Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

オデッセイ艇の試乗・試験実施

oyajisculler2009-03-08

昨日、レク艇開発Projectの丸底艇試乗・試験の第2回を実施。今回はK社艇を使って実施した。今回、この試乗・試験に合計12名の参加があった。カメラマン役2名を外しても2クルー分10名を確保できるので、先週試乗したD社艇も同時に出艇し、途中で艇を乗り換えて、乗り比べも併せて実施した。

先ずはリギング調整:

先ずは、K社艇のリギング調整。スパン159cm, ワークハイトB=18.5cm, S=16.0cm(左右ハイト差2.5cm)に調整。ストレッチャー位置も簡単に調整できる様にPin to Heel値をデッキにマーキングした。

リギング調整を行う際、下の写真の様に、小型のホワイトボードに書き込むと便利だ。


今回はD社艇も出す。D社艇は先週試乗のF/Bで、スパンを158cmから159cmに変更した。

D社艇のオールについてはMBCのCrokerオールを使用。リギングは先週使ったオールと同じ、長さ284cm, インボード86cmに調整。人数が多く役割分担するとテキパキと作業が進む。

遠漕時の縦乗り込み試験:

先週のD社艇同様、K社艇でも縦乗り込み試験を実施。D社艇に比べK社艇は船底断面形状が円弧に近く、ややバランスが繊細な艇だ。1人目のコックス乗り込み時も下の写真の様に艇が大きく傾き、若干ヒヤリとする場面も。

最初に乗り込んだ者がオールを1組張ってしまうと艇は安定。後から乗り込む者は割と簡単に乗り込める。この様にK社艇でもバウからの縦乗り込み可能であることを確認した。但し、水上でコックスがラダーを取り付ける作業は少々難儀した。縦乗り込みする際には、ラダーは艇を浮かべる前に取り付けてから出した方が良さそうだ。

乾舷計測:

前述の縦乗り込みや乾舷計測については、クルー構成が変わってしまうと2艇の差が正確に比較評価出来ない。そこで先週のD社試験時と同じクルー・シート配置(下記)で実施した。

  • クルーの体重:C:65, S:75, 3:81, 2:97, B:72, 合計390kg、平均78kg

上記クルーでのK社艇の姿勢および浮き具合は下の写真の通り。

乾舷計測箇所は#B, #3, #Cの三か所。各々の数値は以下の通り。()内は先週計測したD社艇の数値。

  • Bowシート:19.0cm (D艇:19.5cm)
  • #3シート:19.0cm (D艇:19.0cm)
  • Coxシート:18.7cm (D艇:18.5cm)

戸田コースで漕ぐならこの乾舷でも全く問題ないが、少し荒れたコンディションでは少々厳しいと思われる。乾舷は20cm以上は欲しいところ。この乾舷から求めた水面からシート座面までの高さ(船体中央の#3)は、19.0-8.7=10.3㎝。D社艇の値が9.3cmだったので、D艇より1cmシートが高い。もともと、シート座面の高さは水面上10cmにすべきと計画していたので、丁度良い高さだ。因みに水面からシート座面までの高さを高くすると、漕手の乗る位置、即ち、重心位置が高くなり、バランス安定性上不利だ。しかり、シート高さを高くすると(ワークハイトが同じ場合でも)クラッチの高さが高くなり、オールと水面の成す角度を大きく取れるので、ブレードワークの操作性(水切れなど)が改善され、漕ぎやすくすることが出来る。この事はシート高さの高いナックルフォア等を漕いだ経験のある者なら分かると思う。

K社艇を試乗:

乾舷計測を終えた後、K社艇の試乗を開始。下の写真は岸を蹴りK社艇で試乗に向かうところ。

漕ぎだすと、先ず最初に感じたのがシート座面の高さ。僅かに1cmの差だが、自分の体が水面より高めの位置にあり、オールのシャフトと水面の成す角度が大きくとれ、ブレードの操作性が改善されていることを実感できた。一方、安定性に関しては、D社艇に比べるとバランスキープのために少しばかり繊細なコントロールが要求されると感じた。(K社艇は全くの初心者には難しいかな?)一方、艇の走りはシェル艇に近く、走りが軽い様に感じられた。


