Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

SRD試用の中間レポート

oyajisculler2010-04-16

SRDの試用について、当ブログでも状況をレポートしているが、医科学委員会として本日開催の日ボ理事会にSRD試用に関する中間報告をしたいとの要請あり。昨夕、中間レポートを纏めて、医科学委員会に提出した。日ボ理事長の了解を得たので、同レポートをここに掲載する。以下レポート本文(青字):

SRDの現況:

自転車パーツメーカーのシマノ社がボート競技艇の新型ストレッチャー(以下、SRDと称す)を開発し、昨年末から本格的に販売を開始した。SRDの公式レース使用はFISAが承認済み。日ボでも公式レース使用を承認済み。一方、規格艇配艇レースの大会に於いて、SRDを使用することに関しては、艇体との接合部の強度問題が未だ検証されていない事を理由に、今年度の配艇レース大会でのSRD使用は認めていない。

日ボ医科学委員会でのSRD試用の状況;

日ボとして、SRDを規格艇に搭載に関した場合の問題の有無を検証するため、医科学委員会では、実際に1X艇にSRDを搭載して、構造強度面及び人体に与える影響を検証中。試用期間は、2010年4月4日より2ヶ月程度。SRDを搭載した艇は、Sykes製ウィングリガー1X艇 下の写真はSRDを搭載した艇の状況。
 
ストレッチャーをSRDに換装したことによる重量増加は0.9kg (1.3kg→2.2kg)

規格艇配艇レースでSRDを搭載する場合に予想される問題点;

今回は個人所有艇に搭載したものであり、一度取り付け・調整をすれば、基本的にストレッチャーの取り付け・取り外しは行わない。これまで3回乗艇したが、強度面では従来型より確りしており、何ら問題点は無い。一方、今回の論点は、規格艇配艇レースでSRDを使用した場合に、問題があるかどうか。その点についてここに述べる。

  1. 配艇制限時間内のSRD搭載は困難か?:今回SRDを搭載したウィングリガー艇は、ストレッチャー上部のリガーブリッジ部が邪魔をして、ストレッチャー周りが狭く、SRDを取り付けるのが難しく、SRD取付けに習熟しているシマノ社の社員でも2時間程度を要した。規格艇はウィングリガー艇ではないので2時間も掛からないと思うが、相当事前に練習したとしても、ストレッチャー取り付けだけで15分は掛かると思われる。取り付け時間のリスクは競技者が自己責任で取るということであれば、問題とはならない。
  2. 構造問題その1(艇底のギヤレールの長さが足りない); SRDフレームの推奨取付角度は50度。これに対し従来型ストレッチャーのボート角は42度前後で取付けるよう設計されている。脚の長い漕手がSRDを目一杯スターン側に取付ける際に、艇底のギヤレールの長さが足りないという事が発生する。これに対処する為に、下側ギヤレールをスターン側に移動する必要があるが、規格艇配艇レースではこの種の改造は認められていない。従い、体格の大きな漕手は、自分の最適な位置にSRDを取り付け出来ない不具合が発生する。
  3. 構造問題その2(スタンスの設定を誤ると船底が損傷する可能性あり);SRDのフレームは左右のユニットが独立しているので、艇の幅が許せばスタンスを広く設定することが可能。しかし、SRDフレームや金具下部と船底との隙間を鉛筆1本分程度の隙間を取らないと、使用中のフレームの撓りにより船底にフレームや金具が当たって船底に傷が生じる場合がある。

SRD使用による人体への影響に関しては、これまで3回の乗艇では何ら悪影響は無かった。シマノ社に聞いたところでも、試作品使用開始から現在まで2年以上経つがが、人体への悪影響の事例は無いとのこと。

SRD搭載による乗艇パフォーマンスの改善;

3回乗艇したなかで、以下の様な乗艇パフォーマンスの改善が認識できた。

  1. フォワードが楽になる:踵が何ら抵抗なく自由に上がるので、踵の硬い漕手でも(踵の柔軟な漕手の様に)よりリラックスした状態でフォワードする事が出来る。高いレートでもフォワードで休めるので、レース中盤のコンスタントスピードの艇速維持・向上が期待できると同時に、ラストスパートでレートが上げ易い効果がある。
  2. バランスコントロールが改善する:両足の靴が左右独立でクイックに上げ下ろしできるので、バランスコントロールが容易となる。また、ラフコン時にブレードで水面を叩いた時に従来型に比べ、艇の揺れを踵の上げ下ろしで吸収できるので、バランスを大きく崩さなくなる。ラフコン時でも、従来型に比べ、よりリラックスした状態で漕ぐことが出来る。
  3. 逆風での漕手負担感(脚の負担)が軽減される:これが逆風で漕いだ感触。SRDの如何なる効果でこうなるのか、ビデオなどを取って詳細に検証する必要があるが、逆風が相対的に楽になる様に感じる。
  4. やや不安定な高性能艇でも乗りこなせる様になる:バランス安定性並びにフォワード時の艇操作がしやすくなるので、従来は、不安定さ故に乗りこなせなかった抵抗性能重視の高性能船型でも、SRDとの組み合わせる事により、乗りこなせるケースも出てくると思われる。今回SRD試用に使っているSykes艇(Mould-20)は、艇幅が狭く、船底断面形状がほぼ円弧型の抵抗性能重視の船型で、乗りこなすのが難しい艇だが、今回SRDを搭載したところ、かなり漕ぎやすさが改善し、艇のコントロール性が改善した様に感じる。

以上