昨年の年末12月30日に戸田コースで1Xによる24km耐久レースを実施した。10名がエントリーし、8名が24kmを漕ぎきった。基本は米国マスターズルールにある年齢HCPを適用してネットタイムで順位を着けたが、女性が2名参加していたので、国内の1000mレースの結果を参考に1000m辺りの性差HCPを25秒として年齢HCPと合わせてHCPを決めた。
今年もまた24km耐久レースをやろうと思っているが、12月23日のマスターズ1Xチャンピオンズレースに女性が出漕する可能性が出て来たので、この機会に真面目に男女のタイム差と性差HCPを試算しておこうと思う。
エルゴ2000m漕の世界ランキング上位記録:
C2のOnline World Rankingサイトにここ数年の世界ランキングが掲載されている。この中で日本人漕手の体格に近いものとして男女軽量級漕手(男子:75kg以下、女子:61.5kg以下)を選択し、エリートクラス漕手の代表的な記録として19歳〜29歳の上位10%の記録をチェックしてみた。この結果、男女の上位10%に位置するエリート選手の記録は各々以下の通りとなっている。
- 男子:6'30" (75kg)
- 女子:7'30" (61.5kg)
エルゴ2000m記録から求めた1Xの男女タイム試算:
上記記録をおやじのエルゴ体重換算値A2を使って、1X艇を漕いだ時の男女のタイム差などを試算してみた。(但し、今回は1X艇ベースとするため、艇やオールなど漕手以外の合計重量を17kgとしている)試算内容は下図に示す通り、女子記録7'30"を男子体重75kgに換算すると7'14"となる。
即ち、エルゴ記録から試算した男女タイム差等を整理すると以下の通りとなる。
- 1Xのタイム差:女子タイムは男子タイムの1.114倍。(男子漕手の1X 2000mタイムが7'20"とした場合、女子漕手のタイムは50"遅い8'10"ということ)
- 単位体重当たりの出力:女子の出力は男子出力の0.8倍。(同じ体重の漕手で比べた場合、女子漕手は男子漕手の0.8掛けの出力しか出せないということ)
ということで、エリート漕手2000m漕を対象とすれば1000m当たりの性差HCP25秒は妥当と言えそうだ。一方、24km漕は当然ながら艇速が遅いので25秒の性差はやや足りないと言えそうだ。上図の通り、今年の24km耐久レース性差HCPは1000m当たり25秒ではなく30秒に見直そうと思う。
ボート世界記録の男女タイム差:
以下の通り、軽量級男女タイム比は概ね1.1倍となっており、概ねおやじの上記試算と合致している。
- 世界選手権軽量級1X記録:男子6'47"→女子7'28"、タイム比1.101倍
- 世界U23軽量級1X記録:男子6'55"→女子7'38"、タイム比1.104倍
他競技の男女タイム差:
ボート以外の陸上競技及び水泳の世界上位記録についてもチェックしてみた。その結果、ボート同様に女子の記録は男子記録の約1.1倍程度になっている事が分かった。
- 100m走上位10傑平均記録:男子9"83→女子10"73、タイム比1.092倍
- マラソン上位10傑平均記録:男子2h5'41"→女子2h19'20"、タイム比1.109倍
- 水泳100m自由形世界記録:男子47"84→女子53"30、タイム比1.114倍
- 水泳400m自由形世界記録:男子3'40"08→女子4'02"13、タイム比1.100倍
参考までにウェイトリフティングに於ける男女同一体重での世界記録をチェックしてみた。69kg級は丁度男女が同じ体重なので、ジャーク種目の世界記録をチェックしてみたところ、女子記録は男子記録の概ね0.8倍で上記エルゴ記録ベースの出力差試算結果と合致していることを確認した。
- 67kg級ジャーク世界記録:男子197.5kg→女子157kg、記録比0.795倍
以上