下の写真は我々がK社艇でライトパドルを漕いでいるところ。兆度フィニッシュでブレードをリリースする瞬間で舳先が若干下がっている。舳先の乾舷を見るに、ラフコンで白波が立つようなコンディション(波高30cm程度)だと、舳先が波に突っ込んで波がジャバッと入って来そうな気がする。もう少し乾舷を高くすると同時にバウシートの後方には波除けのブレイクウォーター(Break water)を設けた方が良いような気がする。

下の写真も同じくK社艇を漕ぐおやじのクルー。試乗とは関係ないがLBRCのライトブルーのブレードカラーがとても美しい。

一方、下の写真はもう一方のクルーがD社艇を試乗しているところ。このクルーは女性2名が乗っているので、我々体重の重い男性が乗っていた時より艇が浮き上がり、乾舷が大きくなっている様に見える。

参考ながら下の写真がK社艇に取り付けられているストレッチャー。(昔ながらの通常ゲタ方式):

下の写真は今回のレク艇で採用する予定のFlex Foot方式(エルゴ機のストレッチャーと同じ)のストレッチャー。マイシューズを履けるし、踵が上がるので、おやじの様に足首の硬い漕手でも気持ちよく漕げる。K社試乗艇も近い内にこのシステムに換装予定。(D社艇には既にこれがついている。)

推進性能に関しては、シート座面の高さ(1cmの差)やストレッチャーシステムの条件を合わせて、改めて評価しなおす予定。

横安定性試験;

K社艇でポンド1周後、静止状態における横安定性試験を実施。下の写真は両舷でイージーオールをしたところ。前述の通り、D社艇に比べるとバランスコントロールに繊細さ要求されるが、何とかバランスが取れた。

下の写真は、イージーオールの状態からオールを艇内に引き込んで安定するかどうかを確認。少々フラフラしたが、何とかクリア。

更にこの乗艇で、COXが強制的に横揺れを発生させてみた。オールを引きこんだ状態ながら、艇が傾いてもブレードが水面にタッチすると復元力が働いて、何とか転覆を免れた。少々ヒヤヒヤした。尚、オールを全部外したら、転覆するような気がする。水温の低い冬場には怖くて出来ない。水温が高い夏場にやってみようと思う。

D社艇に乗り換え、2艇の乗り比べ;

下の写真はもう一方のクルーがK社艇に乗り、岸を蹴ったところ。体重97kgの巨漢がCOX席に乗っているので船尾が沈んでいる。


我々も若干メンバー変更したのち、D社艇に乗り換えて岸蹴り。


さて、下の写真はD社艇を漕ぐおやじのクルー。こちらもCOXが76kgあるのでやや船尾が沈み加減に見える。これが原因かどうか分からぬが、シート座面の位置が低く、ブレードコントロールがK社艇に比べて少しやり難かった。シート座面を1cm程度上げ、更にクラッチ高を少し上げた方が良さそうだ。

下の写真はノーフェザー漕ぎをしているところ。

試乗後のコメント集約:

  1. バランス安定性に関しては、船底形状の違いによるものと思われるが、D社艇の方が安定性が良く初級者でも漕ぎやすい様に思われる。(D社艇はフラットな船底。K社艇はどちらかというと円弧に近い船底形状)
  2. K社の昔懐かしいゲタ方式のストレッチャーは、ローイングシューズやエルゴマシンのFlex footに慣れた今の漕手が漕ぎこなすのは難しい。早期にFlex Footに換装したい。
  3. 平均体重75kg程度の男性クルーが漕ぐと、D社艇のシート座面位置はシェル艇と同じ様な高さしかない。もう少し高めにした方がブレード操作性が簡単になると思う。できれば1cm上げたい。
  4. 一方で体重の軽い女性にとっては今のD社艇のシート高さが丁度良い模様。シート座面高さをアジャストできる様にする必要があるかな???
  5. 船型を改めて評価する上で、上記のストレッチャー方式やシート高さの条件を揃えた上で再度2艇を漕ぎ比べたいと思う。

以上