高熱を発するので要注意。
- Distance Holderとしてはハニカム材の他に、比較的安価なPVCフォームがある。フォームサンドイッチFRPは、ハニカムFRPより少し重くなるが、人が踏んだり、ストレッチャーからの過重等、局部的な過重や衝撃に対して強いので、FRP艇のデッキに使用されることが多い。フォームサンドイッチFRPはシェル材にも使用され、レース艇より少し重め(FISA minimum重量+5%程度)となるが、耐久性が強く、扱いやすいのでクラブユースの艇に採用されている。(例えば、フィリッピのItaria-2やJ2艇(中国製)のクラブA仕様)
- ラミネートFRPは、今は練習専用艇のシェル材として使われている。これは耐久性を増すために安価なガラス繊維クロスを厚めに積層したものであり、非常に重い。(1Xで20kg以上あり、素人が1人で持つのは厳しい)但し、非常に頑強であり、少々手荒く扱っても壊れないので素人向きである。