Oyajisculler's blog

(おやじスカラー戸田便り)

Sykes Mould.19(おやじの自艇):

おやじの自艇は1993年に製造されたSykes艇。Mould No.19(8.3mL : 24.5cmB,型名:Sykes)で、漕手設計体重75kg以下の軽量級艇だ。20歳台前半の頃のベスト体重が73kg前後だったので、この軽量艇を選択した訳だ。3年ほど前から中年漕手として練習を再開したのだが、2年目の2005年は急に体重が減って74kg位まで減量したが、昨年辺りから体重が戻り始め、今は80kgを越えている。艇の設計体重上限レンジから5kgもオーバーすると、ラフコン時にリガーに波が当たったり、白波が立つようなラフコン時にはローイングスペースの先にある三角波除けを波が乗り越えて浸水することがある。1年半前に出漕した長沼の全国マスターズ大会では2日目に酷いラフコンになり、ローイングスペースが水浸しになる経験をした。下の写真はその時のもの。

昨年、長沼で開催された全日本社会人選手権時もラフコンになるのではないかと心配し、架設波除けを持参したが、結局レース2日間はラフコンにはならず、問題なかった。
さて、今年も長沼で社会人選手権(7月中旬)が開催される。7月はラフコンの日は少ないという話だが、昨年も予選前日の金曜日はラフコンだったので安心は出来ない。場合によっては少し大きめの艇を借りて出漕することも考えていた訳である。

Sykes Mould.20:

LBRCで1X自艇を所有するO氏の艇は同じSykes製だが船型が違う。彼の自艇はMould No.20(7.97mL * 25.8cmB, 型名:Ultimate)でWetted Surface Areaを最小化する狙いで、Jeff Sykesが1993年に開発した船型。漕手設計体重は85kg以下用で、中量級の漕手まで乗れる少し大きめの艇だ。O氏はこの艇に乗り、昨年12月末に実施した24km耐久レースでもラフコンの中で、殆ど浸水せずに漕ぎきったとのこと。おやじの方は1周ごとに船底に浸水した水を排水して漸く乗り切った。下表はこの時に出漕した皆さんの使った艇とその状況を整理したもの。

Mould 20は長さはMould 19より短いが、船体中央部周りの船体が太くなっていて良く浮く。また、ガンネルが高く乾舷が大きく、少々のラフコンでもガンネルを波が乗り越えることは無い様だ。O氏は体重が67kgと軽いため艇が浮き気味ということもある。体重81kgのおやじがMould.20に乗った場合の喫水増加は、(81kg-67kg)/(7.9m*0.258m*0.65*1000kg)*100cm=1cmであり、大きく乾舷が減る訳でもないのでラフコン耐航性は確保できそうだ。
さて、mould.20に関してラフコン時の耐航性能ばかり述べたが、この船型の本来の開発目的は、Wetted Surface Areaを小さくして走行中の抵抗の最小化を図ろうというものである。軽い漕手が乗ると船尾が空中に露出する等、明らかに他の船型と異なる形をしている。開発者のJeff Sykes(世界選手権のLM1Xで2回優勝しているお人)の一番のお気に入りだそうだが、推進抵抗が小さい反面、船首船尾が浅いので直進安定性に難があり、横風を受けると操船が難しいという話だ。要するにピュンピュンと軽くスピードが出せる反面、針路安定性やバランス安定性に難がある難しい艇ということだ。

Sykes Mould.26:

Sykes社では、上記Mould.20を開発した後に、上記後段に書いた直進安定性の問題に気付いた様で、船尾の1.5mを通常の船型の様に船尾を深めとしたMould.26を開発した。Mould.26は船尾を深くしたことにより直進安定性が改善された分、抵抗が少し増加した模様。でも見た目が通常の船型になったので、特殊な船型を好まない一般のスカラーには安心感がある様だ。今現在、Sykes製の軽量級1X艇で一番の売れ筋はMould.26ということだ。戸田コースで見かけるSykes製1X艇の殆どはMould.26となっており、おやじ自艇のMould.19やO氏自艇のMould.20は殆ど見かけない。下の図はSykes社が製造販売している1X艇の一覧表。この中で中量・軽量級向きの艇はMould.19,20,26の3船型。

詳しい内容については、Sykes社のサイトに掲載されているのでこちらを参照願いたい。

社会人選手権に向けてMould.20を試乗する予定:

話は変わるが、ここ数年、おやじと一緒にLBRCで活動してきたO氏が、急遽、山口県の方に転勤することになってしまった。彼は自艇を置いて行くということなので、相談の上、彼が帰ってくるまではおやじが彼の自艇を管理することになった。そこで彼の自艇Mould.20を試乗させて貰い、調子が良さそうなら、ラフコンの長沼対策として彼の自艇を借りて社会人選手権に出漕しようかと考えている。
横風時の直進性の問題や、本来目的であるラフコン時の耐航性能等、荒川に出艇して種々試してみようと思う。これまた別の楽しみが出来た。ボートは面白いスポーツだ。
以上