Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

1Xトレーニング艇で18km漕

oyajisculler2010-08-12

今日から会社は盆休みで5連休。今日は台風が北陸沖の日本海上空を通過中で、朝から南の強風が吹いていた。関東地方は風は強いものの、暴風雨圏には入っていないので、何とか乗艇できる考え、戸田に向かった。戸田コースに着くと、風は強いものの南からの横風で、波は立っていなかった。ただ、風が強いためか、出艇しているクルーは少なく、何か得をした気分。
今日は風が強くややラフコンという事もあり、レース艇のGoten号ではなく、トレーニング用1X艇の「杉田」号に乗ることにした。因みに杉田号に乗るのは今日が初めて。

杉田号について:

この艇は、昭和30年代に東大のコーチをされていた杉田先輩(故人)がコーチに就任されてから50周年となる事を記念し、今春、ボートに関する故人の業績を編集した記念誌の発行ならびに杉田さんを偲ぶ会のパーティーが開催された。この記念事業の残預金で、本艇が建造されたもの。おやじの設定した仕様(後述)でデルタ造船に発注し、今年6月に納艇された。本艇はスカル初級者のスカル乗艇導入トレーニングに用いることを狙いとして設計した。おやじの考えるスカル導入の手順としては、欧州のローイングクラブのそれに倣い、(1)先ずは4人漕ぎのツーリングボートでスカルの漕ぎ方を一通り練習し、(2)次にシングルスカル乗艇導入初期に、安定性が良く漕ぎやすいこのトレーニング用1Xで乗艇し、(3)最終的に通常のシングルスカル乗艇に至ることを狙っている。下の写真は杉田号のコックピット周り:

本艇の仕様の概要は以下の通り:

  1. 船型:安定性の良いFISAのAdaptive用1X船型(Adaptive1X艇は、レールが外された固定座席式)
  2. ストレッチャー:Flexfoot(エルゴマシンのゲタと同じ:マイシューズを履いて乗艇)
  3. リガー:ツーリングボートで採用した耐航性アルミリガー(バックステー無し)
  4. 工具無しでリギング調整:ハイト調整用C型ワッシャー、ストレッチャー固定にノブナット採用、Flexfoot採用。
  5. スパン:159cm±5cm

乗艇した感触:

7月上旬に進水式を行い、現在、LBRCメンバーがいつでも利用できるようになっている。昨日はシドニー小林さんが乗艇した模様。おやじは、自分のトレーニングで忙しく、これまで杉田号に乗る事が出来なかった。今日は盆休みで時間に余裕があったことと、台風の影響で風が強く、通常の1X艇ではマトモに漕げないと考え、自分のテクニカルドリルも兼ね、安定性の良い杉田号で乗艇練習することにした。まず、出艇前にリギング調整。今日のリギング値は以下の通り:

  1. スパン:159cm、
  2. オール:全長284cm(短いオールを使った)、インボード:86cm
  3. ハイト:B:17.5cm, S:15.0cm(少々低め。これ以上上がらなかった)
  4. Heel Depth: 13cm(靴を付けた値:これ以上下がらなかった(*))
  5. Pin to Heel:33cm

先ず、腕漕ぎのフィニッシュワークから始めた。バランス安定性が良いので、横風は強かったが気持ちよく腕漕ぎをすることが出来た。腕漕ぎが楽に出来れば、上体漕ぎや1/4スライド漕ぎは楽に出来た。時おり横から突風が吹くので、流石にノーフェザーを延々と漕ぎ続けるのは無理があり、復路はフェザー付きで漕いだ。後は18kmを低レートのLSD漕を実施。バランス安定性が良いのでフォワードで十分にリラックスする事ができ、通常の1X艇では意識していないと出来ないフィニッシュでのフィンガーターンを自然に行なう事が出来た。幅広のズングリムックリ船型なので、艇速を上げると舳先から波が立って大きな抵抗が生じる。今日はテクニカルドリルと考え、ユックリ漕いだ。こういう低速だと造波抵抗が立ち上がらないので、少々船型がズングリ型でも無理なく漕ぐ事が出来る。
艇の幅は水線付近で50cm近くあり、横安定性はフォアより良く、概ねエイト並みの安定性と言ったところ。でも体を傾けたり、ミスオールすると艇が揺れるので、乗艇技術練習には丁度良い具合と言ったところ。そしてフィニッシュでのクリーンなブレード離水とフォワード中にブレードを全く擦らずに艇を走らせる感覚を楽しむ事が出来る。レース艇を漕ぐのとは、また別のローイングの楽しみ方と言えよう。艇速を上げると造波抵抗がぐっと立ち上がるので、エルゴの代わりに水上での体力トレーニングに使えそうだ。よくナショナルクルーの水上トレーニングで船底にゴムホースをつけてブレーキ付きトレーニングをしているのを見るが、このトレーニング1X艇を漕いでも同じような効果が得られると思う。
下の写真は杉田号の船底:

(*)リギング改善:
上記の(*)に書いた通り、Heel Depth値が小さくて、足が下げられない問題があった。これは本艇の船型が幅広で船底が浅いために生じた問題。そこでシートの座面とシャシーの間に1cmのスペーサーを挟み、シートを1cm高くすることにした。そうするとワークハイトが1cm下がってしまうが、クラッチの軸(ピン)をスイープ用のロングピンに換装すればOK。という事でこの2点の改善を近々行なう予定。
以上