Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

1X導入トレーニング艇「杉田」の利用手引き

oyajisculler2010-09-29

幅広1X艇「杉田」の試乗結果について、2回ほど、このブログでも紹介したが、クラブ内での利用を推奨する意味も込め、利用の手引書を纏めた。昨日、クラブ内に配信済だが、ここで手引書を紹介する。

1.SS「杉田」造艇の経緯(本艇の銘盤より):

杉田コーチは、最先端の漕艇関連技術の導入実践を行い、それを持って昭和35年のローマオリンピック日本代表/東京大学フォアを育て、昭和36年及び38年の全日本エイト優勝クルーを育てられた。
杉田コーチ逝去7回忌の2009年は同コーチがコーチを始められてから50周年に当たり、この機会に淡青会有志が同コーチ御遺徳、業績を偲んで顕彰の本を出版した。 
その際の杉田コーチ御遺族からのご寄付と淡青会をはじめとするボート仲間の寄付金に拠り、シニアオアズマンにも使える新型のSSを建造、その艇名にコーチの苗字の「杉田」を頂いた。素晴らしい漕艇指導者杉田美昭氏の指導を「杉田」に乗ることで思い起こし次の世代に語り伝えたい。(SSは1X艇の意)

2.1X導入トレーニング艇「杉田」利用の目的:

ローイングの楽しみ方は、大きく分けて2つある。一つは我々OB諸氏が学生時代に打ち込んだエイト、即ちスイープ種目チームボートによるローイング。そしてもう一つがスカル種目によるローイング。
特に近年、日本でも欧米のローイングに習い、中高生のローイング導入に用いられるのはスカル種目となっている。東大でも2009年入学の新人からは、従来のナックルシックスによるローイング導入トレーニングに代え、最初から舵手付きクォード艇(シェル艇)によるスカル種目で導入トレーニングを行い、バランス感覚の向上などの成果を得ている。
2008年以前に入学したOB諸氏は本格的にスカル種目で乗艇をした事のある者は少なく、未だ本格的にスカル種目の艇を殆ど漕いだことの無い者が多いのが現状。スカル種目の艇種の中でも、1Xは、1人で漕ぐ艇であり、バランス感覚の改善や乗艇中の艇の動きを体感できるなど、卒業後の個々人のローイング鍛錬に非常に有効である。
LBRCでは、2009年10月にスカル種目の導入トレーニング用として4人漕ぎツーリングボート「ひまわり」を購入した。しかし、ひまわりでスカル漕ぎを練習した後に、本格1X艇の利用に至る過程で必要となる安定性の良い1X導入トレーニング艇がなく、1Xによるスカル乗艇がいま一つ伸び悩んでいた。今回、1X導入トレーニング艇「杉田」の導入により、ひまわり⇒杉田⇒本格1X艇「向島」という段階を踏んだスカル漕ぎ練習のインフラが整った。(欧州では、初級者の乗艇練習は、先ずツーリングボートによる乗艇練習を行い、次に幅広1X艇を用いて1X導入練習を行うプログラムが標準化されている。)また、杉田はスカル初級者の練習としての利用だけでなく、その安定性の良さを活用し、スカル漕ぎベテラン漕手の技術練習や水上パワートレーニングという形でもドンドン利用して頂きたい。

3.杉田の利用予約(利用実績記録)について:

Webscheduler(下記URL)を用いて簡易に利用申し込みが出来る様にしている。杉田を利用したい者は、パソコンで下記サイトにアクセスし、利用予定をスケジューラーに書き込む。尚、予約無しで利用した場合は、実績を書き込むこと。
http://www.ics.ne.jp/schedule/pc.cgi

4.杉田のリギング関連数値:

  • 主寸法(LxB):6.3m x 50cm、艇重量=18.9kg(耐久性向上のため、若干重構造)
  • リガースパン: 159cm @±5cm (159cmに設定済み)
  • ワークハイト: B-side= 135〜180mm,   S-side= 110〜155mm、ハイトはCワッシャーで任意に調整可。左右差は25〜30mm程度、男子の推奨値:B-side=170mm, S-side=140mm
  • Heel Depth: Flexfoot式のゲタがついており、任意に調整可。自分の運動靴を付けて乗艇する。(Heel Depth推奨値:15cm程度)
  • Pin to Heel:艇内船体にPTHメジャーを張り付けてある。任意に調整可。PTH推奨値:35cm + (身長-180cm)/2 (身長176cmの場合:33cm)
  • レールワークスルー:デッキ裏のナットを緩めれば、任意に調整可能。推奨値:10cm程度

