Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

最新型ナックル艇で諏訪湖周航

oyajisculler2008-08-13

ボートのビギナーが乗艇練習導入時に使ったり、遠漕等のツーリングに使える様なレクレーションボートの開発をしようと考えている。先ずは最新型のKF艇を実際に漕いでみて、安定性、漕ぎ心地、耐航性について確認する必要があると考えた。製造元のD社に確認したところ、諏訪湖に納艇済みとのこと。下諏訪役場のI波さんにお願いして、この最新型KF艇を使わせて頂くことになった。以下、今回の試乗した感想を簡単に纏めたい。

出艇前のリギング調整;


今回試乗した新型KF艇は、まだ進水式をしたばかり。一般利用には供していないとのこと。初乗りなのでリギング調整及び整備は入念に実施。少し気になったのは以下の点;

  1. ストレッチャー;エルゴメーター用の下駄と同じモノが装着されている。即ち、漕ぐ際にはエルゴの様に靴を履いて漕ぐ事になる。靴を装着して、おやじ本人(身長174cm)がシェル艇で設定している値;Heel Depth(15cm), Pin to heel(32cm)に調整したところ、ストレッチャーの取付位置が一番船尾側に近いところになってしまった。即ち、PTHはMaxで34〜35cmということ。また、下駄の取り付け位置が高過ぎるためか、Heel DepthもMaxで15cm程度しか取れない。この辺りはストレッチャー取り付け寸法を見直す必要がありそうだ。(或いはシート座面下に1cm厚程度のスペーサーを入れるか、若しくはレール下のWedgeを厚くしてシート高を高くするか。。。)
  2. ローイングスペース長;漕手一人当たりのコックピットの長さをローイングスペース長というが、少し短い様に思う。実際、前述の状態で漕いだところ、フィニッシュで後ろの漕手のストレッチャーが腰辺りに若干触れることがあった。脚の短いおやじでこれだから、脚の長い大柄な漕手が漕いだら、背中にストレッチャーが当たるのではないだろうか?Bowの後ろやCox席の後ろは余剰スペースがある様なので、ローイングスペースは後、5cmぐらいは伸ばした方が良いと思う。
  3. リガー取り付け位置;後述するがラフコン時にリガーに波が当たって、水しぶきが上がりやすいので、リガーは極力高い位置に取り付けて、波がリガーに当たらぬ様にすべきと思う。

ラフコン時の耐航性;



諏訪湖周航の終盤、南西の風が強まり、湖の風下側では風浪が発達してラフコンに。元々、今回の新型KF艇試乗は、ラフコン時の耐航性を確認するのが大きな目的だったので、ラフコンは願ったり叶ったり。白波がチラホラする斜め追い波での乗艇となった。シェル艇だと横揺れしてバタバタになる様なコンディションだったが、流石、ナックル艇、酷いコンディションの中、余り漕ぎ難さを感じることなく、普通に漕げた。乾舷については問題なかったのだが、リガーのセンターステーがダブルパイプ構造になっているので、波がセンターステーに当たって波しぶきが飛び散り、艇内に浸水した。遠漕等、ある程度ラフコンでも漕げる耐航性を要求されるツーリングボートについては、リガーが波に当たらない様な工夫が必要だと思われる。例えばAeRoWingリガーの様にガルウィング型の形状にするとか。。。

ラフコン時水しぶきの艇内への浸水;


諏訪湖周航後、揚艇する前に、スポンジである程度排水したが、上の写真の様に艇内に少し水が残った。

水密区画になっているシートデッキ下の中の状況を確認するためにハッチを開けて中を見たところ、上の写真の通り、水が少し入っていた。どうやって中に浸水したのか、確認する必要がありそうだ。

今回参加したクルー;


今回の新型KF艇の試乗に参加したMHIボート部クルー。平均年齢は40歳+α。

一緒に諏訪湖周航に参加してくれた全諏訪チームのクルーと一緒に集合写真。新型KF艇を利用させて頂き、ありがとうございました。

次回はRound Hull型ツーリングボートの試漕;

今回は日本独自の船型であるナックルフォア艇を試乗した。全長に亘るキールやナックル(チャイン)の効果で横安定性は抜群に良かった。レクレーションボートのベースとなる船型として、欧州でTouring Boatとして普及しているRound Hull Boatがある。次回はこのRound Hull Boatを試乗してみようと思う。
以上