Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

20分漕vs2000m記録相関チェックと、女子換算式

oyajisculler2009-02-22

おやじがT大のヘッドコーチをしていた頃、冬場のエルゴトライアル30分漕や45分漕の記録を2500m記録(今は2000mに変わった)に換算するため、種々文献をチェックし、概ね出力∝継続時間^(-1/6)の関係にあることが分かった。この算式をベースに、平均ペース/500m∝継続時間^(1/18)という換算式を求めた。
詳しい内容は2004年10月29日のログ参照。
この算式を使って、当時のT大対校選手の冬場トレーニングの指標としてきた。この算式は今でも使っており、男子選手の場合は実計測値と非常に良い相関関係が取れている。

女子選手は1/18乗換算式では合わない:

一方、女子の場合はどうも合わない模様。端的に言うと、ロング漕記録から、上記算式で換算した2000m記録を、実際の2000漕で出せないという事実。これまで、おやじは専ら男子選手の記録に注目してきたため、男子と女子のアスリートとしての体質の差を知らなかった。ところが2007年にT大女子4X+クルーのコーチングに少しだけ関わった。この時、女子は長い距離にはタフだが、短い距離のスプリント力が相対的に弱いことが分かった。最初はT大女子は鍛え方が足りないのでスプリントが出ないと思っていたが、高校女子の記録などを見ても、この傾向は概ね同じであることが分かってきた。恐らく、女子は動物生理学上、筋肉量の絶対値が少なく、更に、最大筋力に関する神経系のリミッターが低めの安全サイドに設定されていることが原因の模様。
ということで、エルゴのロング漕と2000m漕の相関をチェックしなおしてみた。データは全国高体連ボート専門部のHPより、2009年2月の20分漕記録表(2000m記録も併記されている)をダウンロードして使った。このデータの中から2000m漕記録も併記されている選手で上位20名をピックアップし、20分漕から求めた2000m換算式と実測値の比較チェックを実施した。

女子選手は(1/18乗)換算式では不整合、女子専用の換算式提案:

さて問題のハナコちゃん、女子選手で(1/18乗)算式で整合が取れるか?ジャーン!下のグラフが女子の20分漕記録から求めた1/18乗ベース換算記録(紺色の実線)と2000m漕実測値(赤い点)の対比。全く整合が取れないことが分かる。例えば、右端の20分漕5132mの選手はおやじの換算値では7分24秒が出せる筈だが、実測値は7分33秒代で10秒近いギャップがある。女子の場合は男子に比べて個人差によるバラツキが大きく、なかなか平均的なところを取るのが難しいが、おやじの換算値に対し、実測値は5秒から10秒以上悪目に出ている模様。

この様に、1/18乗の換算値は男子選手にはピッタリ当てはまるが、女子には当てはまらぬ事が分かった。
そこで女子にも当てはまる換算式を考えてみた。まあ、数値をいじり回して平均点が取れるような換算式を求めただけだが、男子の1/18乗の代わりに女子では1/27乗を使うと、概ね平均的なレベルと整合する模様。この算式を使って求めた換算値が上のグラフのピンク色の実線。まあ、当たらずとも遠からず。70点ぐらい取れただろうか????
女子選手の指導者の皆さんのデータ整理に活用頂ければ幸いである。
以上