5.杉田乗艇時に使用するオール:

<LBRCメンバー>
本艇は、幅広短尺船型ゆえ通常のレース用シェル艇に比べると抵抗が大きい。SR20程度のLSD漕では問題ないが、ハイペースで漕ぎ艇速を上げると水中が非常に重くなる。
本艇の利用目的がスカル漕ぎ導入練習、或いは技術練習である事を踏まえ、ひまわり乗艇時同様に、オールの全長を短く設定した下記のオールを使用する。
即ち、全長=283〜284cm, インボード=86cm (リガースパン159cmとのマッチング)

  • 淡青会用Croker製オール:主にひまわりでの利用を想定。4組あり。
  • Wintech製オール:杉本さんから寄付頂いたオール1組。「杉田」と明記。

<東大漕艇部員>
漕艇部のオールを使用すること。全長、インボード値は上記参照の上、設定のこと。 

6.艇の出し入れ:

安定性確保のため、本艇の幅はフォア艇並みの幅がある。この関係で、1X艇の扱いに不慣れな者では、1人で本艇をハンドリングするのは少々難しい。(1X艇扱いに慣れたベテランスカラーなら1人でハンドリング可能) 従い、アームからの上げ下ろしや、船台までの運搬については、無理して1人では行わず、近くにいる者に手助けして貰うことを推奨する。使用後は、保管されていた所へ、元の置き方で戻す。 尚、1人で本艇のハンドリングする術を習得したい者は、1X乗艇・ハンドリングに慣れたLBRCボートマスターに指導を仰ぐこと。

7.乗艇時の留意事項:

以下のポイントを守って、安全最優先で乗艇すること。

  • 原則、戸田コースでの乗艇とする。(荒川への出艇はボートマスターに相談のこと)
  • 戸田コース航行ルールを熟読し、遵守する。(浅野艇庫正面に規則掲示板あり)
  • 直進する技量が十分でない者は、1・2レーンや5・6レーンなどの端のレーンを通り、中央の3,4レーンでの航行は危ないので極力避ける。
  • 500m地点の競艇上ゲートに衝突しない様に十分注意する。
  • 万一、転覆した場合は、艇に掴まり、最寄りの岸まで寄せて再乗艇する。

8.杉田による乗艇練習のポイント:

安定性の良い「杉田」の乗艇では、下記ポイントに留意しながら技量習得に努めことが上達への早道。

  1. ノーフェザー漕ぎが基本。ノーフェザーで水面を擦らずに漕ぐ様に努力する。
  2. キャッチからフィニッシュに向けて艇を加速する様に漕ぐ。特にスカル漕ぎは、フィニッシュを力強く押し切り、且つクリーンにブレードを離水する技量を身に付ける事が肝要。このフィニッシュ技量を身に付けるためにはフィニッシュから組み立てたノーフェザーによる練習を行うと良い。乗艇の漕ぎ出しでは、先ずフィニッシュ姿勢を取り、フィニッシュチャボ⇒腕漕ぎ⇒上体漕ぎ⇒1/4スライド⇒1/2スライド⇒3/4スライド⇒フルレンジと、段階をおって徐々にレンジを前へ伸ばすように練習する。各々の行程は、端折らずにキッチリできるまでタップリと時間を掛けて根気良く練習する。腕漕ぎからフルレンジに至るまでポンド1周(3km)する位、長い距離を掛けて十分に行うと良い。
  3. ノーフェザーでキチンと漕げるようになったら、次にフェザーを付けて漕ぐ練習を行う。
  4. 真っ直ぐ前を向き、ランドマークやレーン両サイドのブイとの間隔を見ながら、蛇行せず、レーンの中央を真っ直ぐに漕ぐ。

9.杉田による1X導入トレーニング量の目安:

スカル初級者の方は、杉田を使った乗艇練習で、前項記載の技量を確り身に付けた上で、本格1X艇「向島」での乗艇へ移行する。
尚、杉田による1X導入トレーニングは、元々の技量レベルなど、個人差はあるが、概ね週1回乗艇として、約1ヶ月間継続(4回乗艇)が一つの目安と思われる。

同文のワード文書も当サイト内のファイルに保管している。
1X導入トレーニング艇「杉田」利用手引き(公開用).doc 直

以上